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「一生に一度」のジュエリーを変えていく。社長になって1年の振り返り

こんにちは。初めまして。
ダイヤモンドジュエリーブランド「ブリリアンス・プラス」の代表をしている三木と申します。
私は昨年の夏から、このブランドを軸とした会社の経営に携わっています。

代表として過ごした1年間を経た今、改めてnoteを始めようと考えました。

決して全員が必ず手にする訳ではない、またご購入いただく回数も決して多くはない商品だからこそ、普段どのようなことを考え、ブランドをつくりモノづくりや店舗の仲間を含めた組織づくりを行っているのかお伝えしていきます。

ファンシーシェイプダイヤモンドをあしらった婚約指輪
日本で一番ダイヤモンドの形についても
お選びいただけます

「おい、三木、ダイヤモンド好きか?」


こう問われると、正直すぐに「はい」とは言い切れません。

これまでの経験もあいまって、お客さまへ商品をご提案しながら「これまでのモノづくりやサービス業(店舗運営)のあり方」を変えていく

またその過程でブライダルの域を超え、ゆくゆくはダイヤモンドジュエラーとして、より多くの方の節目を彩るブランドを目指しています。

これまでも私たちの婚約指輪結婚指輪を多くの方にご愛用いただいてきましたが、そもそもブライダルジュエリーやダイヤモンドは「生活必需品」ではありません。

馴染みのない方もいらっしゃるかもしれませんし、すでにお好きなブランドがあるという方もいらっしゃるでしょう。

ブリリアンス・プラス」は、電子商取引(EC)サイトと全国にショールームを持ち、ジュエリーコンサルタントが指輪をご提案・販売しながら、「結婚」を中心に節目を彩るお手伝いをしています。

リングは数あるデザインの中から好みの形状を選べ、
ダイヤモンド(裸石)と組み合わせ、オーダーできます
世界のダイヤモンドマーケットに存在する
数万というダイヤが私たちの在庫です


大学時代も飲食店でアルバイトをしていた経験も含めると、気づけばブライダルや飲食業などの「ホスピタリティビジネス」や「」に関わる時間が長くなったなかでの挑戦。

お客さまの一生に一度の体験をさらに良いものにしていきたい、その過程で一つひとつの価値を適切に伝えていきたい

とこれまでの経験から大切にしたいことを胸に秘め、現場に入り、伸び代の再確認と数々の取り組みを行なってきました。

ブライダルジュエリーの現状を知り、抱いた危機感

2022年9月にはブランドの再整理をし、商品の改廃・SKUを削減するとともに売価を変更しました。この1年間でも特に大きかったアクションです。

ダイヤの世界は4Cと世界的基準があるにもかかわらず、市場を流通していく過程でたくさんの業者が介入しています。
それによりお客様の手元に届くダイヤモンドは質の如何にかかわらずプライシングがバラバラです。

今でも「今日ご成約いただいたら○十万円OFFしますよ」というような営業トークがこの情報化社会においても残っているのにも驚愕しました。

そのような背景もあり業界全体への信頼が下がってしまうのではないかという懸念を持っています。

創業当時からの仲買を通さず直接サプライヤーと繋がることで「商品の価値を適正に伝えていきたい」との考えはそのままに、それ以外のことはさまざまな観点から見直しました。

強みは取引所など中間流通業者を省いた、
独自の調達・販売ルートです
国内外のサプライヤーと自社のネット取引システムを連携させた、
真似のできないビジネスモデルを構築しています

その過程で一つ気がついたのは、創業時に掲げた「適正に価値を伝えるため」との言葉が先をいき、時に犠牲を払ってでも売価を安くしているということでした。

つまりボランティアに近いような感覚で、どれだけモノをお客様に届けてもブランドに還元することはできない。
機能的な価値で商品を販売することで得られるベネフィットが少ないからです。

