『心響』

ピアノなんて誰が弾いても同じだと思ってた。

だけど、聞こえてくるこの音は、何かが違う。

音のする方へ駆け出した。どんな人だろう?

音楽室のドアは、開けっ放しだった。

夕陽に反射して顔は見えないが、男の子だ。

「盗み見するなよ。何か用?」

「ごめんなさい。音が綺麗で見惚れてた」

「何で泣いてるの?」「なんか…安心する」

「ふーん。母さんと同じこと言うんだな。
 
 もういないけど。いつも嬉しそうだった」

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