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形而上学的可能性や概念的可能性などの用語まとめ
分野を問わずにnoteの投稿を増やすと宣言したので、勉強した形跡をどんどん残していこうと思う。今回は、分析哲学(心の哲学)で概念的可能性や形而上学的必然性などについての用語まとめを行う。
まず、形而上学的可能性は概念的可能性の部分集合[概念的可能性[形而上学的可能性]]である(これらの定義は後で述べる)。それゆえ、ある命題が形而上学的に可能ならば、概念的にも可能である。その逆は必ずしも成り立たな
身体部位所有者上昇構文
本noteでは身体部位上昇構文という言語現象について見ていく。
1. 身体部位所有者上昇構文とは
身体部位所有者上昇構文(Body-Part Possessor Ascension Alternation)とは、身体部位の所有者(e.g. John)が目的語位置に生起し、身体部位(e.g. shoulder)が前置詞でマークされた構文のことを言う。例えば、Mary hit John's shou
2種類の道具主語 (Pinker:1989, 西村・野矢:2013)
Pinker (1989:163) では、道具がintermediary instrumentsとfacilitating instrumentsに分けられており、前者の方が主語位置に現れることができるとされている。前者の道具は、例えば、The brass key opened the doorの場合、「誰かが鍵に働きかけることによって、鍵がドアに作用し、それが原因でドアが開く」という具合に
もっとみる'The locative Alternation' Pinker(1989)
In this note, I will introduce the analysis about locative alternation suggested by Pinker(1989). Before this, I will give a brief explanation of what it is that locative alternation refers to.
壁塗り構文の道具項の省略可能性は何に依存するのか?(Kishimoto 2009)
導入
壁塗り構文とは、(i)のように移動物と場所が動詞の形態的変化なしに交替を引き起こすものである。
(i)a. ジョンは壁にペンキを塗った。
b. ジョンは壁をペンキで塗った。
(ia)は、場所が「二」で、移動物が「ヲ」格で標示され、(ib)は、場所が「ヲ」格で、移動物が「デ」で標示される。
以下では、(ia)をmaterial variantあるいはmotion frame、(i