Yuki Senoo

ラテン語とか古典ギリシア語とかを勉強している大学院生。本を読んだり、人と対話したり、ことばを学んだりするのが好きです。ギリシア語・ラテン語家庭教師をしています→Twitter(@graeca_latina)

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最近の記事

『葬送のフリーレン』における魔族のあり方とホメロス叙事詩における神々のあり方の連関について

『葬送のフリーレン』(以下、『フリーレン』)はアニメでも絶賛放送中の大人気漫画です。正直僕は最初食わず嫌いしてたのですが(流行り物に対しては少し経ってまだみんなが話題にしているかを傍観するくせがある)、読んでみるととても面白くて現在追っかけてる漫画の一つです。 『フリーレン』は主人公であるフリーレン(ちなみにこれはドイツ語の動詞frierenに由来し、「凍える」の意味。彼女の「冷たい」心からか)が、過去。ともに旅をした勇者の死に際して自らのあり方を反省し、人間のことを知るた

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      • ホメロス『イリアス』第1巻1-21行をギリシア語原文で読むための最も分かりやすい手引き

        ホメロスの『イリアス』は西洋古典文学でも最も有名な作品の一つです。 文学や神話、あるいは哲学などに関心のある方は耳にする機会もあることでしょう。しかし、原文(古代ギリシア語)で読むというのはなかなかにハードルが高いものです。それと同時に、古代ギリシア語を学ぶ人は、ぜひとも『イリアス』を読んでみたいと願う人もいると思います。 そこで、手引きとしてホメロス『イリアス』序文(第1巻1-7行)のギリシア語解説という記事を書きました(是非読んでね!)。 多くの人に気に入っていただ

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        • 大阪弁で読むソクラテス——プラトン『エウテュプロン』より①(ギリシア語対訳)

          ソクラテスは古代のギリシア語(もっと詳しくいうとアッティカ方言)で話していました。現代の日本とは場所も時代も大きく隔たっています。 現代の日本語で古代ギリシア語を訳そうとする人は大抵「標準語」で日本語訳をしますが、ソクラテスはいわゆる「標準語」よりも大阪弁の方が似合うと思います。これはゆえなきことではなく(まあソクラテスからすればゆえなきことやけれども)、ソクラテス自身も自分の言葉はたいそうなもんちゃうねん的なことを言っています。 ↑のこの大阪弁はこちらの記事から読めます

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        • ホメロス『イリアス』第1巻1-21行をギリシア語原文で読むための最も分かりやすい手引き

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          読んでくださっているみなさま、ありがとうございます!

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          古代ギリシア語で読むギリシア神話——アポロドーロス『ギリシア神話』より①

          ギリシア神話とはギリシア神話は、古代ギリシア人が語り継ぎ、叙事詩や悲劇・喜劇などの文藝作品等の詩作の題材にもなれば哲学的思索の源泉でもあった、神々や英雄をめぐる物語です。 「神話」といえば当然、「神の話」に聞こえますが、英語の "mythology"の元であるギリシア語の "μῦθος"は単に「話」を意味する名詞であり、「神」に限定するわけではありません。あくまで「お話し」です。しかし、ギリシア人の「お話し」にはもちろん神々が頻繁に登場します。 本屋さんに行けば(余談です

          古代ギリシア語で読むギリシア神話——アポロドーロス『ギリシア神話』より①

          ホメロス叙事詩はラップバトルか

          古代ギリシア最古(紀元前8世紀後半ごろ)の作品として知られるホメロス叙事詩『イリアス』『オデュッセイア』。 アメリカの hip hop カルチャー発祥のラップバトル。 一見すると突拍子もない組み合わせに見えるかも知れません。しかし、その二つを結びつけるキーワードがあります。そう、「リズム」、「即興」、そして「伝統」です。順番にお話ししましょう。 リズムホメロス『イリアス』、『オデュッセイア』を日本語で読もうと思い立った人は、おそらく岩波文庫を手に取ると思います。あるいは

          ホメロス叙事詩はラップバトルか

          イソップ寓話で学ぶ古代ギリシア語

          イソップ寓話のことを聞いたことない人はまずいないと思います。 しかし、イソップが実は古代ギリシアにルーツをもつことはあまり知られていないかもしれません。 イソップというのは人の名前で、ギリシア語ではΑἴσωπος(アイソーポス)といいます。歴史家であるヘロドトスは、このアイソーポスがイアドモンという人の奴隷であったと記しています。しかし、アイソーポスさんがどのような人物であったのか詳しいことはよくわかりません。 どのような経緯で日本にまで定着するほどに人工に膾炙するよう

