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あんそろぽろじすと
2021年3月22日 11:36
「もっとも絶滅の危機に貧している動物」と言われたとき、読者のみなさまはどのような種を思い浮かべるでしょうか? 実は、私たちヒトの進化の隣人であるオランウータンのなかに、そうした種のひとつであるタパヌリオランウータン (Pongo tapanuliensis) がいます。オランウータン属は、ボルネオ島に住むボルネオオランウータン (P. pygmaeus) と、スマトラ島に住むスマトラオランウー
2019年1月10日 21:06
本書*1は、オランウータンのことがほとんどわかっていなかった戦後すぐの時代に、単身ボルネオに渡り、野生オランウータンの調査を試みた研究者の旅行記です。これまでも、霊長学者による野生のサル調査記に関してはいくつもの書籍が出版されてきました (参考: 【書評】オランウータンとともに)。しかし、そうした類書と一線を画しているのは、本書の著者が霊長類学者というよりは心理学者であり、野外調査の経験がほとんど
2018年9月1日 17:43
ヒトにもっとも近縁なサル (大型類人猿) に、チンパンジー、ボノボ、ゴリラ、オランウータンがいます。このうち、前3種はアフリカのみに生息しているのに対し、オランウータンは東南アジアのインドネシアとマレーシアのみに生息します。アフリカの大型類人猿に関してはこれまでにさまざまな解説書が日本語で出版されているのに対し、オランウータンに関して書かれた専門的な解説書は、英語のものばかりでした。(オランウータ
2017年11月9日 15:09
ヒトは毎日のように水中の生き物を食べています.海や川の魚,海藻,タコやエビ,などなど.ですが,われわれヒトは,サルの仲間です.陸上で植物や昆虫を食べるように進化してきたサルが,水中の生き物を食べるというのも,よく考えてみるとおかしな話です.では,ヒト以外のサルは,どのくらい,水中の生き物を食べるのでしょうか…? 今回紹介するのは,これまでになされた研究報告を集めてきてまとめて解析し (メタ解析
2017年6月10日 21:39
体重数グラムのネズミから,数トンのクジラまで,その名が示すとおり,哺乳類はおっぱいを与えてコドモを育てる動物です.短いものでは数日 (一部のアザラシなど) から,長いものでは6年以上 (オランウータンやヒト) と,おっぱいを与える期間もさまざまです. この,哺乳類におけるおっぱいの多様性のなかでもかなり極端なほうに位置するのが,ヒトに近縁な大型類人猿である,オランウータンです.授乳期間はコドモ
2017年4月2日 23:16
ヒトにもっとも近いサルである大型類人猿 (チンパンジー,ボノボ,ゴリラ,オランウータン) は,現在絶滅が危惧されており,法律によって強く保護されています.もしこれらの野生個体を密猟したり捕獲したりすると,どの国でも,懲役や高額の罰金を課せられることになります.しかし,国連機関が出した集計によると,2005−2011年のあいだの7年間に,少なくとも,チンパンジー643個体,ボノボ48個体,ゴリラ
2017年3月1日 07:55
過去の暮らしを知りたいと思ったとき,どうすれば良いでしょうか…? あんそろぽろじすとでもたびたび紹介しているように,過去の遺物に対して,自然科学の手法を適用するのがひとつの方法かもしれません.・ネアンデルタール人の贈り物 ・5000年前、なに食べた? ・鉛の棺の数奇な運命もっと簡単なのは,その時代に書かれた記録をひもとくことです.その記録を書いた人の主観が混じってはしまいますが,往
2016年7月1日 19:21
何万年という時間軸で,私たちヒトがアフリカから世界中に広がっていった様子は,このブログでも何度か取り上げています*1.しかし,この広い地球上で長い時間をかけて移動しているのは,ヒトだけでもないのです.今回の話の主役であるオランウータンも,何十万年もかけて地球上を移動しています.現在,野生のオランウータンは,インドネシアのスマトラ島と,マレーシア・インドネシアのボルネオ島にしか生息していません.
2015年12月19日 12:39
今回紹介する書籍『オランウータンとともに』*1は,1970年代のはじめ頃から,野生オランウータンの長期研究を世界で初めて行なった女性研究者の自伝です.リーキーズ・エンジェルと称された3人の女性研究者*2のひとり,ビルーテ・ガルディカス博士は,これまでほとんど研究されておらず,謎の類人猿とされてきたオランウータンの調査に挑みました.師であるルイス・リーキーとの出会い,インドネシアの熱帯雨林ですべ