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「まいにちホメロス」まとめ①

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さいきん始めた「古典ギリシア語家庭教師」というTwitterのアカウント(@lingua_graeca_)で、2023年1月15日から、ホメロス叙事詩の『イリアス』、『オデュッセイア』、そして『ホメロス讃歌』からランダムに詩句を引いてご紹介する、「まいにちホメロス」という試みをしています。

↓こんなかんじ

このように簡単ながらギリシア語の解説も付しているので、学習者の方に便利だと思っています。

このnoteでは、みやすいように、「まいにちホメロス」を時系列でまとめていきます。そして、文法事項を中心に補足をしていきます。

元ツイでは出典を書き忘れていましたが、これは『オデュッセイア』15.891-2です。

σιγή (この ι は長い音)は「沈黙」という意味の女性名詞ですが、ここでは与格で副詞的に「沈黙の中で」→「沈黙して」、「黙って」(英語の in silence に相当)という意味になります。

どことなくウォーク・ザ・ムーンの大ヒット曲、「Shut Up And Dance」のようなポップさ(Shut up and Dance—— Shut up and Drink)も感じられる詩句ですね。

この και は A and B の and にあたる και ではなく、even などに相当するもので、形容詞 πολύς を修飾しています。

しかし、この文章には動詞が見当たりませんね。これは実は、「AはBだ」という、英語のSVCにあたる文章(コピュラ文)です。ギリシア語では、英語のbe動詞に相当する εἰμί という動詞(ここでは三人称単数の ἐστίν)は、この文章のように省略されることがあります。

直訳すれば、

かくもおおい眠り(καὶ πολὺς ὕπνος)は疲労(ἀνίη)だ(ἐστίν
を補う)

この κλαίωμεν は κλαίω の接続法一人称複数で、「〜しよう(英語の let's に相当)」という意味です(これを hortatory subjunctiveと言います)。

ホメロス叙事詩はもともと口誦叙事詩だったので、いろんなヴァリエーションの定型区があります。これはその一つで、かなりよく用いられます。

この「まいにちホメロス」は、日めくりカレンダーのようなイメージで、毎日ホメロスに親めたら楽しいだろうなと思って始めました。
少しでもギリシア語の学習や、古代ギリシア文化に親しむきっかけになればと思っています。

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