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文学作品

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高校生の頃に作ったものを手直ししています。あとは最近の作品です。
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#彼女

理想の恋人(ヒト)③

理想の恋人(ヒト)③

理想の恋人、贈ります つづき…

アプリを初めて1週間、僕はもうすっかり理想の彼女に夢中になっていた。アプリは3日目から、操作はチャットアプリを真似た会話形式になっていた。以前に婚活アプリで体験したことはあったが、相手の反応が薄かったのと、何を書いてよいのかも分からず良い記憶は何もなかった。それでもこのアプリのすごいところは、初めてしばらくは「チュートリアル」設定があって、細かくアドバイスやコメン

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理想の恋人(ヒト)②

理想の恋人(ヒト)②

理想の恋人、贈ります つづきです。…

「できた…」
思わず声が漏れた。時計は明け方の4時を過ぎていた。衣服の選択を済ませて、ようやく第一段階が終了した。どうやら初日にいきなり最後まではたどり着けない設定になっているようだ。確かに出会った初日に相手の全てを知ってしまえば、逆にすぐに興覚めしてしまうものだ。オトコの本音をこのシステムは十分に把握しているようで、今日は初回で外観と服装まで。それ以上は何

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迷子になった話

迷子になった話

それはボクが小学2年生の頃の話だ。
当時は結構ワイルドな時代だったから、小学低学年のこどもの遊びで探検ごっこが流行っていた。夜のテレビで何かしらの財宝を探しに行ったとかいう番組があると、しばらくは近所の山や谷に数人で冒険の旅に出かけるのだ。

何かしら宝物が見つかるわけではない。それよりも、どこまで遠くに行ったのか。どんな目にあったのかの方が重要視された。一言で言うならオレって勇気あるだろ、の自慢

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若い女が好きなのね

若い女が好きなのね

僕の視線が 見つかった
向こうの女子と 目が合った
記念日ディナーは 大惨事
若い女が 好きなのね? 

僕は君だけ 愛してるんだ
ともに過ごした 時は宝石
記憶の中じゃ 君も若いよ
時が過ぎれば 人も過ぎるさ

今の君こそ 一番素敵さ
本気で今そう 思ってる
年を重ねた 良い女
ステキな笑顔を 見せてよ、僕に

スープが冷めても 愛は覚めない
浮つく僕が 並べた言葉
横顔で聞く 彼女の微笑み 

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中学生、淡い初恋の思い出

中学生、淡い初恋の思い出

初恋の思い出。僕の初恋は普通じゃないって良く言われる。

近所の戸建てで暮らしていた、奔放自由に振る舞うネコ、彼女が僕の淡い思い出。
おいおい、ってたかがネコという勿れ。その澄んだ目、碧い瞳、気分でコロコロ変わる丸い目に、僕はもうすっかり釘付けだった。
しかも毛並みと言ったら、銀色がかった灰色で、艶やかに陽の光に映えるのだ。華奢な胸元からくびれた腰へのラインは、若き日の盛りを語っていた。ゆったりと

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はじめての彼女は天然で天真爛漫な人だった

はじめての彼女は天然で天真爛漫な人だった

これは僕の初めての彼女の思い出。
彼女は時々突拍子もないことを言い出して、僕を困らせた。天然で天真爛漫。そんな言葉がピッタリだ。例えを言えばキリがない、毎日がそんな感じだ。でも僕には初めての彼女だった。だから女子ってこんなもんかな、くらいにしか思わなかった。

彼女に出会った日のことは忘れられない。
その日は朝からの雨で、学校帰りの道はしっとりと濡れていた。曇り空から細やかな雨粒が落ちてくるのを、

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