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修士論文のスケジュールと所感と

修士論文を書き終えました。

いや〜無事提出できてよかったです。色々と大変なことはありましたが、なによりも提出期限が12月6日とやけに早かったので、それに間に合わせるようにスケジュールをたてるのがいちばんの課題でした。
学部の時は2月提出だったので余計に早く感じました。

情けないことに、つまらないミスで2回も窓口で弾かれました。博士課程の願書にミスがあったことと、予め出していた題目と「大文字小文字が違う」という理由(!)で。

僕は時間に余裕を持ってやってたので間に合いましたがこういうのがギリギリに起こってたらほんとにやばかったですね。

というわけで記憶が鮮明なうちに、修論執筆のスケジュール感や所感を書き残しておこうと思います。

スケジュールと所感

まず修士課程一年のうちに単位をほぼ取り終えていたのがあとあとの余裕を産んでくれたということがあります。

僕は専門が西洋古典学で、ギリシア語やラテン語の講読の授業をたくさん履修する必要がありました。講読の授業というのは準備が大変なので、一年の頃は常になにかしらの予習をしていました(余談ですがタキトゥスのラテン語がほんとうにニガテでした……)。

その代わりに二年になったときには余裕を持ってテーマを考えたり文献を読んだりすることができました。修士課程二年の5月に学振(僕の場合はDC1)を出さなければならなかったので、もしそのとき授業に追われていたらと思うとゾッとします。

スケジュール感について

まず修士課程一年の終わり(2月ごろ)にいろんな文献を読んでテーマを決めていきました。そして3月から4月ごろに研究室内の研究発表会で修論の構想を発表して、指導教官の先生や研究室の人たちからフィードバックをもらいました。並行してDC1の申請書を作成し、研究室の人に相談して5月に提出しました(結果は残念ながらでしたが……)。この時期にテーマを決めてしまって準備していく感じでした。

夏休みに本格的に修論の目次を考えるために、文献を読んだり研究対象のテキストとじっくり向き合ったりし始めます。そして6月の末に僕が参加させていただいている研究会で構想発表して意見をいただきました。いただいた意見を参考に、あとはひたすら書き進める作業です。

僕の専門の西洋古典学は、大量の注釈書に目を通すことが必要であるため、図書館や研究室に足繁く通うことになりました(全て購入できればラクなのですが到底かなわず……)。また、ある単語の用例を検討して解釈するという作業をする場合、思ってたよりも時間がかかることがわかりました。そのせいで焦ることになったので、早めにやっておけばよかったなと思いました。

10月の頭に研究室の研究発表で最終発表をしました。そこでは特に「他人の解釈の引用よりもあなた自身の考察を増やすべき」とアドバイスされました。これは僕の長年の課題で、卒論のときから抱えていたものです。もちろん、文献を読んで引用するのは先行研究に対する態度として必ず必要なわけですが、僕の卒論はほとんどが「先行研究色々調べてみました」系のもので、まあ卒論としては悪くはないデキとは思うのですが、とある大学院受験のときに「あなたの卒論は考察がぜんぜんない」と厳しく指摘いただいて気付かされました。今回の修論ではそのことに留意して書き進めたので、少しは改善されていればいいなと期待しています。いやはや、研究ってムズカシイですね。

11月は最後の追い上げです。僕は英語で書いていたので、ネイティヴ・チェックをしてもらうために、英語のネイティブ・スピーカーでなおかつアカデミック・ライティングに詳しい方を探すのにすこし時間がかかりました。もし英語で書く予定がある人はネイティヴ・チェックのツテを早めに探しておくと良いと思います。僕は結局紹介していただけたおかげで無事にコメントいただけることができてありがたかったです。特に英語的な書き方については多くの有益な指摘をもらえたおかげでだいぶ読みやすくなったのではないかと思います。

11月末に研究室の同期と修論をお互いにチェックし合うpeer reviewをしましょうとお誘いして一緒にコメントし合い、論文の体裁を整えました。自分一人では気づかなかったところや、些細だけど綴りがまちがっていたり表記が一致していなかったりするところを修正できたのでよかったです。

修論執筆中の生活習慣

大学院生には夜型人間が散見されますが、僕はなるべく早く起きることを心がけていました。発表直前や、提出直前は徹夜することも二、三回ありましたが、基本的に夜は0時頃には眠って朝は早ければ7時、遅くとも9時頃に起きる生活をしていました。

人それぞれ執筆スタイルは異なることだと思いますが、周囲の人間が皆「徹夜当たり前!」みたいな環境にいると、自分もそうしなくてはならないと思い込んでしまう可能性も考えられます。少なくとも徹夜してガンガン追い上げなければならない、と思い込む必要はないことを強調しておきたいところです。

ポール・J・シルヴィアという研究者が書いた論文の書き方本によれば、たいていの人は一気にばばばっと書こうとしてしまう傾向にあるが、それは大変に非生産的だそうです。そうではなく、毎日の執筆スケジュールをきっかしこなすことが大事だと主張しています。僕自身もそれに従って生活リズムを作り上げていきました。

僕は午前中はあまりやる気が起きないことにずっと悩んでいたのですが、ある時から午前中は知的生産をはなから諦めて、午後から開始、というふうに割り切ってしまいました。このあたりは個々人で異なるうえにさまざまな都合で時間が取れないことも多いと思いますが、自分に合ったスケジュールを立てるのがいいんじゃないかと思っています。

まとめ

自分にあった生活リズムを整えることがなによりも大事だったと感じます。僕は体を動かさないと気持ち悪くなるタイプなので、院生の先輩に誘っていただいたフットサルに参加したり、ジムに通い始めたりして汗を流してスッキリしてから勉強したりしていました(もちろん皆がそうすべきとは主張しません)。自分がもっとも気分良く書けるにはどうすればいいかな?と考えて試行錯誤していました。毎朝ジョギングしてみよう!と思ってやってみたら午後に全然集中できなくなってやめたりとかもありました。

もしかすれば、研究室によってはかなり個人主義で縦のつながりも横のつながりも希薄だ、という方も多いかもしれません。が、僕としては、研究室の方とのつながりはもちろん、大学外の研究会や勉強会などのつながりを大事にすることが、極めて重要なことだったと感じます。僕自身が寂しがり屋というのもありますが、修論書くのは基本的に孤独な作業なので、なるだけ多くの人と関わりながら上手く自分のペースを保ちつつけるというのが大事だったように思えます。


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