『像幸』

寒い夜空の下、穏やかな微笑みの銅像がいる。

酔っていたノリで、マフラーを掛けてあげた。

次の日に通りかかると、帽子を被っていた。

その次の日は、手袋とステッキのような傘。

日に日に持ち物は増え、雪だるまのようだ。

人々の好奇心と愛情。貴方、愛されてますね。

しばらく経ったある夜、銅像の前に人がいた。

身なりの綺麗でない親子が、像から全てを奪い

お礼を口にして、泣きながら去った。

元に戻りましたね。微笑みは健在でよかった。


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