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◆怖い体験 備忘録

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今ではすっかり何も見えなくなったけれど、子供の頃から数十年間にわたって不思議な怖い体験をしてきたわたしの備忘録。 そんなに怖くないです。
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#ちょっと怖い話

◆怖い体験 備忘録/第25話 父は繰り返し夢を訪れる

◆怖い体験 備忘録/第25話 父は繰り返し夢を訪れる

父が亡くなったときは、本当に色々なことがありました。
このシリーズはやんわり時系列ごとに進めているので、どうしてもしばらくは父の話が中心になります。
わたしの人生の中でもダントツに重かった出来事なので、読むのが辛いと感じられる方は、どうかご無理なさらずにこの記事を閉じてください。
ただ、月日はかなりわたしの心を癒してくれ、当時のことを落ち着いて振り返る余裕も出てきたことは確かです。
こうして父のこ

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◆怖い体験 備忘録/第24話 愛犬は父と共に

◆怖い体験 備忘録/第24話 愛犬は父と共に

まだまだ、父の死をめぐる不思議な話は続きます。
今回は、当時飼っていた犬のお話。
父の死に纏わる前記事はこちらからどうぞ⏬⏬

さて、父が事故で他界した当時、実家には老犬がいました。
黒くて小さな雑種で、汚い鍋に入れられて工事現場に棄てられていたところを、父が見兼ねて拾ってきて以来、19年も共に暮らしてきた愛犬でした。
ニックと名付けられた彼は、父が「この犬が死んだら他の犬は飼うなよ。こんなに賢い

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◆怖い体験 備忘録/第23話 父と伯父の別れ

◆怖い体験 備忘録/第23話 父と伯父の別れ

前回は、父とのお別れの話を書きました。
決して『怖い話』ではありませんでしたが、今回もどちらかと言えば、怖いというより不思議な話です。

父は、7人兄弟の下から2番目でした。
兄弟の中でも飛び抜けて腕っ節が強く、弁も立ち、気性も激しかったので、何となく親戚を取りまとめるようなポジョンに居たかと思います。
父の死後、大いに混乱した父の兄弟たち、わたしにとっての伯父や伯母とは一気に疎遠になるのですが、

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◆怖い体験 備忘録/第21話 壁から出た手

◆怖い体験 備忘録/第21話 壁から出た手

あれは、一度戻った実家で父と大喧嘩をして家を飛び出し、しばらく経った頃のことでした。

実を言うと、完全なる独り暮らしは初めてのこと。
寮生活は経験したことがありましたが、所詮若い子たちが寄せ集まって集団生活をする場所、寂しいと思ったことは一度もありません。むしろ、毎日が修学旅行みたいな。

対して、近隣に誰が住んでいるかもよくわからないアパート暮らしは、ほとんど他人の干渉がありません。
なので、

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◆怖い体験 備忘録/第20話 人形の夢と、先生との出会い

◆怖い体験 備忘録/第20話 人形の夢と、先生との出会い

20代も中盤を過ぎた頃になると、わたしの霊感めいた何かはすっかり日常生活の中に定着するようになっていました。
恐怖心はないことはないのですが、あまりに頻繫だと、多少の金縛りや目撃には動じなくなります。
ただ、干渉してくるタイプのものや、予感めいた悪い夢にはいつまで経っても慣れることができませんでした。

この日見た夢も、そんな「予感めいた悪い夢」でした。
当時わたしが務めていた会社は残業が多く、帰

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◆怖い体験 備忘録╱第19話 螺旋階段

◆怖い体験 備忘録╱第19話 螺旋階段

一時期、とある事業を推進するための事務所の管理を任されていたことがありました。
主な仕事は電話応対と企画書などの書類作成、外部の人とこちらのプロジェクトチームの人員との折衝みたいなよくわからないポジションで、わたしの他に常駐は2人という小さな事務所でしたが、初めて役職をつけられた仕事に、意欲は漲っていました。

事務所は雑居ビルの一階にあり、元々は美容室だった場所を改装したせいか、全体的に白基調の

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◆怖い体験 備忘録╱第18話 ホテルにいた子ども

◆怖い体験 備忘録╱第18話 ホテルにいた子ども

以前、わたしがお勤めしていた会社に霊感女子が入社してきた時のお話を書きました。
今回は、またその彼女と同じ存在を感じた時のお話です。

わたしが居た会社では、年に一回大きなイベントを主催していました。
札幌にある大会場を貸しきりにして、全国から集まる顧客を相手に高額商品を販売するイベントだったのですが、その運営を日頃はたった5名の社員で回すので、イベント開催の前後は目の回るような忙しさでした。

