マガジンのカバー画像

短歌

136
運営しているクリエイター

#今こんな気分

短歌:両親のいる人

短歌:両親のいる人

「高齢の両親」と聞きこの人は
両親がいる人だと思う

同僚が、高齢の両親と食事に行った、
と話していました。

ああ、同僚には両親がいるんだ。

私の親は離婚して、交流があるのは母だけ。
父の生死は分かりません。

身勝手な男性と縁を切ることができて、
母にとっても私にとっても、ほんとうに良かったと思っています。

でも、時々、
両親が揃っていたらどんな人生だったかなと。

夫と結婚するとき、

もっとみる
短歌:カイロのその後

短歌:カイロのその後

背負われたカイロは孤独を吸いとって
硬くなったら捨てられていく

寒いので、背中にカイロを貼っています。

カイロは暖かさをくれて、
私の孤独を吸いとってくれているよう。

でも、朝に貼ったカイロは、夜には硬くなっていきます。
そして、そのままごみ箱へ。

使えなくなったカイロを持っていても仕方ないのだけれど、

カイロに酷い仕打ちをしているような気がして、
少しだけ胸が痛みます。

短歌:夫の態度

短歌:夫の態度

おならした非礼を詫びぬ夫への
視線で今の自分を測る

突然ですが、夫はよくおならをします。

おならをすること自体は良いのです。
生理現象だし、我慢すれば具合が悪くなります。

問題はその後。
勢いよくした後でも、全く詫びる気配がないのです。

夫は「大丈夫、大丈夫」と言いますが、
「大丈夫か判断するのは、
おならをした方ではなくて、された方。」
と私は10年以上言い続けています。

悪びれない夫

もっとみる
短歌:公園の忘れ物

短歌:公園の忘れ物

鉄棒に掛けられたままの黒キャップ
横目に園のお迎えにゆく

先週から、公園の鉄棒にNIKEの黒いキャップが掛けられています。
誰かが忘れたようです。

比較的新しく、今シーズンに買ってもらったのかもしれません。

最近は、その帽子を横目に見つつ、娘の保育園迎えに行きます。

お迎え後、娘は家族と楽しく夜を過ごしますが、

キャップはひとりで公園に残ったまま、 
風雨に晒されたままです。
そのうち処

もっとみる
短歌:上司のことば

短歌:上司のことば

食事には手を抜かないと言う上司は
毎日妻の手料理を喰む

上司は健康に気をつけているそうで、
「食事には手を抜かない」と話していました。

自分で食事を作るのか聞いてみると、
平日週末問わず、奥様が作っているとのこと。
上司がお買い物をするわけでもないそうです。

手を抜いてないのは奥様であって、
上司は関係ないですよね‥?と心の中でツッコミました。

何をもって「手を抜かない」のか分かりませんで

もっとみる
短歌:フリーターの献血

短歌:フリーターの献血

歯車の小さな一つになりたくて
B型+おずと差し出す

私にはフリーターだった時代が何年かありました。
その頃は社会から切り離されてしまった感覚があり、せめて少しは役に立ちたいと献血に通っていました。

今でも時々、子育て中に、社会から切り離された感覚になることがあります。そんな時はまた献血をせねばと思う自分がいます。