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言葉より、文字が好きです。#やってみた

最近、手紙をひさしぶりにもらって。

やっぱり手書きっていいよなって、

思っていた。

便箋の選び方や、インクの色も含めて

その人だなって。

文字の角が丸くなるところとか、句読点の

打ち方まで、愛おしくなることがある。

そう、わたしはジフェチ、字フェチなのだと

思う。

だから、書体もゴシック書体とか

明朝とか

いろいろありますが。

やっぱり手書きが好きなので、わたしは

今日本棚をみながら、手書きのタイトルを

探したりしていたんです。

写真家・荒木経惟さんの直筆です。

荒木さんのこのしゅしゅしゅっと柳のような

所作を思わせる色気のある線が好きで、

見惚れてしまいます。

愛猫チロちゃんへの愛しいが溢れてる、

そんな字。

愛情はやっぱり字に現れるんです。

この字でもし手紙を頂いたら、きっと

字だけなのに恋に落ちてしまうかも

しれんなぁと。

字妄想してしまいます。


これは祖母が生前、詩を勉強しなさいと譲り受けました。

島崎藤村さんの直筆でしょうか。

いいな、筆文字。

この「藤」も「村」も縦長で草冠が

しっかりと強く書かれているところ

ご自分の名前を書くという覚悟みたいな

もの感じるんです、なぜだか。


初恋


初恋

まだあげ初(そ)めし前髪(まへがみ)の
林檎(りんご)のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛(はなぐし)の
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅(うすくれなゐ)の秋の実(み)に
人こひ初(そ)めしはじめなり

わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃(さかづき)を
君が情(なさけ)に酌(く)みしかな

林檎畑の樹(こ)の下に
おのづからなる細道(ほそみち)は
誰(た)が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ

有名な『初恋』ですね。

幸田文も、祖母が読むといいよと

貸してくれたものです。

この、幸田文さんの律儀な佇まいの文字。

『父・こんなこと』

いいですね。すてきな破綻のない字だなって

思います。

実はわたしも父といろいろありすぎて、

修復可能とは思えない年頃に

ちょっと無理して読んだ記憶があって、

ずっと本棚の奥にしまってあったんですが。

いまこの表紙を眺めながら、若かりし頃の

やんちゃな時代をこの字と共に、しくしくと

思いだしています。

後藤繁雄さんのインタビュー集。

この『独特老人』の書って、はじめて見た時も

ある種衝撃でしたが、この揺れているような

筆の線が好きで、このタイトルにはこの書体しか

なかろうが、っていうぐらいの味わい深さ。

すんごいアナーキーなファンキーな

人生の先輩たちの言葉が圧巻ですわ。


こんふうに手書きをみていたら。

紙の新聞にも、ほとんどはかっちりきっちりした

書体で埋め尽くされてますが。

広告欄って時々、手書き書体にであえるわけです。

そこでわたしは、手書きの書体だけを

集めてきて、なんかやれないかなって。

ほんとうは、切り抜いた文字ひとつひとつを

解体して、ひとつの文字を作りたかったんです。

これできたら面白いような気がして。

たったひとつのじぶんだけが面白がれる

文字ってできないかな?

って眺めつつちょっと、カッターで切ってみたけど

あまりうまくいかないので。

これは、予定変更して。

そのままの文字でなんか作ろうと。

ほんで、その書体を一旦意味からは解き放ち

なんの意味もない文字としてばらばらにして

みました。

新聞広告の文字ばらばらにしてみた。

それを、今日切り抜いた文字だけで、手書き

ストーリーみたいなのを作ってみたいと。

これ、新聞紙が部屋で山積していたので

ほんとのほんとは片づけられて一石二鳥やん

って始めたんですわ。

で、

急遽思い立った夕方いろいろ、やってみました。

アナグラムの世界ですねこれは。

いとおしい

おいしいとが同じ。

みたいに文字をシャッフルするやつですね。

で、自分でもなにやってんねん。

あほやなって思いながら、切り貼りして

しまいました。

気づいたらこんなん作っておったわけです。

【詩・おむすび】

あのはなしそびれた

暮のこと

集められない

青い季節

隠して。

飛太郎と

おむすび

きすしたんか?

しゃりに新しい

潮を感じます。


っていう詩を、新聞の手書きの切り抜き文字だけで

考えました。

誰かが確実に書いた跡のある手書きの文字。

切り抜かれた偶然の文字だけで考えたので、

即興でしたが。

ほんまにわたし文字フェチやなって、

こうやってる時間はわたしにとって

ちょっと至福なんです。

#やってみた

をやってしまいよったな、そんな夜になりました。

部屋は以前よりも切りくずが散乱していて

誰? 片付けと一石二鳥とか言ってた人? って。

でも捨てる新聞紙は、半減したので、

ぼちぼち片付けもやっていこうという意欲に

つながりました。

紙好きのゼロの紙でした。

理想とね、現実は、いつも乖離するけれど。

あほなことやっていたという記録もnoteに残して

おきたくて。

お付き合いいただいたみなさまありがとう

ございました(^▽^)/。

ゼロの紙拝

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