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◆怖い体験 備忘録╱第17話 友人宅にいたもの

◆怖い体験 備忘録╱第17話 友人宅にいたもの

学生の頃に知り合い、長らく文通(歳がバレますね)をしていた友人がいました。
彼女は横浜の人で、一度北海道へ遊びに来てくれたこともあり、数年後、今度はわたしが出向くことになりました。

彼女のお宅は、田舎では見たこともない規模の市営住宅の一角にあり、お母さんと弟さんと三人暮らしということでした。
2泊3日、ご厚意で彼女のお部屋に泊めて頂くことになり、少し観光したりしながら、一緒にたくさん絵を描きまし

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◆怖い体験 備忘録╱第16話 誰かが起こしてくれた

◆怖い体験 備忘録╱第16話 誰かが起こしてくれた

あれは、出張帰りのことでした。
今でもたまにあるのですが、わたしは運転中でも堪らない眠気に襲われることがあります。
まぁ、昔から夜更かしが多い方なので、昼間にどうしても眠気が来るんでしょうね。
運転中でもそういう時は、パーキングなどに少し車を停めて5分だけでも眠るようにしていました。
幸い、それくらい眠ればまたすっきりと目が覚めて、ちゃんと運転できるようになるのです。

あの時も、確かそんな感じで

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◆怖い体験 備忘録╱第15話 黒い犬

◆怖い体験 備忘録╱第15話 黒い犬

20代前半でしたか、一時期社長秘書として商社にいたことがあります。
事務員から引き抜きに合い、6年ほど勤めていました。
その会社は雑居ビルの2階にあり、応接セットと事務机が5つ、会議テーブルがひとつ、それに小さな社長室がひとつという、大変奥ゆかしい事務所でありました。

建物はかなり古かったのですが、内装はリフォームがかけられていて、それなりに綺麗でした。
ただ働き出してからしばらくして、わたしは

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◆怖い体験 備忘録╱第14話 電気の怪

◆怖い体験 備忘録╱第14話 電気の怪

以前、自室で金縛りを含む怪異に遭遇した時、なぜかトイレと廊下の電気がしばらく点かなくなったお話をしましたね。
今回は、オバケと電気のお話です。

以前お話した怪異の話⬇️⬇️⬇️

よく、ホラー映画なんかでも使われる描写。
オバケが出ると、電気が点いたり消えたりする。
あと、電話からオバケの声が聞こえてきたり。

はてさて、ところでオバケにはそんな力があるのでしょうか?
物理的にスイッチを押してい

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◆怖い体験 備忘録╱第13話  祖父が来た話

◆怖い体験 備忘録╱第13話 祖父が来た話

あれは、実家を出て間もなくの頃でした。
その頃わたしは寮暮らしで、親の目を気にせず同年代の子たちと遊べる環境は目新しいことばかりで、それこそ毎日のように寝る間も惜しんで遊び歩いていました。

しかしだいぶ昔の話ですし、田舎暮らしのことでしたから、若者が遊ぶ場所など限られています。
せいぜいカラオケボックスか、ゲームセンターか、行きつけの飲み屋さんか。
そんな中、付き合った人の影響で、わたしは一時期

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◆怖い体験 備忘録╱第12話 怪談話は霊を呼ぶ?

◆怖い体験 備忘録╱第12話 怪談話は霊を呼ぶ?

その昔、定期的に集まって遊ぶ大きめのグループがありました。
当時勤めていたバイト先に気さくで求心力のあるご夫婦がいて、休日前夜ともなると、職場のスタッフやそのまた友達までもが彼らの家に集まり、一緒にご飯を食べたり、ゲームをして遊んだりしたものです。

入れ替わり立ち替わりの総勢12~3人のグループでした。
少人数ならともかく、これくらいの人数の集まりともなると、みんなでゲームをするとか以外はどうし

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◆怖い体験 備忘録╱第11話 ペンションにて

◆怖い体験 備忘録╱第11話 ペンションにて

前回登場した彼とは、3年ほどお付き合いしました。
これは、その彼とF市にあるペンションに泊まった時のお話です。

F市は、数多くの映画やドラマの舞台にもなった景勝地で、以前から一度そこに行ってみたいね、とよく彼と話していたのです。
ちょうどお互いに時間の取れたある夏、張り切ってお洒落なペンションを予約し、出掛けて行きました。

そこは、本当に童話に出てくるような可愛い作りのログハウスで、一階は暖炉

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