そこで私たちの価値に共感してくださる方と共にこれからブランドをつくっていきたいと、売価や原価率の調整を行いました。

実は、これらは「ジュエリーコンサルタントの価値の再定義」でもありました。

サービス業の3K(きつい・帰れない・厳しい(給料が安い)を変える

ジュエリーコンサルタントの仕事も、一般には「サービス業」です。休みが取りにくかったり、お給料が安かったり…さらにはAIなどの技術も発展し、存在意義や価値の見直しが求められています。

さらにコロナ禍で、他のブランドでは店舗の閉店なども余儀なくされるのを目の当たりにしました。しかし私はソーシャルワーカーではないものの、お客さまの生活に彩りを与えていることは間違いないと考えていました。

経営者として、もちろん目の前の売上を上げていくことは重要ですが、それ以上に仲間にこれからも働き続けたいと思ってもらえるような環境をつくることも大切です。

仲間がいてこそ商品を販売することができますし、お客さまに商品の価値をお届けすることができます。

スタッフが安心して働ける環境を用意することで新しい発想やクリエイティブな製品が生まれてくると思いますし、それがなければブランドをやる意味がないとすら感じます。

そのためには売上を上げるのではなく、利益を出すことが必要です。
プライシングを変えて、ブランド価値を高める方針が「ジュエリーコンサルタントの価値の再定義」とした背景をご理解いただけたでしょうか。

長期的に会社に貢献している仲間を表彰する制度など仕組みをつくり、運用をスタートすることでまずは会社を共に創りあげる仲間の満足度を上げていくことにしました。給与を上げる、定休日をきちんとつくる、褒める文化をつくる、当たり前のことを当たり前にしていくことで、サービス業の3Kは変わると確信しています。

ご成約いただいた先の生活までを提案する

私たちは、時にはプロポーズプランの相談に乗ったり、ショールームにいらっしゃったお客様にはスタッフ自身の判断で、記念日の際にはお花を渡したり、リングの内側に石を埋め込めるようにプレゼントしたりします。

お客様のわずかな言葉や態度を見逃さず、先読みをしてタイミングよくサービスを提供する。その決裁権を一人ひとりに与えることで、迅速かつ的確な提案を生み、お客様に「感動」を提供するのです。

ジュエリーを超え、お客さまのニーズにお応えしていきたい、そんな気持ちの表れで「ジュエリーコーディネーター」ではなく、あえて「ジュエリーコンサルタント」と呼んでいるのです。

またブライダルジュエリーを購入するということを何度も経験することは稀ですから、プロとして客観的なアドバイスをするように心がけています。

私たちの商品の良いところ、悪いところをきちんと伝えること。
またこの瞬間の話ではなく、これから先の生活で、その指輪とどのように付き合っていくのか、5年先、10年先にまで想いを寄せて提案をしています。

「今日決めます」となっても、そのお客様にとって本当に「運命の一本」なのかをきちんとヒアリングをし、必要であれば「一旦持ち帰って他のブランドも見てきてください」とお伝えします。

押し売りは絶対にしないこと

プロとして信頼や安心を得るためには必要なことだと思っています。

ジュエリーを選んだ時間も思い出にしていただくために、
お客様の未来まで想像し、寄り添い提案します

今の世の中でわざわざ新しいものを生み出すということ

さらに行ったのは、これからの社会を考えた商品づくりです。私たちのヒーローアイテムの一つになりうる「海底ダイヤモンド」の発売もスタートしました。

これだけさまざまなものや情報が溢れている今の社会で、新たに製品をつくっていくには、ただ機能的なモノを作っても仕方がないと思っています。
情緒的な価値を感じられること、そして、その製品の由来にストーリーがあること、そしてサーキュラーなデザインであることが重要だと考えています。

©️oceandiamonds

普段、皆さんが手にするダイヤモンドの多くは鉱山で採掘されたもの。しかしこの裏では環境破壊や労働者搾取などの問題が指摘されているのはご存じでしょうか。

南アフリカ西部の内陸都市キンバリー「ビッグホール」
人間が手で掘ったものとしては世界最大と言われる
円周1.6キロメートル、深さ215メートルにもおよぶこの大きな穴は
かつてのダイヤモンド採掘場

