日韓の薬機法の違いと、日本の美容業界が取り組むべきこと
皆さまこんにちは! ampuleのウンソンです!
前回の「元韓国美容部員が解説!韓国で愛される日本のコスメ2選&J-Beautyならではの強みとは?」記事はもうお読みいただきましたか?^^
まだ見ていない!という方は、ぜひこちらからチェックしてください^^
私が担当しているnote連載「教えてうんちゃん先生!」では、国内外問わず、コスメが大好な私だからこそ気づくことや、日韓両方の立場から考えるこれからの美容業界について皆さんにお届けしたいと考えています♪
第3弾のテーマは
「日韓の薬機法の違いと、日本の美容業界が取り組むべきこと」です!
「韓国のプチプラスキンケアが強い理由」と聞いて、皆さんは何を思い浮かべますか?
価格の安さやデザイン性の高いパッケージ、海外戦略の強さなど、いろいろな理由が挙げられると思いますが「日本の商品にはないような魅力的な訴求」も韓国のアイテムの大きな強みです。
Qoo10などで韓国アイテムを見てると「なんでこんなことが謳えるんだ!」と思う方も多いのではないでしょうか。
本日は、日韓の薬機法の違いをご紹介しながら、厳しい薬機法の中でも日本の美容業界ができることについて考察していきたいと思います。
※日本と韓国で用語が異なりますが、本文では以下の意味で使用しています。
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<日本> <韓国>
薬機法=化粧品法
医薬部外品=機能性化粧品
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1)韓国の化粧品法について
韓国のスキンケアアイテムって、魅力的な訴求をする商品がとっても多いですよね。
国内正規販売のものは、もちろん日本の薬機法に則った広告になっていますが、越境EC(韓国からの発送)の場合は、韓国の広告文言がそのまま日本語で訳されてしまうこともあり、日本の薬機法上は表現できない訴求も、そのまま入ってくる場合が多いです。
よく見る表現としては
・アンチエイジング
・弾力改善
・リフティング
・肌鎮静
などがありますね。
実際の広告に使われている表現は、以下のようなものもあります。
・肌年齢が2歳若くなる5つの効果
・皮膚密度改善
(※商品情報は掲載できない点ご了承ください)
とっても魅力的で強い表現ですが「なぜこんな訴求ができるんだろう?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。「日本と違って韓国は薬機法が緩いから……」と思われがちですが、本当に「法律が緩いだけ」でしょうか?
今回は、韓国コスメの広告文言規制において大きな特徴となる「ある法律」をご紹介しようと思います。
2)韓国の化粧品法は、日本の薬機法と比べてなぜ規制が緩いのか?
その「ある法律」とは、韓国化粧品法の「営業者の実証義務」という法律です。
この法律は、2011年の化粧品法の大きな改定(2012年施行)とともに生まれました。
化粧品法の大きな改定とともに業界に自由度が高まり、その代わりとして、責任所在を明確にする事後管理システムが導入されたのです。
そこで生まれたのが「営業者の実証義務」です。
以下「化粧品法14条」抜粋
もちろん「客観的な証明資料」として認められるためは
・広告内容と直接的な関連性があること
・科学的/客観的な方法で、再現性が確保されていること
・事業者と独立している研究機関であること
・全過程において、標準化された試験手続きに則った資料であること
など、厳しい規制があります。
メリットとしては、客観的なエビデンスがあればいくらでも研究実績と成果を認めてくれることですね。
産業・技術力の発展を促す利点もありますし、市場の競争が深化するため、商品の平均クオリティが底上げされます。
しかし裏を返せば「効果効能に対して事実誤認の恐れがあるもの」であっても一旦は販売ができてしまうため「役所から指摘されるまでにたくさん稼いでおこう!」と考えるブランドが生まれやすい環境でもあるのです。
3)日本の美容業界ならではの強み
試験を通した客観性を担保しつつ、幅広い訴求表現でアピールができて、しかも安価な韓国コスメ。
そんな韓国コスメが日本の市場に多く登場する中で、日本の美容業界の勝ち筋、日本の美容業界ならではの強みはどこにあるのでしょうか?
私は、以下の2つがあると考えています。
1.研究開発力の高さ
技術力の高さはもちろん、研究開発力の高さもとても優秀ですよね。
特に、今までにない技術を開発して積極的に商品に取り入れていく姿勢が本当に素晴らしいと思います。
個人的に感動した技術の一部を例で挙げると、以下のようなものがあります。
ゆっくり美容成分を放出するリポソーム技術
ガスが入っていないUVミスト
肌につけるだけで化粧を分解できるメイク落とし
ユーザーに寄り添った発想力も、それを実現する研究開発力も素晴らしく、
しかもそれらの商品がプチプラで販売されていることも日本の美容業界の素敵なポイントです。
2.ストレスフリーな商品設計
日本の方には当たり前かも知れませんが、
日本製特有の繊細な商品設計は、地味に嬉しいポイントなんです。
繊細に溶け込むテクスチャー
購入時から捨てる時まで、使いやすさにこだわった商品設計
など、、
とにかく使用者の観点で使いやすさにこだわった、ストレスフリーな商品設計が多いと感じます。
この繊細さも日本ならではの強力な強みだと思っています。
4)日本の美容業界が取り組むべきこと
上述した内容から、以下2つの取り組みの重要性が高くなると考えております。
1.消費者への啓蒙活動
日本の強みである「技術力の高さ」「研究開発力の高さ」「ストレスフリーな商品設計」などの価値に消費者が慣れないように、継続的に啓蒙活動を行う必要があります。
具体的には「日本製だから安心・安全」というぼんやりとした言い方ではなく
どこがどうすごいのか
これはなぜすごいといえるのか?
を、消費者の目線で分かりやすく訴求することです。
有効な手段としては、専門家の発信力を利用した啓蒙などがありますね。
消費者が持つ「国産の信頼感」についての解像度を「なんとなく日本製が好きだから」という曖昧なものに留めずに、より鮮明なものにすることが大切です。
2.心理的満足感を刺激する環境作り
消費者への啓蒙によって「質への信頼感」を鮮明なものにするだけでなく、
商品の差別化のための付加価値が必要になります。
例えば、以下のような点を考慮して「所有する満足感」を与える商品作りが有効です。
商品ビジュアル(高級感/高見えパッケージ)
購入する前からの期待感醸成(口コミの拡散/広告ビジュアル)
ヒト軸での広告塔の活用(Aさんのおすすめが欲しい!/憧れのBさんと同じもの!)
わかりやすい品質への納得感に加えて、
ワクワクするような要素を与えることができたら、
国内ブランドの存在感は、より強固なものになると思いますね。
■まとめ
いかがでしたか?
今回は「日韓の薬機法の違いと、日本の美容業界が取り組むべきこと」についてお届けしました。
ampuleでは今回のnoteのように、美容業界の課題や変革と向き合い、さまざまな角度で情報を発信する『ampule magazine』を発行しています。
私も毎号参加していて、日本や韓国の話以外にも中国、フランス、アメリカなど、グローバル視点での美容について理解を深められるような記事や分析などを掲載しています!
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今回もお読みいただきありがとうございました!
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