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alleycat
2024年6月22日 15:55
恋に落ちた瞬間の音を、僕は初めて知った。そして、それと同時に僕は確かな愛を知る事が出来た。いつも通りの通勤時間。僕は周りの人より一時間程遅くに出勤する。通勤ラッシュで、人混みを避ける為、会社側が配慮してくれたから。電車に揺られ、二駅目の時に僕の肩に遠慮がちに置かれた手があった。「もし良かったら、ここどうぞ」柔らかい女性の声。僕の手を取りながら、座席に誘導してくれた。僕は彼女の
2024年6月17日 21:55
ああ、またあのコがうなされている。汗を額に滲ませて、苦しそうに寝言を繰り返す。僕はあのコのいる、309号室の扉をすり抜け、少女の夢の中へと入り込む。今日は結構苦しいな。けれど、キミの為なら大丈夫。安心して。もう楽になるからね。僕は少女の悪夢を一つ残らずお腹に収めた。これで安心。ほら、もうぐっすり眠っている。あ、次は別の場所だ。僕は月明かりの下を駆けてゆく。「お母さん、
2024年6月3日 23:03
もし、生まれた瞬間に運命というものが定められていたら。それを変える事は不可能なのだろうか…。俺はそうは思わない。諦め半分投げやりに生きてきた若造の俺を、アイツが救って変えてくれたから。「なあ、今日もやんだろ?」龍が俺を見上げ、決定事項の様に言って来た。最近、俺はその事に少々嫌気がさしてきていた。「あぁ?うーん、どうすっかな…」煮え切らない俺の返事に、龍は若干不機嫌さを滲ませた声