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Qualunque cosa farai, amala.

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日々の雑感をまとめているマガジンです。 マガジン名はとある映画のセリフ。
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#差別

【雑感】ラベリング社会

【雑感】ラベリング社会

社会学者のH・S・ベッカーという人は「ラベリング理論」を提唱しました。

ラベリング理論は、「逸脱行動」(平たく言えば「犯罪」や「非行」)に関する理論です。逸脱は、内的な属性からではなく、他者からのラベリング(レッテル貼り)によって生み出されるものであると考えます。

しかし、こうしたラベリング行為そのものは、日常生活のあらゆる場面に見られます。ラベリング行為は、社会生活を送る上で情報処理の観点か

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【雑感】旧優生保護法救済法のニュースのこと

【雑感】旧優生保護法救済法のニュースのこと

このようなニュースが飛び込んできました。昨年の秋に「優生思想」について調べていたこともあり、非常に印象的でした。

旧優生保護法下で不妊手術を強いられた障害者らに「一時金」を支給する議員立法の救済法が24日、参院本会議で可決、成立した。終戦直後の1948年に施行され、強制不妊などの条文を削除した96年の母体保護法への改定も経て、70年余。「歴史的な一歩だ」「もっと改善して」「一人も取り残さない救済

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【雑感】「上級国民」という言葉は好きになれない

【雑感】「上級国民」という言葉は好きになれない

ネット上に広がる「上級国民」という言葉。いつから始まった言葉なのかよく知りませんでしたが、ニコニコ大百科によりますと、どうやら2015年の東京五輪エンブレム騒動からのようです。

上級国民という言葉は、一般国民に対してそれ以外の(特別な)国民がいるかのような発言を受けて、それを皮肉るために生まれた単語(ネットスラング)である。東京オリンピックエンブレム騒動を発端とし、主に2ちゃんねるの嫌儲板を中心

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【雑感】「時間稼ぎ」という言葉にあらわれるもの(後)

【雑感】「時間稼ぎ」という言葉にあらわれるもの(後)

昨日のnoteの続きとなります。

今回の件については、「『時間稼ぎ』という言葉のもつ意味」、「課長の言い訳の稚拙さ」、「謝罪がないという事実」の3点から書いています。今回は、2点目から3点目について書いていきます。

課長の言い訳の稚拙さまず、担当課長は「効率的な調査という観点から弁護士に対する抗議の意味であの言葉(『時間稼ぎですか?』)を言ったようだ」と話しています。ここでの「効率」という観点

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【雑感】「時間稼ぎ」という言葉にあらわれるもの(前)

【雑感】「時間稼ぎ」という言葉にあらわれるもの(前)

またも、衝撃的な記事が舞い込んできました。

埼玉県吉川市に住むALSの患者、高田泰洋さん(43)が、訪問調査をした市役所職員に対し文字盤を使って回答しようとしたところ、この職員から「時間稼ぎですか?」などと言われていたことがわかった。  同席していた弁護士がその場ですぐ抗議したが、職員から反省の言葉は未だない。

BuzzFeed Japan Medicalの取材に対して、吉川市の加藤利明障がい

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【雑感】知的障害の方の高校受験に関するニュースから思った「差別」の話

【雑感】知的障害の方の高校受験に関するニュースから思った「差別」の話

昨日は、私が最近テーマにしている「無自覚な差別」にかかわる話が二つも話題となった。一つは、知的障害者の仲村さんという方の高校受験をめぐる話、もう一つが、東京大学の入学式での上野千鶴子さんの祝辞をめぐる反応である。今回は特に前者についての雑感を書いておきたい。後者は以下より。

差別とはそもそも「差別」とは何か。社会心理学者の唐沢穣は、「ステレオタイプ」や「偏見」と紐づけて次のように定義している。

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「非常時気分」が蔓延する社会

「非常時気分」が蔓延する社会

久しぶりにいい記事を読んだ。安倍内閣は「偽装内閣」とも言うべき状況なのに、なぜ延命し続けるのか、政治学者の片山杜秀氏の論考が紹介されている。少し長いが、引用させて頂きたい。

 平和な時代には話し合いと調整の余裕があります。ところが、現在の日本は違うと多くの人たちが認識している。内閣官房の強大化が受け入れられている理由も、ここにあるのではないでしょうか。つまり、現在の日本は非常時に直面していると捉

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