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「悪の権化」PTAは必要か?~学校と保護者の関わりについて考える

こんにちわ、OgAzです。

テレビやネットで「保護者の敵!」と悪の権化のごとき扱いをうけるPTA。息子の小学校でPTA本部役員を経験した身としては、いつも悲しい気持ちになります。今の時代、先生という職業は激務と言っていいほどの仕事量なわけで、だからこそ「子どもたちを学校・保護者・地域みんなで守り育てていこう」というPTAの概念は必要だと思うんです。

私だって旗振り当番はだるいしやりたくないけど、(我が子を含む)子どもたちが危険にさらされないために、忙しいなか仕方なくやっています。それでいいと思うんです。なんかこういう議論では必ず最終的に「PTA要らない」って話になるんですが、PTAは保護者のためのものではありません。子どもたちのためにPTAは必要なんです。

私がPTA本部役員になった理由

2019年から2020年、感染症で世界が大パニックになる直前、息子の小学校で本部役員を経験しました。長男が小3~4年、次男が小1~2年だった頃です。

うちの小学校には「子どもが卒業するまでに必ず1回役員を経験する」という暗黙のルールがあります。しかし児童数が多いため逃げ切ることも実質可能で、みんな腹の探り合いをしているような雰囲気。立候補者がいなければくじ引きで決まってしまうので、不測のタイミングでくじに当たらないようにおのおのが見計らって「ねえ、来年、役員一緒にやらない・・・?」のような仲間づくりが毎年繰り広げられています。

以前書いたのですが、私、そういうなれ合いの付き合いが大嫌いでして

どうせやるなら自分のタイミングでやりたいよね!」ということで、次男が入学したタイミングで立候補した次第です。本部役員を2年やると、その先すべてのPTA活動で辞退する権利を得られるのも魅力でした(旗振り当番は除く)。2年やってパッと終わる、潔くていいじゃん。

理由がもう一つあって、次男は幼稚園入学の際に「発達障害の恐れあり」と言われたことがあり

念のためしっかり見守っておきたかったので、学校に行く機会は多い方がいいなと考えました。先生としっかりコンセンサスを合わせておけば心配いらないしね。

本部役員になって分かったこと

PTA本部役員になり、「書記」という役職に付きました。議事録やお知らせプリントなどを作ったりするのが主な仕事ですが、まあ基本は雑用ですね。同期のメンバーがとても変わった個性豊かな面々だったこともあり、実に刺激的な2年間を過ごました。楽しかったなー。

2年間本部役員を経験してみて、それまで意外と知らなかったPTAの実情というものを知ることができました。いくつかご紹介してみます。

◇PTAは意外といろいろな活動をやっている

PTAは予算を管理したりしているだけだと思っていたのですが、基本的に学校の雑用のようなことをやっています。子どもたちの登下校を見守る「校外委員」はPTAの一部(学校によって違いますが)。「PTA会費うちは払わない」とかいう人は、家から学校までつきっきりで自分の子どもを送り迎えしてどうぞ?と思います。みんなに見守ってもらってるから、子どもたちは安全に登下校できているんですけどねえ。

地域の方との交流もPTAの仕事の1つ。自治会の集まりに参加したり、校長と一緒にお祭りに顔を出したりします。学校のイベントのお手伝いをすることもあります。人手が足りないときはだいたい呼ばれる、それがPTA。

◇学校は思ったより全然お金がない

総会で予算の話し合いをしていて感じましたが、学校は本当に予算ギリギリでやりくりしている現状です。余分なものどころか必要なものすら買う余裕がないんですね。だからそれがPTAに回ってきます。うちの学校で言うと、たとえば給食の白衣や、子どもたち1人1人が机にかけている防災ヘルメットなど。とはいえPTAも割と予算スレスレで回している現状です。

◇仕事しながらでもPTAはできる

ママたちにちょっとした作業をお願いすると大抵「仕事が忙しいから・・・」と断られるのですが、PTA活動はだいたい1~2か月前にスケジュール調整のお願いをしてから依頼するわけで、調整できないくらい仕事って忙しいのか?と思いました。

