2021.8.13. 生きることの辛さの中での詩歌

沈黙


黙っていれば傷つけない
黙っていればそこにいない
黙っていれば無実になれる
そういう卑怯な手で
私はいつも去ろうと 心を踏み潰すのだ
黙っていればいいのに
黙っていたいだけなのに
黙って消えればいいのに
踏み出そうとする心を
秘境にも私は 踏み潰すのだ
残るのは 沈黙だけ


消失


ほしいものができたのなら消え去る
うれしいことがあったのなら消え去ろう
楽しいことの前から消え去ってしまおう
私がいない方がよいと心の奥底から聞こえてくる
あたまがおかしくなるくらいに
素晴らしいものがあるのなら消え去ろう
愛しいことがあるのなら消えて去ろう
希望があるのならそこから消え去ろう
自分が希望を持つことが許せないのか
自分が幸せであることが怖いのか
自分がヒトと関わることが怖いのだ
願わくばこの手に誰かからの救済を
願わくばこの場所に私以外の幸福を
そういって私はじたばたとゆっくり
この世界から消失していく
前に歩みだせずに……

 


降りしきる雨はきっと排水溝を流れて集まって
私の心とつながって 涙として流れるのです
雨が降るだけで空しくて
雨が降るだけで切なくて
雨が降るだけで苦しくて
降れば振るほど私は
泥の塊のように 水とも固形ともつかない形で
溶けるように倒れ伏すのです
この空しさは 私の弱さ
この切なさは 私の怯え
この苦しさは 私のエゴ
降れば振るほど私は
川の流れのように 心が荒々しく
頭を抱えて むせび泣くのです
雨を蹴散らして進む車の 勢いよく進む音が
私の心を轢き殺して 涙を弾き出すのです
私の弱さは私を傷つけ
私の怯えは私を消して
私のエゴは私を我慢させる
そうして雨の日は 心を殺してしまうのです

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