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北海道のことば

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北海道弁や、日常のことばについて
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#冬

【エッセイ】ける

【エッセイ】ける

 近所のおじさんが運転する白いセダンで出かけた。助手席に私、後ろに姉と叔母さん。
 数日前に多めに降った雪が残っている。アスファルト以外の地面はほとんど分厚い雪の下だ。天気が良くて、道路の雪はきれいに溶けていた。気温は低い。
 廃屋が雪の重みに耐えかねてつぶけている。珍しくもない風景だけど、なんとも言えない気持ちになる。

 ちょっと感傷に浸りそうになり、あわてて思考を少し巻き戻す。
 あれ、つぶ

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【エッセイ】太陽のちから

【エッセイ】太陽のちから

 いつも冬の入り口に立って、あと少し、あと少しと念じるように思う。暗い朝に気が滅入る。昼間でも陽は低く、帰る頃にはすっかり暗い。
 もう永遠に明るい朝日で目覚めることはないかもしれないと思いながら、あと少し、あと少しと自分に言い聞かせる。
 あと少しで、冬至がくる。
 冬至をすぎたあとも、日の出はまだ少しずつ遅くなる。しかし、「冬至を過ぎた」という事実が私に救いを与える。太陽がちからを取り戻そうと

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