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FEDの追加QE詳細と米国財政

FEDが迫加QEを発表
先週、米国債$500bnとMBS(住宅ローン担保証券) %$200bn のQEを発表したが、先週時点で約半分の枠を使い切っており、本日追加の QE 案を発表。ちなみに今週も米国債$375bn($75bn/day)とMBS$250bn(S50bn/day)を購入する予定であった。

本日発表された案では当面の間、無制限で購入すると表明しており、今後財政出動と国債発行が見込まれる政府負債を実質肩代わりする覚悟を示した。

購入対象資産も米国債、MBSのほかに商業用不動産担保証券(CMS)も購入する。

また、プライマリーセカンダリー市場で社債を購入できるスキームを発表しており、具体的には SPV(Special Purpose Vehicle)に財務省が$10bn の資本を注入し、SPVを通じた社債購入を行う。(購入額が$10bn という意味ではない)

セカンダリーの例では、対象となる企業は BBB-/Baa3 以上の格付けを持つ投資適格企業で、5年以下の債券。

また、IG(Investment Grade)の社債 ETF の購入を行う可能性も表明している。

購入上限は発行体の 10%、ETFの場合は 20%でキャップしている。

さらにABS(Asset Backed Securities)に投資する投資家向けローンスキーム(TALF: Term Asset-Backed Securities Loan Facility)も発表 (2009 年にも同様のスキームを発表していた)。同様に SPV を作り、$10bn の資本注入を行った上で購入する予定。当初は$100bn の融資組成を行う予定で、期間は3年。自動車ローン、学生ローンなど様々なものが対象。

米国財政
先週から検討されている大型景気刺激策は当初言われていた$800bn から、$1,000bn, と徐々に増えていき、結局、本日ムニューシン財務長官は$2,000bn の刺激策を上院に可決するよう求めている。

しかし、本日も民主党が「共和党の同案は、企業に寄りすぎであり、医療対策や個人の救済策が不十分」として動議を否決している。ただ、最終的には何らかの形で妥結する可能性が高いとマーケットは期待している。

また、財務省は$2,000bn という巨額な財政支出を補うために、30年債なども大量に発行する可能性があると述べている。(そしてFEDがそれをQEで吸収する)

ちなみに、今回の法案には最新情報によると、以下のような事柄含まれている模様。

<金融市場>
・FED に社債購入を認める
・財務省がMMFを一時的に保証

<経済対策>
・航空会社、ホテル、エネルギー企業などの支援($425bn)
・中小企業へのローンプログラム($350bn)
・州政府の財政支援($500bn)
・個人への現金(小切手)支給など($500bn)
・納税期日の延長
・その他($50bn)

欧州財政
ドイツ政府は€750bn のコロナ対策パッケージを承認。ドイツは先進国の中でも財政現律を特に重んじる国であったが、ドイツ経済が少なくとも5%のマイナス成長が予想される中、大幅支出に踏み切った。

NYのマーケット
FED の追加 QE の発表で S&P の先物は一時底値から 10%弱も上昇したが、現物がオープンすると、すぐに反落していく厳しい展開。財政法案も上院での審議が難航し、動議の決議が見送られたことで一段安となる場面も見られた。一方、FED が社債支援を発表したことで、社債 ETF(LQD)は 7%強買われている。

本日発表された FED の企業クレジット支援(計$200bn)は、初の試みでありこれまで法律上許されていなかった枠組みを作成した。その意味ではクレジット市場のセンチメントを変える可能性もあるが、「$10,000bn」に積み上がった企業の負債に「$200bn」だけでは足りない可能性も十分あるだろう。
個人的には、社債ETFが買えるのであれば、S&P500のETFが買えるようになるのではと感じている。


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