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wackeychicks=かぞくの風景

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#エッセイ

はじまりは今。

はじまりは今。

4月1日、日曜日。夕刻。
京都駅の新幹線のホームで、そのひとはさめざめと涙を流していた。



東京行きの新幹線が、新大阪から京都へあっという間に滑り込む。

旅の狂騒の名残りを抱えつつ、見るとはなしにぼんやりとホームを眺めていたら、携帯電話を握り締め、泣き腫らして少し先の窓のなかを見つめる女性がいた。私より少し歳上だろうか。

ある種の確信を持ちつつ視線を車内に戻すと、やはり、何列か前の座席脇

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last train home

last train home

気絶するほど、遠くまで来た気がする。
だけど今、振り返ってみると
瞬きのようにあっという間だった。

次男が卒園して
我が家の幼稚園生活が終わった。

息子たちは同じ幼稚園に通って、通算6年。
次男が生まれてからずっと同じ日常を繰り返してきたけれど、ふっつりと、もう幼稚園に行くことはない。

特にこの2年間は、クラス役員と謝恩会役員を務めた為、日々は光の矢のように飛んで行ってしまった。

子育ての

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私だって宮本浩次でありたいのだ。

私だって宮本浩次でありたいのだ。

元旦の朝に、録画していた紅白を観ていた。

例年『笑ってはいけない』と格闘技の番組を録画して、紅白はリアルタイムで観て、大晦日感を大いに満喫するところが、長男がダウンタウンを観たいと言い出したので『笑ってはいけない』を視聴しつつ、紅白は録画でおあずけ。

大晦日に、過敏すぎる妹とツッパリな母の抗争に巻き込まれ、心がささくれだっていた私。
母は年中妹の顔色を窺い、その帳尻合わせは、いつだって空気読み

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今日に限って。

今日に限って。

あと少しで仕事が終わる、というところで休憩を取ることがいつものお決まりだけど、思わず、食べかけのいちご練乳氷を片手に車外に飛び出してしまった。ふと視線をやった先のバス停に向かって。

最後に遭ったのはいつだっけ。このへんに住んでた頃だから、10年以上前か。その頃と寸分違わぬ風貌で彼はそこにいた。私が好きだったそのまんまでそこにいた。

コンビニのかき氷片手に、珍妙な仕事着姿で車外に飛び出し、挙動不

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母親>父親

母親>父親

小・中学生にアンケートか何かを取ったところ、両親のどちらをより尊敬しているかという問いに、母親と答えた割合が多かったというニュースを義実家で観た。

姑『そんなもんかな〜。
あんた、尊敬とかしてないやろ?』
夫『尊敬してるよ!』

そんな親子の会話。
躊躇いなく真っ直ぐに、親を尊敬していると言える夫は、やはり素直なんだなぁ。そして、注がれた愛情をしっかりと受け取って育ったんだろうな。

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君の名は

君の名は

私には息子がふたりいる。上が7歳、下が4歳。かあちゃんとしては、まだまだひよっこで日々右往左往している。
ひよっこかあちゃんの私にも、目標とする母親像がある。

ジャイアンのかあちゃんだ。ドラえもんの。

剛田商店を切り盛りしながら、地域活動にも励み、何より無敵と思われるあの息子が恐れている数少ない人物なのだ。それでいて、あったかい雰囲気。
友達の間では暴君で知られる息子も、かあちゃんの為なら、野

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愛の才能

愛の才能

ファッションのこととか、電話嫌いの話とか。

色々書きたいことはあるけれど、書き始めるとしっくりこなくて消す、ということを繰り返していた。

みなさんのコラムやエッセイなどを拝読するほうが楽しく、読めば読むほどに私の脆弱な文章力を痛感し、綴りたかった言葉もいつの間にかしまいこまれてゆく。

そんなこんなで少し久しぶりの更新です。

今朝、台所で忙しなく動き回っている私に4歳になったばかりの次男

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