アートの世界

画像1 二泊三日で、娘が帰って来ました。地元の友達と会ったり、いつも何かと忙しい二十歳の娘です。髪の色が落ち着いていたので少し安心しました。
画像2 夕方二人で散歩をした時、西の空が茜色に染まっていました。世界のいろんな事が目まぐるしく変化しても、この空の美しさだけは永遠に続くのでしょうか?
画像3 偶然飛んでいた飛行機を発見し、「いつかあちこち旅行したいなぁ」と私が言うと、「えっ!?パパパニック障害で飛行機乗れんじゃん!新幹線にしなよ!」と、からかわれてしまいました。
画像4 晩御飯のリクエストは、予測の通りキムチ鍋でした。この前帰って来ていた息子も同じリクエストだったので、可笑しくなります。頭にタオルを巻き、小さな海賊団のような格好で汗をかきながらたくさん食べました。
画像5 娘もお酒が飲めるので、いい晩酌相手です。少し酔うと、普段以上におしゃべりになります。小さい頃の思い出話やファッションの話に花が咲いて、また洋服をおねだりされました。この前の誕生日プレゼントのお返しに、何か買ってあげるよと約束をすると、おかわり用のビールを持って来てくれました。
画像6 特製のカクテルも上手に作ってくれます。キレイな色をしているので、私も大好きになりました。「ビールとハイボールだけだと色が地味じゃん!」と、娘は笑っていました。
画像7 亡くなった妻のお墓参りにも行きました。子供の頃から歩き慣れた、田舎の長閑な道です。川で遊んだり、山に隠れ基地を作ったり、たくさん遊んだ故郷です。
画像8 たまにたぬきやイタチなんかも出て来る、不思議な道です。私は都会の風景も好きですが、何かふと妖怪が出て来そうな、そんな懐かしさと温かさに溢れた故郷もまたいいなぁと思っています。
画像9 娘が、「ママの写真を何枚か持って帰っていい?」と尋ねました。「いっぱい持って行っていいよ!」と言うと、喜んでアルバムを見ていました。帰省した理由も、どうやらこの写真が目的だったようです。
画像10 娘は平成十五年の一月に産まれました。少し体が弱く、入院生活が続きました。ママは、娘がもうすぐ一歳になろうかという秋の終わりに、病気で天国へと旅立ちました。だから子供達は、写真でしかママの顔を知りません。
画像11 娘は産まれてすぐ、私達、小さな家族に、大きな大きな足跡を残してくれました。これから力いっぱい歩んで行く為の、元気な足です。
画像12 いつも明るく笑っていて、写真を撮られるのが大好きでした。泣いていてもカメラを向けると、なぜかいつも泣き止み、ポーズを作ってくれるのが面白かったです。
画像13 ハイハイも早くに覚え、退院してからは元気に動き回っていました。歌やダンスのテレビを観るのが好きらしく、その番組になると体全体で喜びを表現していました。
画像14 「元気になってくれてありがとう!」「パパにもお菓子を分けてくれてありがとう!」そう言いながらいつも胸の前で軽く手を合わせるのが私の習慣となっていました。「どんな状況でも、感謝の気持ちを忘れたらだめだよ」と、私の母がいつも言っていたので、娘にも伝わればいいなぁと思いながら「ありがとう」と口に出していました。
画像15 それがきっかけになったのか、娘が最初に覚えた言葉は、「あーと、あーと」でした。私にだけでなく、いろんな人に「あーと!」とニコニコしながら笑うので、「ありゃ!この子はえらい気が利く賢い子やねぇ」と、近所のおばちゃんも笑っていました。
画像16 私は、この子の父親でよかったなぁと、寝る前や、朝起きる時、いつも思っていました。妻のお墓参りに行った時は、この子達を産んでくれてありがとうと、いつも心の中でお礼を言いました。その気持ちは今も明日も未来も変わりません。
画像17 娘が沖縄旅行のお土産で買って来てくれたシーサーは、私の宝物です。この置物を見ると、勇気と力と笑顔が湧いて来るからです。
画像18 色違いもあり、「笑って長生き」と書いてあります。だから何があっても元気に笑い、辛いことや悲しいことを吹き飛ばして生きて行こうと思っています。
画像19 娘はいたずら好きな性格で、靴下とTシャツを使って何やら作っていました。
画像20 次の日はまた別の作品です。「パパー、アートよアート!こんなところから芸術は生まれるとだけん!わたしが出世したら、この写真高く売れるかもよ!」と、アイスを食べながら笑っています。
画像21 成人式の日に撮った写真がお気に入りのようです。
画像22 「なんね?これも芸術ね?ライトアップされてるけん、アートっぽく盛れてるやん?」と言うと、「は!?これは素のままやし!盛ってないもん!」と鼻をピクピク動かします。
画像23 娘は小さい時から、少し見栄を張ったり大袈裟に何かを言う時、必ず鼻がピクピク動くので、変わらないなぁと可笑しくなります。テストの点数が悪い時などもすぐに分かります。これは父親の私だけが知っている娘の秘密のクセなのかも知れません。
画像24 帰る時、最初はバスの予定でしたが、案の条私が送って行く事になりました。もう慣れっこです。私の大好物のコーヒーを奢ってくれたので、まぁいいか!と思います。
画像25 娘と過ごすと時間があっという間に過ぎ、とても体力を使います。だから健康にも気を遣い、いつまでも元気でいたいなぁと思っています。何年経っても、いつになっても、子供を見送った後は少し寂しく感じるので不思議です。楽しい時間も、この子が産まれてからの今までの時間も、本当にあっという間でした。
画像26 産まれて来てくれてありがとう。いつも笑ってくれてありがとう。こんな頼りないパパの子供でいてくれてあーと。あなたが産まれたあの日から、今も変わらずに、ずっとずっと、大切に想っています。

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