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2021年5月の記事一覧
「命とられるわけじゃなし」
「命とられる値段じゃないし、買うか」
といいながら、500円の小文袋を買ってくださったかたがいた。妙齢のおじさまだった。花粉症の薬を入れて車のなかに下げておくのだとか。
うかがえば、おじさまは山形出身のかたで、かの地ではさりげなくそういうのだそうだ。
「命とられるほどの」という物差しは、なかなかにすごいもんだ、と感心した。
年を取ってくると、どうにも、自分のなかでとんがってくるものがあって
白洲正子のカケラ〜お能〜
実を言うと、白洲正子さんの「お能」は5週間近く抱えていた。
読み進めば進むほど、正子さんてすげえなあと思うし、決しておもしろくなくはないのだけれど、なかなか先へ進めない。
まるっきりの門外漢は用語の一つ一つに躓く。へーなるほどそういう世界なんだなあ、と思いつつも、実感が湧かない。わかったようなわからんような妙な感じで、また元にもどってみたりするから、いよいよ先へ進めない。
なにより文章のリ
そんな日のアーカイブ 毒杯
人間ドッグのなにがいやって、あのバリウム。なんとも気持ち悪くて。その前に飲まされる発泡剤もいやで。うっ!
台にのって横を向いてごくごくとゆっくりと飲んでください、といわれて、野上弥生子さんが言ってた「地獄の飲み物」を口にする。
ああ、この姿はソクラテスが毒杯をあおった姿に似てはいまいか、
という弥生子さんの言葉を実感した。
で、台の上で、七転八倒。あっち向け、とまれ!もうちょっと左。いきと
自分の能力に対する希望の誤断
詩なんてものは、傑作であるか、さもなくば、全然存在してはならない。
最上のものを作る素質のないものは、芸術を断念し、その誘惑に対してまじめに警戒するようにすべきである。
もちろん、どんな人間にも、自分の見たものを模倣しようとする漠然(ばくぜん)とした欲望が働いている。
しかし、そういう欲望があるからといって、われわれの企てるものを達成する能力がわれわれにそなわっているという証拠にはならない。