今回、私たちは鉱山で発掘する一般的なダイヤモンドのなかでも、雨風で地層ごと川に流され、長い年月をかけて海底に辿り着いたものを第三のダイヤモンド海底ダイヤモンドとして販売しはじめました。

もちろん天然ダイヤと比較しても成分、輝きなどは一切変わりません。

パートナー企業であるオーシャンダイヤモンド社の取り組みや姿勢に非常に感銘を受けました。私たちが受けた気持ちと同じようにお客様にもこのプロダクトを身につけていただくことで、このような難しい課題の解決の一助になるのだと感じていただけると嬉しいです。

穏やかな海の日にダイバーを載せた小さなボートが沖合で佇む様子
©️oceandiamonds
海底から採取した砂礫の中からダイヤモンドの裸石(ルース)を選別している様子
©️oceandiamonds
熟練のダイヤモンド鑑定士が鑑定を行なっている様子
©️oceandiamonds

私たちの発表以外にも、実はすでにエシカルの文脈で研究所・ラボで育てられる(グロウン)人工ダイヤ「ラボグロウン・ダイヤモンド」が評価されており、百貨店大手は専門ブランドを立ち上げていたりもします。

ダイヤモンドの世界も大きく変わりつつあるなか、今回の「海底ダイヤモンド」は地球に優しい「第三のダイヤ」として注目されており、数々のメディアの皆さんにお取り上げいただきました。ありがとうございました。

先行発売を経て、11月15日より全国の店舗での取り扱いもスタートしました。ぜひご興味をいただいた一人でも多くの方に、ジュエリーコンサルタントよりご提案させていただきたいと思っています。

形も自由に、婚約指輪・結婚指輪の既成概念に捉われない新しい形を提案しています

「一生に一度」から新たな概念をつくる

冒頭で、「ダイヤモンドが大好きかというとそうでもない」とお伝えしました。

新卒で入った会社がブライダル業界だったため、業界への一定の知見はあります。また人事や経営企画で長年仕事をしてきたため、人に関わり、事業を伸ばすことにも取り組んできました。

ちなみに、ずっと「誰かの右腕」だった自分が「社長」に

なるなんて思ってもみませんでしたw

そして今の私も立場上、経営者ですが「これをやりたい!」と具体的な強い想いがあるわけではありません。正直なところ「起業家」ではなく、事業を1から100に伸ばしていく「事業家」に近く、「誰かの右腕」としてキャリアを重ねるなかで、気づいたら「社長」としての挑戦が始まりました。

これまでの経験から、私自身が仕事をするうえで大切にするようになったキーワード「一生に一度」「正当な価値を伝えられる環境をつくりたい」との想い。

それらを掛け合わせた一心でこの1年間は仕事に取り組んできました。

だからこそ私は、人を介してでしかできないことに真摯に取り組める仲間を増やし、そんな人たちが集う会社を目指したい。

人間だからこそできることがあると信じていますし、一人ひとりが自己犠牲をせずに仕事に取り組むことで、多くの方に愛される人・ブランドにつながり、お客さまの生活にさらなる彩りを提供していけると考えています。

ハリズリーグループの一員として、これまで土屋鞄が大切にしてきた思考やノウハウなども活かしながら、この世界に共感していただける皆さんと共に、ジュエリーの業界を変えていきたい。さらには、サービス業の概念も変えていく突破口をつくりたいと思っています。

10月11日には海外からの観光客数の上限も撤廃されました。再び「日本」に興味を持った多くの外国人の方がいらっしゃるでしょうし、なかでも伝統・文化に基づく「モノづくり」は注目先の一つでしょう。また日本人の間においても、対面でのコミュニケーションが少しずつ元に戻るなかで、改めて接客・サービス業の価値は高まっていくと思います。

理想と現実の間に揺れながら、毎日が挑戦の連続です。

ブリリアンス・プラスにご注目いただきつつ、ジュエリー・サービス業を変えていくきっかけを作る取り組みにご興味のある方は所属関係なく、ぜひお声掛けください。

ブリリアンス・プラスでは採用も行っています。

ブランドでも公式noteをやっています。
こちらもよろしければぜひご覧ください。

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