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【くらしの東洋医学 鍼灸で元気に】にんじんパワーで健康に美しく!?

鍼灸治療では、症状の改善に役立てる、日常的な養生の方法のひとつとして、食生活上で気を付けることをお話することがあります。
今回は、季節を問わず手に入り、何かと便利な野菜のひとつ、「にんじん」をとりあげ、そのヒミツ、「にんじん」のすごさをご紹介していきます。

今回、「にんじん」を取り上げるきっかけは、筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』の周辺、千葉駅近くの八百屋さん(C・one店 - グリーンショップオオツカさん)の店頭で『彩誉=あやほままれ』という品種のにんじんがたくさん並んでいるのをみかけたことにあります。
当院『鍼灸 あやかざり』のホームページ(https://ayakazari.com/)上にもご紹介していますが、鍼灸院の名前は”彩”という漢字と関連しているんです。
これは、ぜひ『彩誉=あやほままれ』について調べて、「にんじん」の食養生の記事とともにご紹介しないと、と思ったわけです。
ここまで読んできて、にんじんと『彩誉=あやほままれ』のことがすごく気になってきましたよネ!!

前置きが長くなりましたが、『4.にんじん のレシピ』では、旬の人参をつかった、この時期におすすめの『にんじんご飯』をとりあげています。

では、最後までどうぞお楽しみください。

1.にんじんの由来

「にんじん」はせり科の植物で、原産地はインドの北部と言われています。非常に品種の多い野菜ですが、元の時代、16世紀ごろに中国を経由して日本に伝わった東洋系と江戸後期にイランからヨーロッパに伝わった西洋系、大きく2種類に分かれます。
西洋系の品種は江戸時代後期にオランダから日本に伝わりました。
栽培しやすいために現在はほとんど西洋系の品種となっており、東洋系のものは京野菜の金時にんじんや沖縄で栽培されている島にんじんなどごくわずかとなっています。

「にんじん」はご存知のように土の中で育つ根菜類ですが、根菜類の中では珍しくβ-カロテンを多く含んでいます。
このカロテンという名前は「にんじん」の英語名のCarrot(キャロット)からついたといわれています。
また、漢字では人参と書くこともありますが、中国で人参というと朝鮮人参など薬用の人参を指します。食用の「にんじん」の中国名は胡蘿蔔(こらふ)《胡(ヨーロッパ伝来の)+蘿蔔(大根)》と言うそうですよ。

最近はオレンジだけでなく黄色や紫、白色のにんじんも見かけます。
もともと東洋系の品種には様々な色がありましたが、栽培のしにくさや独特の味などが理由で栽培量が減っていました。
しかし、近年の品種改良によって栽培しやすくなり、また食べやすく改良されたため、彩りのよさから人気が急速に高まっています。

2.千葉と人参

人参の産地、気したことはありますか??
なんと、千葉県は北海道に次いで全国2位の「にんじん」の産地なのです!筆者の鍼灸院『鍼灸 あやかざり』は、千葉市内千葉駅近くに位置しますが、千葉市内の畑でも多く生産されているようです。
また、すぐ隣の船橋市は春先から初夏に出回る「春夏にんじん」の出荷量が千葉県内で1位、全国でも3位となっています。

春先から初夏に出回る「春夏にんじん」のうち3月頃に出荷されるものは「新にんじん」と呼ばれることもあり、寒い冬を越えて育ってきているので、普通の人参よりもさらにやわらかく、甘みもあり、みずみずしいのが特徴です。
近年では品種改良が進んで、特有のにおいが少なく、より糖度の高いフルーティな「にんじん」も出回っています。

冒頭で紹介した、『彩誉=あやほまれ』は、もともとは大阪岸和田の農場で開発された、プレミアムにんじんです。
味は、にんじん独特のクセがなく、生で食べてもとても甘くて美味しいことがその特徴です。
その甘さは、通常人参の糖度は5~7ですが、彩誉は7~9度、時には11度を超えることもあるそうです。
その甘さをいかして、そのまま絞っただけの100%のフレッシュジュースの味は格別で、“衝撃のにんじん”ともいわれています。
また、熱を加えて調理をすればさらに甘さが引き立ちます。
人参嫌い、野菜ぎらいのお子様もパクパク食べてくれる、と人気があるようです。
地元・岸和田は、岸和田生まれのにんじんとして「彩誉糖度コンテスト」が開催されるなど、PR活動がなされています。
現在では、全国各地で彩誉の生産が行われるようになっており、千葉では、習志野市で生産が行われていることから、千葉市内の八百屋さんでもみかけることができるようになったようです。

3.栄養学としての効能

「にんじん」には、他の緑黄色野菜にと比べて群を抜いて多くのβ-カロテンが含まれていて、大きめのにんじん約1/2本で一日の必要量が補えるとも言われています。そのほか、カリウムや食物繊維も多く含まれます。

