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クレジットクラッシュが起きつつある米国

米国ではクレジットクラッシュが起きつつある。クレジットのワイドニング(安全資産とのスプレッドが拡大)が止まらず、起債を考えていた企業も見合わせているところが多い。

以下は米国企業のクレジット(IG Credit Spread)とフィナンシャルコンディション(Financial Condition)を重ねたものである。

チャートを見るとわかるように、この二つの指標には明確な相関関係がある。
FOMCが緊急利下げを行なったことで、フィナンシャルコンディションは上昇(金融環境の悪化)に歯止めがかかっているものの、クレジットはワイドニング(信用リスクの高まり)に歯止めがかからなくなっている。

原油安の影響でクレジットの悪化が激しいエネルギーセクターだけでなく、銀行など、多くの業種に波及してきている。

企業は「市場金利+クレジットリスク」でプライシングされた金利で調達しているため、クレジットがワイドニングすると市場金利が下がってもその恩恵を受けられなくなる。

2015/16年に見られたクレジットのワイドニングは原油価格の暴落を発端にしたものであったが、今回も似た構造になっている。

むしろ、今回は原油価格の下落だけでなく、コロナウイルスが与える影響が旅行、航空会社、エンターテイメントなど様々な業種に広がっていることを踏まえると2015/16年よりも深刻かもしれない。

原油の下落については、2015年の時と同様に、サウジアラビアとロシアが米シェール企業を淘汰しようとしていることが背景だ。
米シェール企業の採算コストは当時の60ドル台から40ドル台まで下がっていると言われているが、当時よりも財務内容が悪いことには注意しておきたい。

つまり、何が言いたいかというと、2月に入ってからクレジットのワイドニングが止まらなくなっているが、2015/16の時よりも状況は悪く、上のチャートからもわかるように、その水準は2015/16の時と比べるとまだ「低い」のである。

クレジットが2015/16年の時以上に悪化するリスクは十分に警戒しておきたい。


<Quick> 今のトレード方針
トレードは引き続き短期売買に徹している。
方向は基本的に順張り、リスクオフサイド。

一方、中長期的なビューで持ったドル人民元のショートは、実需の輸出フローが想定よりも弱いことと、クレジットクラッシュ時のドル高リスクを踏まえ、手仕舞っている。

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