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今日に限って。

あと少しで仕事が終わる、というところで休憩を取ることがいつものお決まりだけど、思わず、食べかけのいちご練乳氷を片手に車外に飛び出してしまった。ふと視線をやった先のバス停に向かって。

最後に遭ったのはいつだっけ。このへんに住んでた頃だから、10年以上前か。その頃と寸分違わぬ風貌で彼はそこにいた。私が好きだったそのまんまでそこにいた。

コンビニのかき氷片手に、珍妙な仕事着姿で車外に飛び出し、挙動不審に対岸のその人に声をかけようか迷って、でも、人違いだったらマズイし......人違いで声かけられちゃったほうも食べかけのかき氷を持ったおばちゃんに困惑しちゃうだろうし......結局、再び車内に戻り、そのまま残されていた古いアドレスにメールをしてみた瞬間に、彼はバスに吸い込まれていった。

好き同士だったけど彼氏彼女にはなれず、友達のまま離ればなれになった。たまたま人生の軌道が合い、小さな点で繋がり、何事もなく再び離れて行く。もちろん焼け木杭に火はつかないけれど、だからこそ不思議で面白い。

#エッセイ #ユーミンのDESTINYがリフレイン

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