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パンデミック宣言、重たい腰を上げたWHO。パンデミック債はどうなる?

先日、WHOがパンデミック宣言をしない理由の一つに、パンデミック債の存在があるのでは?という記事を書いた。

パンデミック宣言がこれほど遅れた背景の真偽は、当の本人達以外には知る由もないが、いずれにせよ、ようやくWHOのデドロス局長はコロナウイルスがパンデミックになったと宣言した。

まず、パンデミック債とか、金融市場がどうこうという以前に甚だWHOのアクションは政治的であり、遅すぎる対応だったと言わざるを得ないだろう。

下のグラフは日経新聞がまとめている日次の新規感染者数の動向であるが、「仲良しの中国の感染者数が落ち着いてきたら」ようやくパンデミック宣言をする気になったとすら考えてしまう。

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デドロス局長は中国で流行り始めた際に、中国の習近平主席と会談を行い、その後の記者会見(1/30)では「中国の対応は素晴らしく、どの国も中国に対して渡航制限や貿易制限をすることは勧めない」と述べていた。

この時、WHOが旗を振ってコロナウイルスのパンデミックリスクを明言し、「貿易・渡航制限は勧めない」などと、何の科学的根拠もない政治的な発言を行わなければ、これほどグローバルに感染は拡大しなかったのではないだろうか。

さて、前置きが長くなったが、いずれにしてもようやくWHOは今回のコロナウイルスがパンデミックであることを認めた。

では、例のパンデミック債とやらはこれからどうなるのであろうか?
今回のWHOのパンデミック宣言によってパンデミック債の発行母体である世界銀行はお墨付きをもらったわけだが、厳密にはこれで終わりではない。

この複雑なデリバティブには多くのトリガー条項が含まれており、感染者の人数や国数などは既に基準を満たしている。

今後、最終的なトリガー条件として計算されるのは3/24〜4/6までの約2週間の間の感染者数の増加率と、感染者の確認率となっている。(簡単に言えばこの期間も感染者が増えているかということである)

3/24という開始日は、感染拡大が確認されたと定義した日を2019/12/31としており、そこから12週間の期間を設けるよう事前に決められたトリガー条項の一つである。

4/6が終了すると、全てのトリガー条項がヒットしたかどうかの精査が開始され、4/9に判定が行われるようである。

これによって、パンデミック債に投資していた投資家の債券元本は一部・または完全に消滅(トランシェによって異なる)見込みだ。

これまで高い金利を享受してきたとはいえ、世界初のパンデミック債は投資家にとって手痛い思い出になりそうである。


今日は米国市場で起きているクレジットクラッシュについても書いています。


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