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ニューヨーク金融市場

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2020年3月の記事一覧

PERやPBRで考える米株の適正価格について

PERやPBRで考える米株の適正価格について

今日は個人的に株価の適正価格を考えるときに使っている手法の一部を紹介したい。

はじめに断っておくと、今のようにボラティリティの高い相場では短期トレードが有効で、今日紹介するような適正価格を分析する手法だけでトレードをすることは無い。

しかし、今のような相場であっても指針となる適正価格を自身の相場観に組み込むことは非常に大切で、今日は私が考える株の適正価格の分析手法について書きたいと思う。

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クレジット市場の落ち着きは信じて良いのか?米国財政は必ず通る

クレジット市場の落ち着きは信じて良いのか?米国財政は必ず通る

起債市場は落ち着いているが、重要なのは全体のクレジットスプレッド
FEDが今週の頭に追加のQEを発表し、法律まで変更して社債の購入を行うと発表した。
金額にするとプライマリー・セカンダリーマーケット合わせて$200blnという金額だ。

この発表を受けて、起債市場は活発で本日も約$24bln、この三日間で約$60blnも発行があった。(通常は$10bln/day程度)
また、発行額に対する投資家の

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巨大な月末リバランスが控えている米株

巨大な月末リバランスが控えている米株

※マーケット忙しくてNY市場のアップデートが最近遅めですm(_ _)m

始まった巨大月末リバランス
今日にも財政案が米議会で纏まるとの期待も高いが、一番話題になっているのは月末のリバランスフロー。
モルスタは$160bln, GSは$214bln, JPモルガンは$850blnの資金が株式へ流入すると予想している。これは年金ファンド、リスクパリティ戦略、CTA、ボラティリティターゲット戦略ファン

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FEDの追加QE詳細と米国財政

FEDの追加QE詳細と米国財政

FEDが迫加QEを発表
先週、米国債$500bnとMBS(住宅ローン担保証券) %$200bn のQEを発表したが、先週時点で約半分の枠を使い切っており、本日追加の QE 案を発表。ちなみに今週も米国債$375bn($75bn/day)とMBS$250bn(S50bn/day)を購入する予定であった。

本日発表された案では当面の間、無制限で購入すると表明しており、今後財政出動と国債発行が見込まれ

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「原油戦争」の仕掛人はプーチンだと思う理由

「原油戦争」の仕掛人はプーチンだと思う理由

ご存知の通り原油価格は今月に入り急落している。

世間一般の解釈は「サウジアラビア」が仕掛けたとされる、今回の米シェール企業をターゲットにした価格競争であるが、私はそうは考えていない。

確かに、OPECの交渉決裂後にすぐさま増産を発表したのはサウジアラビアであるし、二大石油大国であるロシアは「サウジアラビの脅しには屈しない」と話しており、表面的にはロシアよりもサウジアラビアが仕掛けたとように見え

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ニューヨーク市場のコメント 3/19

ニューヨーク市場のコメント 3/19

指標
フィラデルフィア連銀指数
前月の+36.7 から-12.7 に大幅低下。先行きは+45.4→+35.2、足元の新規受注は+33.6→-15.5、雇用は+9.8→+4.1 と大きく低下している。

新規失業保険中請
281K と 221K から大幅に悪化。NY 州は 75%に在宅勤務を要請するなど、街はここから更に閑散とな
り、失業保険申請件数は増加しそう。

FED
9 中銀とドル,スワ

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米国クレジットクラッシュは止まらない

米国クレジットクラッシュは止まらない

3/12に「クレジットクラッシュが起きつつある米国」と題してブログを書いた。

その時に「コロナウイルスが与える影響が旅行、航空会社、エンターテイメントなど様々な業種に広がっていることを踏まえると2015/16年よりも深刻かもしれない。」と書いたが、足元では予想通りとんでもないことになり始めている。

以下はこのサイトからとってきたクレジットスプレッドの推移である。(なぜかBloombergの接続

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各国の緊急利下げも虚しく株は大幅安

各国の緊急利下げも虚しく株は大幅安

このオーバーナイトだけで、FOMC, BOJ, 韓国、ニュージーランド、スリランカ、チェコ、エジプト、チリといった国が緊急利下げを行ったが、リスクアセットは持ち直すことなく売られている。

市場が疑心暗鬼になっている中、中央銀行が緊急利下げを行うことはむしろ負の効果を与えており、“緊急利下げをしなければいけない程、ひどい状況なのか(中央銀行は市場の知りえない情報を知っているのではないか)”とマ

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FOMC緊急利下げとQE開始。クイックでポイントをチェック!

