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リスクオフで円も、金も、米債も売られる。メルトダウンしたマーケット。

"Don't be a hero in the market"
最初にトレーダーとして入社した会社の先輩に教えてもらった格言の一つだ。

相場のトレンドに逆張るな、という意味である。

逆張りがたまたまうまくいっても、殆どの場合は大した収益にならず、自己満足で終わってしまう。
「行き過ぎだから」という理由で買っても、アゲインストにいったら、すぐ怖くなって損切る羽目になる。そんなトレードはするなと教わった。

昔言われたことだが、今でもこの言葉は大切にしており、まさに今回の相場にも同じことが言える。

そしてマーケットには、まだ逆張っているプレーヤーが多いのでは無いかと感じている。

約10年続いたブル相場を経験した後に、頭をベアに切り替えるのは難しい。
物と同様に、人間の考え方にも慣性の力が働いてしまうからだ。

また、このマーケットは値幅は出ているが、スピードが早かったため、心理的には逆張りの押し目買いをしてしまいたくなる時間帯だ。

だからこそ、今は相場に逆らわず、順張りの短期トレードに徹すべしと感じている。

ロングオンリーの投資家や、先物に手を出しづらい個人投資家は焦らず、じっくりと相場が反転するタイミングを見極めた方がいいだろう。

すべてのアセットが売られて始まったNY市場、金融危機のような様相。

通常、このようなリスクオフではドル円が売られ、金と米債が買われる。

しかし、本日はドル円が買われ、金や米債ですら売られ、ドルキャッシュに換える動きが見られている。

まさに、リーマンショックの時と同様にクレジットクラッシュが起きているのだ。

クレジットクラッシュが起きると、双方に不信感が高まり、持っているアセットを換金して現金で置くインセンティブが高まる。

また、企業は普段使用していないローンの引き出し枠(コミットメント枠)を使用して、現金を手元に置こうとする。金融機関は急なローンの引き出しに対応するため、マーケットから現金を調達しようとするが、クレジットクラッシュが起き始めると、市場で調達することが困難になり、アセットを売らざるを得なくなってくる。(実際に売るかどうかはともかく、そういう思惑が市場に働きやすくなる)

もはやコロナウイルスとは異なる領域に入ってきた印象で、たとえコロナウイルスが収束しても、金融市場が立ち直るには、相当強力な金融政策と財政政策による支援が必要だろう。

では、本日のECBとFEDの決定、昨晩(NY時間)のトランプの財政出動に関する会見を振り返りたい。

ECB
市場は10bpの利下げを織り込んでいたが、利下げは実施せず。
しかし、TLTROは中銀預金金利よりも最大で0.25%ポイント下回る水準で借りることができ、利下げと同等に近い効果をもたらす。

QEについては月間€10〜20blnの増額を見込んでいたが、€10blnに留まる。

ECBの結果を受けてもイタリアやフランスなど、周辺国債は大幅安(金利上昇)となり、今の相場にこの程度の金融政策がいかに効かないかを示しただけとなった。

FED
マーケットの急落を受けて、急遽レポによる資金供給の拡大と、既存のT-bill購入を他の年限にも拡充すると発表。

QEが連想され、一時的に株価は上昇したがその後反落している。
一方、モーゲージや米国債の先物/現物スプレッドなどは、今回の発表を受けて改善。

しかし、他の年限に購入対象を増やしたとしても、すでにここまで金利が下がっていることからも、景気支援にはならないだろう。

トランプの会見
昨晩、NY時間の8時頃から始まったトランプのコロナウイルス対策に関する会見は完全に失望。

マーケットではすでに期待値が下がっていが、給与減税($300bln)については「議会に審議を求める」と若干投げやりな印象。

財政の話はほとんど具体的なものが出ず、欧州からの渡航制限というネガティブ材料だけが、唯一具体的な発表であった。


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