本部役員になった当時は働いていなかったので、「両立はそんなに難しいのか実践!」と今の仕事(本業)を始めました。家からオフィスまでドアTOドアで1時間(電車通勤)、割とガッツリ働きましたが、普通に両立できました。フルタイム勤務の方が難しいのは理解しますが、パートであれば両立は可能だと思うんですよ。でも「本部役員でも仕事と両立できてるから大丈夫ですよ!」と言うと、みんな口ごもるんですよねははは。

◇ママさんたちデジタルに対応できない問題

これが意外と深刻だと思いました。世の中こんなにデジタル化とか言ってるのに、「パソコン使えない」と言う人の多いこと多いこと!パソコンと言っても、たとえばExcelに5行くらい追加するだけですよ。UIも工夫されナビゲーションもあって非常に分かりやすい昨今のパソコンで、「使えない」ってなに!?と思うわけです。スマホ使えてるじゃんと。「エンジニアさんには分からないよ」と言われてしまえば、まあそうなんですけど・・・。

内部改革!イメージアップ大作戦

世の中のPTAのイメージが悪すぎるので、せめて「うちの学校はちゃんと頑張ってるよ!」とアピールすることが大事だと思いました。書記なのでお知らせプリント類は私の担当。お堅いイメージを覆すにはどうすればいいか、あれこれ策をめぐらせました。

◇ゆるキャラ導入

イメージアップと言えば、まずこれですよね。本当は公募で決めたかったのですが、時間がなかったので、我が家の子どもたちに絵を描いてもらいました。モチーフは学校で飼っているカメ。長男・次男にそれぞれ書いてもらい、長男の作品を採用。そのカメは現在でもPTAキャラクターとしてさまざまな印刷物に使われており、長男は「俺が作者だから!」とご満悦です。

◇ドキュメント提出をデジタル化

総会のために年間活動報告を書かねばならないのですが、従来は代表者がPTA室までわざわざ来て、パソコンに入っているExcelファイルを共同編集していました。ただでさえパソコンに不慣れなママたちが扱うので、ファイルがしばしばどこかに移動します。管理どうなっとんねんということで、報告をすべてメールで提出してもらうように変更。テンプレートを作って、必要な個所だけ追記してメールしてもらい、書記はExcelにコピペするだけの作業。簡単じゃん。わざわざPTA室に行く必要もなくなったので、感謝されました。

◇活動報告プリントの刷新

書記の仕事として、PTA活動報告プリントの作成が年に2~3回ほどあります。内容が堅苦しいし、字ばっかりだし(写真は白黒でよくわからない)、本部に入るまでずっと「こんなん誰が読むのよ・・・」と思っていました。ということで、紙面を大幅リニューアル。新聞と言えばマンガだよね!とカメの4コママンガを付け、内容はできるだけカジュアルにかみ砕いてたものに。フリー素材をふんだんに入れ込んで、「読んでもらえる」お便りを目指しました。

4コママンガを付けたことで、意外な効果がありました。配布されると、まず子どもたちが読むようになったのです(主にマンガを)。子どもたちが読んでから渡すのでお母さんも読んでくれるということのようで、数人から「毎回楽しみにしてる」とお言葉をもらいました。嬉しい。なるほど、親を巻き込むにはまず子どもから。勉強になりました。

結び

仕事でもなんでもそうですが、物事って「お金をかける」か「時間と労力をかける」の二択だと思うのです。PTA活動が嫌なら、お金を払って外部団体に委託すればいいんですよ。でもそれにはそこそこ費用がかかる。みんなそれには納得しないよね?だからお金をかけずにみんなで協力し合おうっていうのがPTAの実態です。学校のためでも保護者のためでもなく、子どものためにPTAという存在はきっといつの時代も必要で。もちろん時代に合わせてアップデートしていかなければいけないんですが、「社会が子どもを育てる」という感覚を共有すれば、うまく乗り切っていけるんじゃないかなと思うのですが、いかがでしょうか。

私が楽しそうに活動していたせいか、我が子たちは今でも「PTAって楽しい!」というイメージを持ってくれています。どうせやらなきゃいけないなら楽しみながら、子どもたちも巻き込みながら、みんなであーだこーだ愚痴を言いながら乗り切ればいいんじゃないですかね。PTAをやる期間なんて、一生のうちのほんの一瞬なんだから。


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