FOMC緊急利下げとQE開始。クイックでポイントをチェック!

米国はまだ日曜日ですが、FOMCは急遽緊急の金融政策決定会合を実施。
ポイントをチェックしましょう。

<FOMC声明文のポイント>
a) FF金利の誘導目標を0.00%〜0.25%へ引き下げ。(従来1.00%〜1.25%)
b) 金融機関向けのDiscount Window(ごく短期の貸出制度)は125bp引き下げて0.25%へ。
c) 1000以上の金融機関を対象に預金準備率をゼロに引き下げ。

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【クレジットクラッシュ】市場で何が起きているのか?

【クレジットクラッシュ】市場で何が起きているのか?

先日、米国でクレジットクラッシュが起こりつつあるという記事を書いた。
重要なことなので、今日は少し時間を使って次の疑問について考えたい。

✔︎ 何故、緊急利下げを行なってもクレジットクラッシュが止まらないのか?
✔︎ どれほどヤバいことなのか?

次のグラフは、先日の記事でも紹介した、米国企業のクレジットとフィナンシャルコンディションの最新データである。

これらの指標は「数値の上昇」が、ク

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リスクオフで円も、金も、米債も売られる。メルトダウンしたマーケット。

リスクオフで円も、金も、米債も売られる。メルトダウンしたマーケット。

"Don't be a hero in the market"
最初にトレーダーとして入社した会社の先輩に教えてもらった格言の一つだ。

相場のトレンドに逆張るな、という意味である。

逆張りがたまたまうまくいっても、殆どの場合は大した収益にならず、自己満足で終わってしまう。
「行き過ぎだから」という理由で買っても、アゲインストにいったら、すぐ怖くなって損切る羽目になる。そんなトレードはするなと教

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パンデミック宣言、重たい腰を上げたWHO。パンデミック債はどうなる?

パンデミック宣言、重たい腰を上げたWHO。パンデミック債はどうなる?

先日、WHOがパンデミック宣言をしない理由の一つに、パンデミック債の存在があるのでは?という記事を書いた。

パンデミック宣言がこれほど遅れた背景の真偽は、当の本人達以外には知る由もないが、いずれにせよ、ようやくWHOのデドロス局長はコロナウイルスがパンデミックになったと宣言した。

まず、パンデミック債とか、金融市場がどうこうという以前に甚だWHOのアクションは政治的であり、遅すぎる対応だったと

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クレジットクラッシュが起きつつある米国

クレジットクラッシュが起きつつある米国

米国ではクレジットクラッシュが起きつつある。クレジットのワイドニング(安全資産とのスプレッドが拡大)が止まらず、起債を考えていた企業も見合わせているところが多い。

以下は米国企業のクレジット(IG Credit Spread)とフィナンシャルコンディション(Financial Condition)を重ねたものである。

チャートを見るとわかるように、この二つの指標には明確な相関関係がある。
FO

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サポートラインを見つけた米株

サポートラインを見つけた米株

連日のこの相場でさすがに睡眠不足。

クイックなアップデートで恐縮ですが、ご容赦ください。

ボラティリティの高い相場が続いているが、昨日の米株のLowは一つのサポートポイントになりそう。

上のチャート(週足)はリーマンショック後のLowと先月の最高値を結んだもので、フィボナッチが綺麗に当てはまっている。

また、下のチャート(日足)は2018年12月のLowと先月の最高値を結んだもので、こちら

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