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ミランヨンデラ
2023年1月25日 18:29
第二次大戦直後の、まだ戦争の傷跡も生々しいロンドン。「わたし」ことモーリスは、雨の降る街角で見知った男を見かけ、声を掛ける。男は近所に住む高級官吏ヘンリ。実はモーリスは2年前まで、彼の妻サラァと不倫関係にあった。久しぶりに会うヘンリは何やら悩んでいる様子。聞くと、サラァがどうやら外に男を作っているようだという。サラァとの情事はもう終わったものとしていたモーリスだが、その話を聞くと俄然嫉妬
2023年1月18日 16:45
インパクト大な題名とおしゃれ怖い装丁のこの一冊。12の短編を3作品ごとにまとめた4部構成になっているが、その各部には例えば次のようなタイトルがついている。・黄昏の疲れた光の中では凶事が起こる…・冷たい深夜の孤独は茴香の馥りがする…これらを読んで惹かれるものを感じる方ならば、本書を読んできっと満足できるはずだ。期待通りの不気味、暗澹を心ゆくまで堪能できること請け合いである。(同時に、
2023年1月9日 14:35
表紙から、見返しをめくった先、また裏表紙の見返しまで、グレー調の町の写真が続く(ぱっと見て江東区辺りかと思ったが、よく見たら大田区だった)。本書を読んだら、もう一度この写真を眺めてみてほしい。二人の気配が漂うのをきっとあなたも感じるだろう。*****大学時代からの友人同士であり、一緒に暮らしていた二人の中年女性が、橋から飛び降りて死亡した。作者を思わせる小説家「私」は、この事件の小さな
2023年1月3日 19:59
ハリウッド俳優のトム・ハンクスによる短編集。「ハリウッドスターが書いた」という宣伝文句のいらない、というよりそれがむしろ邪魔になるくらいの、素晴らしい一冊だ。海外文学好きには大推薦したい。今回私が読んだのはアメリカ版のペーパーバックだが、日本語訳はクレスト・ブックスで出ているので、こちらも良書であること間違いない。特に気に入ったのは以下の3作品。<Christmas eve 1953>