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          『教養としてのラテン語の授業』の気になったところまとめ

          まず 言いたいのは、私はこの本を悪く言いたいのではない、ということ。 この本のコンセプトは良いとおもいます。いろんなラテン語を引用しながら、著者のハン・ドンイルさんが自らの人生観を織り交ぜて話していくスタイル。 ラテン語の楽しさをいろんな人に味わってもらいたいと願う、ラテン語愛好家の一人として、この本が日本語に訳されたのは喜ばしいことです。内容に関しては、もちろん合う・合わないはありましょうが、私は楽しく読みました。 ただ、ラテン語の誤りがたいへん多く目に余るので、自

          『教養としてのラテン語の授業』の気になったところまとめ

          「西洋古典学」ってなんだ?をわかりやすく書いてみた(おすすめブックリスト付)

          ——今日は「西洋古典学」について話してみます。 西洋古典学というのは、ざっくり言うと、「西洋古典」を研究する学問です。 ——確かに、シェイクスピアの『ロミオとジュリエット』は「西洋」の「古典」ですよね。 しかし、シェイクスピアの作品を研究するのは、英文学の専門になるのが通例だと思います。 西洋古典学が対象とするのは、主にギリシア・ローマ世界の文物です。 なんで?と思いますよね。 というのも、「西洋古典学」は英語では Classics(クラシックス) とか Class

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          「まいにちホメロス」まとめ②——死すべき人間と撞着語法

          Twitterで好評(?)のまいにちホメロスシリーズのまとめです。 まとめ①はこちら。 「古典」ギリシア語に「実用性」なんて言葉は不適当だと思われるかもしれません。 しかし、たとえ「古典」ギリシア語であっても、それは昔、実際に口にされていた言葉なのです。 たしかに、ホメロス叙事詩の言葉は韻律に従っているので、その意味では実際の口語ではありません。しかし、言葉が音として発音され、意味を伝達していたという、しごくあたりまえの事実は、古典語においては忘れられてしまうことも多

          「まいにちホメロス」まとめ②——死すべき人間と撞着語法

          「まいにちホメロス」まとめ①

          いつもTwitter、noteをご覧くださりありがとうございます。 もし気にいってくだされば、記事執筆の励みになりますので、 サポートしてくだされば幸いです。 さいきん始めた「古典ギリシア語家庭教師」というTwitterのアカウント(@lingua_graeca_)で、2023年1月15日から、ホメロス叙事詩の『イリアス』、『オデュッセイア』、そして『ホメロス讃歌』からランダムに詩句を引いてご紹介する、「まいにちホメロス」という試みをしています。 ↓こんなかんじ このよ

          「まいにちホメロス」まとめ①

          noteのサポートをしてくださる皆様、 いつも本当にありがとうございます!!😭 これからも精進いたします。 よろしくお願いいたします🙇‍

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          修士論文のスケジュールと所感と

          修士論文を書き終えました。いや〜無事提出できてよかったです。色々と大変なことはありましたが、なによりも提出期限が12月6日とやけに早かったので、それに間に合わせるようにスケジュールをたてるのがいちばんの課題でした。 学部の時は2月提出だったので余計に早く感じました。 情けないことに、つまらないミスで2回も窓口で弾かれました。博士課程の願書にミスがあったことと、予め出していた題目と「大文字小文字が違う」という理由(!)で。 僕は時間に余裕を持ってやってたので間に合いましたが

          修士論文のスケジュールと所感と

          いつもサポートしてくださるみなさま、本当にありがとうございます😭 温かい励ましをいただきまして、記事更新の糧となります。これからもどうぞよろしくお願いいたします。

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          「アプロディーテー讃歌」序文のギリシア語解説

          このnoteの写真は、わたしがギリシア旅行に行ったときに撮影したものです。この像は愛の女神アプロディーテーに牧神パーンが激しくアプローチしている様子が描かれており、パーンの角をエロースがつかんでいます。このようにアプロディーテーは愛の力で人々のみならず神々もまた支配する、ある意味おそろしい女神であることがわかります。エロース(愛)といえば、ロンゴス『ダフニスとクロエー」にこんな言葉があります。 ギリシア語中級への道——『ダフニスとクロエ』をギリシア語原文で読むという記事も書

          「アプロディーテー讃歌」序文のギリシア語解説