Ryoya Saito

言語学専攻の修士1年生です。統語論・語彙意味論に関心があります。大学3年までは分析哲学…

Ryoya Saito

言語学専攻の修士1年生です。統語論・語彙意味論に関心があります。大学3年までは分析哲学をやっていました。好きなことは英語です。英検1級を大学3年生の時に取得しました。Twitter:https://twitter.com/Ryoyaeng

最近の記事

形而上学的可能性や概念的可能性などの用語まとめ

分野を問わずにnoteの投稿を増やすと宣言したので、勉強した形跡をどんどん残していこうと思う。今回は、分析哲学(心の哲学)で概念的可能性や形而上学的必然性などについての用語まとめを行う。 まず、形而上学的可能性は概念的可能性の部分集合[概念的可能性[形而上学的可能性]]である(これらの定義は後で述べる)。それゆえ、ある命題が形而上学的に可能ならば、概念的にも可能である。その逆は必ずしも成り立たない。では、形而上学的、概念的とはどういう意味だろうか。以下のように定義する。

    • 「ラベル付け理論」勉強記録(Saito: 2020)

      最近、ちょっと勉強会仲間の影響でラベルづけ理論をさすがに勉強しようと思ったので、その勉強記録を自分用のメモとして以下に記していこうと思う。また、ただ論文を読むだけでその中身をアウトプットしていかないと無限に内容を忘れていくので、分野問わずにnoteの執筆頻度を増やしていこうと思う。最後に、内容上のミスに関するすべての責任は、このnoteの執筆者である私が負う。ちなみにまだ執筆途中で、のちに加筆・修正を加える。 さて、中身に入っておこう。ここから先は、Saito(2020)を

      • 身体部位所有者上昇構文

        本noteでは身体部位上昇構文という言語現象について見ていく。 1. 身体部位所有者上昇構文とは 身体部位所有者上昇構文(Body-Part Possessor Ascension Alternation)とは、身体部位の所有者(e.g. John)が目的語位置に生起し、身体部位(e.g. shoulder)が前置詞でマークされた構文のことを言う。例えば、Mary hit John's shoulder.の身体部位所有者であるJohnを目的語として上昇させ、Mary hit

        • 2種類の道具主語 (Pinker:1989, 西村・野矢:2013)

          Pinker (1989:163) では、道具がintermediary instrumentsとfacilitating instrumentsに分けられており、前者の方が主語位置に現れることができるとされている。前者の道具は、例えば、The brass key opened the doorの場合、「誰かが鍵に働きかけることによって、鍵がドアに作用し、それが原因でドアが開く」という具合に因果連鎖の2番目に位置することができる参与者がintermediary inst

        形而上学的可能性や概念的可能性などの用語まとめ

          'The locative Alternation' Pinker(1989)

          In this note, I will introduce the analysis about locative alternation suggested by Pinker(1989). Before this, I will give a brief explanation of what it is that locative alternation refers to. Locative Alternation The locative alt

          'The locative Alternation' Pinker(1989)

          某言語学グループ研究発表会を終えて(卒業論文の「壁塗り構文」の項構造について)

          本日、2023年3月5日、某言語学グループの研究発表会があった。そこで、私は、卒業論文の「日本語の壁塗り構文」について発表したのだが、そこでいくつも有益なコメントを頂いたので、このnoteにまとめようと思う。また、この研究発表会でお話しした卒業論文の内容とそこから生じる疑問点についてても紹介する。その前に、このようなアウトプットをさせていただき、そのコメントまでいただける機会は大変ありがたいという感謝の旨を述べておく。また、この会の感想として、研究をする際に、一人で考え込むよ

          某言語学グループ研究発表会を終えて(卒業論文の「壁塗り構文」の項構造について)

          壁塗り構文の道具項の省略可能性は何に依存するのか?(Kishimoto 2009)

          導入  壁塗り構文とは、(i)のように移動物と場所が動詞の形態的変化なしに交替を引き起こすものである。 (i)a. ジョンは壁にペンキを塗った。    b. ジョンは壁をペンキで塗った。 (ia)は、場所が「二」で、移動物が「ヲ」格で標示され、(ib)は、場所が「ヲ」格で、移動物が「デ」で標示される。  以下では、(ia)をmaterial variantあるいはmotion frame、(ib)をlocational variantあるいはchange-of-state

          壁塗り構文の道具項の省略可能性は何に依存するのか?(Kishimoto 2009)

          専門分野についての紹介

          私は、言語学専攻の大学4年生で、来年度(2023年)から大学院の修士課程に進学します。この noteでは私の専門分野とその分野に魅力を感じた理由を簡単に述べていきます。 今の専門分野専門は、統語論と語彙意味論です。 統語論は、平たく言うと文に階層構造を規定して、その構造に基づいて、いろいろな言語現象、たとえば代名詞と先行詞の指示関係などが説明されます。 語彙意味論は、その名の通り、語彙(動詞や名詞、形容詞、副詞など)に含まれる意味を研究する分野です。例えば、私の卒論では

          専門分野についての紹介

          自己紹介

          はじめまして、Ryoyaと申します。列挙形式で自己紹介をしていこうと思います。その前に、この自己紹介の目的を述べておくと、自分がどういったことに関心があり、どのような人間であるかを皆さんにお伝えしたいということが目的としてあります。 では、以下が自己紹介になります。 ・身分:大学4年生(2023年度から修士課程に進学) ・専門/関心分野:言語学、とくに統語論、語彙意味論。分析哲学(心の哲学、メタ倫理学、規範倫理学、論理学、言語哲学、科学哲学など)。専門分野についての詳し

          自己紹介

          大学院入試を振り返る(国立文系・言語学)

          1 はじめに 私ははある国立大学の言語学を専攻する学部4年生で、言語学で外部の大学の院試を受け、無事合格できた。 このnoteでは、自分がなぜ院試に落ちると思っていたのか、また、結果的には合格しており、肩の荷が降りたにもかかわらずなぜ危機感を抱いているのかについて述べ、この自信のなさとは裏腹になぜ院試に合格することができたのかについて述べるためのものだ。その際に、「知識の統合」というキーワードについても本noteで述べたい。 2.1 なぜ院試に落ちると思っていたのか:統

          大学院入試を振り返る(国立文系・言語学)