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男子校にも吹奏楽部があるんだよ#2 涙の中学受験失敗

男子校入学決定

小学六年の2月の節分の日。私はリビングで大泣きしていました。
中学受験で滑り止めにしていた中学校に落ちたのです。
中学受験をすることに決めたのは塾の先生にそそのかされただけで、
特別に行きたい学校があったわけではなかったですが、
落ちたことによって行かなければいけない学校が嫌でした。

滑り止めの滑り止めで受かっていた唯一の学校が、
家から離れたところにある男子校だったのです。
もちろん近所の公立に行くという手段もありましたが、
小学校のクラスメイトに受験をすることがばれていた手前、
それは幼いプライドが許しませんでした。

男子校。

それまで普通に公立の男女共学の小学校に通っていた私にとっては、
男子しかいない学校は恐怖でしかありません。
当時流行っていたごくせんの世界観です。
また、私は女子が好きでした。今思えばチャラいのですが、
小学生にして男女で遊園地に遊びに行ったりもしていました。

どんなに泣き叫んでも受験に落ちたという事実は変わらず、
男子校への進学が事実上決まったあの日。
私は人生が終わったと思っていました。
あの日の夕飯はおでんだったのをよく覚えています。

男子校入学が決まり小学校卒業が近づいてきて、
私の頭はいかにして小学校時代の女子と関係を繋げるかを一生懸命考えていました。結局出来たことは、訳の分からないメールを毎日一斉送信で数十件送るくらいでした。今思えばやべえやつですよね。最悪ストーカーと言われてもおかしくない。そんな無駄な抵抗をしながら、最終的には男子校へ入学しました。

入学してからのつまらない話は省略して、
吹奏楽部に出会うところまでいきましょう。入学式で前の席のやつが雑巾を縫っていた話はまたの機会がありましたら。

入学前の私は剣道部に入ろうと思っていました。
なんとなく運動部がかっこいいから運動部が良いけど、
メジャーなスポーツの部活に入るのはしんどいし顧問も怖そう。
痛いのが嫌だけど剣道なら防具してるし、
なんとなく自分でもできそうな気がしていました。
けれどもいざ入学してみると、勢いのあるいわゆる陽キャが剣道部には集まっていて、とても私の入ることのできる雰囲気ではなかったのです。
完全にビビりました。顧問も全然厳しそうです。
これは無理。そう思った私は部活選びの途方に暮れていました。
学校に居場所が欲しくて部活には入りたかったので、
てきとうに美術部にでも入ろうかと思っていた下校時。
私の人生に大きな影響を与える出来事が起きました。
仰々しく言ってみましたが、まあ吹奏楽部からの勧誘です。

どこの学校もそうなのかは分かりませんが、
私の学校では新入生が入ると吹奏楽部は新入部員の勧誘を盛んに行います。
勧誘の大変さは、私が勧誘する側になった時の話までブログが続いていたら書きましょう。中二から始まりますね。

もう入る部活は決まってる?細身の男子から声をかけられました。
吹奏楽部に入る気は全くありませんでしたが、
当時素直だった私は決まってませんと言って、
あれよあれよという間に音楽室へ連れていかれました。
いや、これはちょっと嘘ですね。何でも良いから部活に入りたいという気持ちもありましたので、多少は自分から進んで行っています。
音楽室へ行く階段の途中で、吹奏楽部と思われる生徒たちが練習をしていました。
ちなみに中学一年生の頃の私はぽっちゃりとしていてかわいい。

順番に楽器体験をしてみようと言われて一通りの楽器の体験を行い、
最後にどの楽器が良かったかと聞かれて、サックスと答えました。
別に何が良かったわけでもないのですが、
サックスはモテるという噂を何となく知っていてサックスと答えたのと、
従姉がやっていて、楽器の名前を知っていたというのがあります。

部活選びの途方にくれてはいたものの、
その時は音楽も好きではないし、なんとなく男が吹奏楽部はダサい気がしていました。何より潔癖症の私には楽器の吹き回しや、唾のついたタオルや唾溜めバケツが生理的に受け付けなかったので、吹奏楽部に入る気は全くなくなっていました。

でも色んな微妙な要因が重なると、
不思議なことに人は思ってもみなかったことをする様ですね。

この後にご存じの通り私は吹奏楽部へ入部する。

つづく


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