【β-カロテン】
緑黄色野菜に含まれる橙色の色素成分で、抗酸化作用があり、からだの中の活性酸素を減らします。
免疫力が高まり、活性酸素による老化や癌、動脈硬化などさまざまな悪影響からからだを守ることができます。
また、β-カロテンはからだの中でビタミンAに変化します。
ビタミンAは目や皮膚の粘膜を健康に保つ働きがあるので、からだの抵抗力が強まります。この時期、花粉症で悩む方には大切な栄養素です。
栄養価の高い野菜の代表と言えばほうれん草ですが、にんじんに含まれるβ-カロテンはほうれん草の約2倍。
とても優秀な野菜です。

【カリウム】
塩分をからだの外に排出して、血圧を下げる働きがあります。
また、塩分といっしょに余分な水分を排出することでむくみの予防にもつながります。

【食物繊維】
水に溶けない不溶性食物繊維と水に溶ける水溶性食物繊維の両方が含まれています。
不溶性食物繊維は腸の中で水分を吸って膨らむので、腸を刺激して便秘の解消に役立ちます。
水溶性食物繊維は便を柔らかくしたり腸内環境を整える効果があります。どちらも体にとっては必要です。
両方の食物繊維を含む「にんじん」は優秀な野菜と言えます。

ところで、人参を選ぶ際のポイントです!
産直市場などでは「葉付きにんじん」を見かけることもありますね。
「にんじんの葉」にはビタミンCやビタミンEなどのビタミン類、カリウムやカルシウム、鉄などのミネラル類が含まれています。
普通に食べる根の部分よりも葉に多く含まれる栄養素もあります。
もし「葉付きにんじん」を見かけたらぜひ食卓にとり入れてみましょう。

4.東洋医学的な効能

東洋医学的には、「にんじん 」は以下のような属性と効能をもちます。
【性質と味】 甘・辛、平
【関連する臓腑経絡】 肺・脾・肝経

①補虚
胃腸の弱さを改善し、胃腸の調子を整えることから、消化不良の改善、便秘の改善等に有効です。
血を補う作用を持つことから、目が乾燥しやすい(ドライアイ)、目がしょぼしょぼしやすくかすみやすい、夜の見えづらさ(夜盲症)、肌荒れ等に有効です。
肺の働きを良くして、痰を取り除きやすくすることから、咳、気管支炎等の改善に効果的です。

②清熱
身体の余分な熱を冷ましやすくすることから、小児の発熱やのどの痛みに有効的です。

5.「にんじん」の簡単レシピ

春にんじんの甘みを活かすには、ジュースやサラダなどの生食もよいですが、火を加えることでグッと甘さが増します。
にんじんを主役にしたお料理と言えば『にんじんしりしり』や『にんじんラぺ』、『にんじんのグラッセ』などがありますが、今回は主食として取り入れられる『にんじんご飯』をご紹介します。
材料を用意したらあとは炊飯器にお任せできるので、忙しい時にも手軽に作れますよ。

【作り方】
①にんじんは後から少し短めにの千切りにします。
②油揚げ、しいたけ、えのきもにんじんの大きさにそろえて切ります。
③炊飯器に洗ったお米と水、調味料(しょうゆ、しお、みりん:お米2合に対して各大さじ2)を入れ全体をかき混ぜます。
④切った具材は混ぜ合わせてお米の上にのせます。
⑤炊飯器にセットして、炊飯のスイッチをオン。
⑥炊き上がったら全体をさっくりと混ぜ合わせて完成です。

千葉県の八千代市には『〔下高野(しもこうや)の人参ごはん〕』という郷土料理が伝わっています。
全国的にもにんじんの生産が盛んな地域にはその土地ならではの『にんじんご飯』があり、山梨県市川三郷町(いちかわみさとちょう)の大塚地区では『大塚人参めし』、岐阜県各務原市の鵜沼地区では炊き込みご飯の中のにんじんが金魚のように見えることから『金魚飯』と呼ばれているそうです。
郷土料理はそれぞれ作り方も味も異なりますので興味がある方は調べてみてください。また、インターネット上には現代風にアレンジされた『にんじんご飯』のレシピもたくさん出回っています。
にんじんがおいしいこの季節、ぜひご自身のお好みの『にんじんご飯』を探してみてくださいね。

いかがでしたでしょうか?
『にんじんパワーで健康に美しく!?』はお楽しみいただけましたでしょうか?

このように、身の回りにあるいろいろなものを東洋医学的にみていくと、鍼灸のほかにも、身近なところに自然治癒力を高めるヒントがたくさんあることに気づかされますね。

それでは、鍼灸でからだも心も元気になりましょう!

鍼灸 あやかざり
千葉駅5分 完全予約制 女性と子ども専門の鍼灸治療院
千葉県 千葉市中央区新町1−6 ラポール千葉新町202
TEL:070-8525-6132

画像の出典:https://www.photo-ac.com/

参考文献:『中医臨床のための中薬学』、『東方栄養新書』

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