2021.8.12. 倒れそうな心の詩

離さない


夜は沼だ
沼の底から手が伸びて
私の心を引きずり込む
その手はかつての私の呪い
「いつだってここに戻ってくる」
「永遠にここに戻ってくる」
「どうやったってここに戻ってくる」
深い深い深い深い深い
沼の底
生暖かく
重く
呼吸できない
眼を開いても
何も見えない
声を掛けられても
何も聞こえない
口から洩れる
謝罪の吐息
何もできない
心を沈めて
私は私の死骸によって
私の心が殺されてゆく
私は私の呪いによって
私の心は沈んでゆく
私は私の意識によって
私の心は崩れてゆく


こころ ーあなたへー


虚しさを呑み
あなたへ語れぬ
この弱さを許してくれ
私の心を許してくれ
傷つけたくなくて
傷つけられたくなくて
言葉を吞み込み続ける
私を許して
重たい重たい泥のように
胸に溜まった言葉の数々は
私の心を押し込んで
私の歩きを鈍らせる
理性と心と言葉がさらば
心が遅れ
頭が批判し
言葉が消えてく
倒れ伏す私の亡骸を
どうか
どうか許してくれ
それでもどうか
手を取ってほしい
その言葉が
胸の底にまた落ちた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?