記事一覧
9月23日 『起床』
【サビレタウタ】
かつてそこには人が居た
今はもう昔のこと
愚痴っぽいやるせないウタはもうはやらない
後悔したくないからと言って弾くウタには
過ぎたことの想いばかり
昔馴染みが立ち寄ったら
何をウタえばいいのかも忘れた
色褪せた服を着て
手に入らないものばかり
ただただ数えるだけのウタ
いつかそこには人が居た
今はもういないのに
皮肉っぽい暗がりのウタはもうみてられない
本心だって言って口ず
9月11日 『走り去って』
走り去って
捨てられた思い出に縋る僕だから
そんな重荷は全部ここに置いてって
愉しかった思い出も
嬉しかった出来事も
腹立たしい記憶も
あの時の涙も
僕の言葉と名前たちも
ここから去る僕の所へ置いて行っていい
そしたらきっと苦しむことは僕だけが負う
愛おしい過去に縋る僕だから
僕のことは捨て去って
光り輝く君の道に僕はいるべきじゃない
吐き出してしまいそうな愚かしい僕はおいて行って
孤独でしかい
9月9日 『サヨナラ』
Don't love me, I love you.
聞こえますか?聞こえますか?
聞こえるのならどうか聞かないでください
聞こえますか?
聞こえるのならどうか、どうか聞かないで
私のこれからいう言葉をどうか聞かないで
私はあまりに辛くて
私はあまりに苦しくて
あなたにこの声を聞かせたくて
それがあまりに厭で
だからどうか聞かないで
そしてどうか忘れないで
そしたらどうかきれいさっぱり私を
9月8日 自責で破産している詩
復讐と怨恨
人を恨んだことは無くて
自分を恨み続けた
できないことは全て自分のせい
人生は自分の罪を数え上げる苦行
自死は他者へあまりに無責任だし
怪我や事故は迷惑極まりない
それでも慰めを求める心を
おれはいつも許せなくて
自分を恨み続けた
努力に向かえない俺の不真面目や
動けない俺の不健康や
叶いもしない俺の恋心は
俺はいつも卑しく思えて
自分を恨み続けた
呼吸もできない苦しさや
一人でおか
9月6日 光の中が苦しい詩
喜びが苦しい時
日差しの中にいると
時折苦しくなる
輝かしい余韻に浸ると
今の切なさが寂しくて
愛おしい幻想も
恐ろしい観念になりそうで
この全てが どこか 怖い
そういう時は大きな喜びに眩暈を起こして
光る余韻に溺れかけて
甘い想いに胸やけを起こして
どこか 遠くへ 逃げようとしている
そういう時は夜風を浴びて
曇った夜空やまばらな星々を見て
薄明かりの月光浴びて
ちょうどいい光の中で
漂流す
8月31日 日記的な詩
包装
たい焼きを買った
小さな町の個人商店
花柄の包装が懐かしい
包まれるものは温かく
包む紙は薄くとも
三時過ぎの日差しの中
たい焼きを一個オマケしてくれた
花柄の包装が温かい
後でそのたい焼きを食べた時も
包まれたものは温かかった
剝がされた包装も温かかった
私はそれがよかった
たとえ包まれるものが冷えていても
包装は温かく包むものでありたい
風を
風が吹いていた
風は私の頬をぬぐって
8月28日 苦しい夏の日を生きる詩
夏だった空
ひどくあつい夜だった
夜霧の降りる街を見下ろし
空にかかる靄を眺めて
満月
しっとりとして
鼻に清涼で湿った夏が残った
夏
私は苦しかった
閉じ込められた室内での優柔不断な心の機微に
ずっと囚われていたようで
夏
雨に濡れる雨どいの黴の臭いとともに腐った
心も濡れて黴が生えてた
夏
けれどもやはり私は愛している
優柔不断で不安定で勇気のない踏み出せない私は
それでも甘い愛の中に溺れて
8月23日 前へ行くための詩歌
傷
一つ
傷がついた
一歩
前に歩んだ
裸足の歩みは
路端の小石や
薔薇の棘に
傷つく
美しい薔薇の
痛々しい棘は
近づかなければ刺さらない
美しい薔薇の
美しい花弁の中の秘密は
近づかなければ開かれない
路端の小石は
留まっていれば刺さらない
眼前の道は
留まっていれば進まない
私は靴を脱ぎ棄てて
薔薇のもとへ歩こう
たとえ愚かだとしても
私はこの傷をすべて愛そう
たとえ苦しくとも
私はこの傷
2021.8.21. 苦しさに手を差し伸べる詩
福音
打ち捨てられたような心持もきっと気のせい
壊れた破片を拾いなおすことは
どれだけ難しいことだとしても
苦しさも辛さも
あなたを苦しめるあなたの心も
きっとあなたの気のせい
自責を生み出す言葉を拾わないで
どうせ夢見るのなら
そこにある空を眺めて
そこにある雲を望んで
そこにある星を夢見て
その言葉は傷をつけるものでもあり
その言葉は傷に触れるためのものでもある
ゆっくりとあきらめて気のせい
2021.8.13. 生きることの辛さの中での詩歌
沈黙
黙っていれば傷つけない
黙っていればそこにいない
黙っていれば無実になれる
そういう卑怯な手で
私はいつも去ろうと 心を踏み潰すのだ
黙っていればいいのに
黙っていたいだけなのに
黙って消えればいいのに
踏み出そうとする心を
秘境にも私は 踏み潰すのだ
残るのは 沈黙だけ
消失
ほしいものができたのなら消え去る
うれしいことがあったのなら消え去ろう
楽しいことの前から消え去ってしまおう
2021.8.12. 倒れそうな心の詩
離さない
夜は沼だ
沼の底から手が伸びて
私の心を引きずり込む
その手はかつての私の呪い
「いつだってここに戻ってくる」
「永遠にここに戻ってくる」
「どうやったってここに戻ってくる」
深い深い深い深い深い
沼の底
生暖かく
重く
呼吸できない
眼を開いても
何も見えない
声を掛けられても
何も聞こえない
口から洩れる
謝罪の吐息
何もできない
心を沈めて
私は私の死骸によって
私の心が殺されて
2021.8.11. 題名のない涙の詩
なぜ涙がこぼれるのでしょう
なぜ
涙がこぼれ墜ちるのでしょう
静かな世界で
涙が零れ
床に落ちた時の音は
どうして聞こえないのでしょう
なぜ
涙を見せぬように
生きてしまうのでしょう
なぜ
息がこんなにも詰まるのでしょう
なぜ
こんなにも悲しいのでしょう
なぜ
こんなにも苦しいのでしょう
なぜ
こんなにも痛いのでしょう
なぜこんなにも傷つくのでしょう
なぜ
自然と
涙がこぼれ墜
2021.7.31. 溺れていくときの詩と歌
2021.7.31.(土)
海底
私を離さないでと
私が言っている
es でもエゴでもない私が
それは無理な話で
もう離れてしまって
そこにないものをどうやって
離さないでいられるのか
それでも歩みだすことが
それでも生きようとしなければ
それでも動き出さなければ
必死になっても
滑り落ちてゆく
深海の底で息の泡沫を吐いて
空の青さに混ざり解けてゆくように
意識を手放すように
私は離れ