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「フィンランドの覚悟」を読んで

「フィンランドの覚悟」を読んで

村上政俊著「フィンランドの覚悟」(発行所:㈱扶桑社)を読んだ。

https://www.fusosha.co.jp/books/detail/9784594094263

 2冊目に読んだフィンランドの本。
 ロシアと近接しているフィンランドと日本は、地政学的には似てる国なんだけど、フィンランドの事がわかる本はとても少ない。本書は、数少ない、フィンランドを知る本。

独立から100年余 それがフ

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「地政学時代のリテラシー」を読んで

「地政学時代のリテラシー」を読んで

船橋洋一著「地政学時代のリテラシー」(発行所:文藝春秋)を読んだ。

 ずっと前に、バブル崩壊後の行方をあれこれ考えてた頃に、著者の本を読んで、そのセンスに感心したことがあった。それ位しか覚えていないけど。

 地球儀で日本を見る時、どこかの国から眺めてみると、全く違った世界が見えてくる。例えば、ロシアを中心に見ると、バレンツ海とオホーツク海が目に付く。両方ともロシア海軍の重要な拠点で、フィンラン

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「失敗する自由が超越を生む」を読んで

「失敗する自由が超越を生む」を読んで

 昔から経済小説は良く読んでいた。真山仁の本もたくさん読んでいたので、「失敗する自由が超越を生む」(発行所:小学館)が書店に並んだ時は著者を見ただけで買った。

 読んでみたら、量子物理学者の古澤明のことを書いたエッセイ集で、ちょっと驚き。小説じゃなかった。
でも、経済小説の第一人者の著者が、こんなにも情熱的に、思い入れの強い「古澤明」って、どういう人なんだろうか、と興味を持って読めた。

 量子

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「君の人生に勇気はいらない」を読んで

「君の人生に勇気はいらない」を読んで

 青空を眺める表紙の絵が気に入って、メンタリストDaiGo著「君の人生に勇気はいらない」(発行所:SBクリエイティブ㈱)を買ってしまった。 青空はイイ。

 著者の本は、初めて読んだ。結構、やらかしてしまったからなのか、この頃TVで見ることは、めっきり減った。 確かに、言い過ぎ、言い方が良くないな、とは思ったけど、間違っているわけではない。たぶん、生真面目で正論を直言してたのだろう。人付き合いが下

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「第三の大国 インドの思考」を読んで考えたこと

「第三の大国 インドの思考」を読んで考えたこと

 笠井亮平著「第三の大国 インドの思考」(発行所:文藝春秋)を、読んでみた。
 少し前に伊藤融著「インドの正体」を読んで、面白かった記憶があって、本書を書店で見つけた。
 その後、フィンランドに出会ってしまい、インドは二の次になってしまった。 けど、フィンランドの行政や政策について、調べようにも調べられず行き詰まって、インドに戻ってきた感じ。 

 やっぱり、英語くらい、しっかり勉強しておけばよか

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「ニッポンが壊れる」を読んで

「ニッポンが壊れる」を読んで

 ビートたけし著「ニッポンが壊れる」(発行所:小学館)を読んだ。著者の本を読むのは初めて。だと思う。 前々から著者の小説に興味はあったけど、読む機会がないまま、このエッセイを読んだ。

 大谷翔平のお陰で、今では二刀流、三刀流が社会的に認知されるようになったけど、著者が映画監督を始めた頃は、影武者のような監督がいるんじゃないか、なんて噂話も出たほど。まぁ、有名税のようなものか。

 本書は、この頃

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「物語 フィンランドの歴史」を読んで

「物語 フィンランドの歴史」を読んで

 ようやく、石野裕子著「物語 フィンランドの歴史」(発行所:中央公論新社)を読み終えた。 歴史は好きだけど、読み始めると、すぐに調べたり,
考え込んだりするので、前に進まなくなる。

 フィンランドは寒い所だけど、石器時代には人が住み始め、鉄器時代にはフィンランド湾沿岸を中心に5万人ほどの人が暮らしていたらしい。 
人間はやっぱり逞しい。

 それにしても、フィンランド。 600年もの間スウェーデ

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「仕事の辞め方」を読んで考えたこと

「仕事の辞め方」を読んで考えたこと

 3月は、別れや、新たな旅立ちの季節。忙しさの中にも寂しさが入り混じる。 今回は、今月で放送作家業を引退する鈴木おさむ著「仕事の辞め方」(発行所:幻冬舎)の話。

 少し前にYouTubeで、偶然、著者の「仕事の辞め方」のPR的な動画を見て、本書に興味を持ってしまった。 この時はじめて、著者が「SMAP×SMAP」とか、評判の放送作家だと知った。

上手くいってる時こそ

 失敗したり、躓いている

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「忘れる読書」を読んで

「忘れる読書」を読んで

 落合陽一著「忘れる読書」(発行所:PHP研究所)を読んだ。

 著者の本は、何冊か読んだことがあるけど、何を読んだのか、忘れた。 そう。昔っから、物忘れが多い。
 家族や友人に、「〇〇っていう本に、△△△なんて書いてあった」とか、「あの映画のこんなシーンは感動した」とか話すが、それさえも忘れてしまう。 家族から、「昔、□□□□□って言ってたね」と聞かされても、そうだったかなぁ、と思ってしまう事が

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「余白思考」を読んで

「余白思考」を読んで

山崎晴太郎著「余白思考」(発行所:日経BP)を読んだ。

 著者の事は何も知らず「余白」に惹かれて買った本。
いつの頃からか、情報満載の文章よりも、要点だけのものがお気に入りになってきた。読解力が落ちたのか、気まぐれか。
 文字が少なければ、自分の頭で補強せざるを得ず、「考える本」に似通ってくる。

 本だけでなく、絵画、イラスト、音楽や演劇でも、「余白」や「空白」、「無音」、「静寂」は、無の語り

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「一俗六仙」を読んで

「一俗六仙」を読んで

 川村隆著「一俗六仙」(発行所:東洋経済新報社)を読んだ。

 かつて書店で本書(タイトル)を見つけた時は、なんとなくお説教っぽく感じて、買うのをためらった。のに・・・

 「一俗六仙」って言葉の響きが、どうしても気になるのだ。
パラパラめくってみると、気軽に読めそうだったので、買ってみた。

 一俗六仙は、中国のことわざか漢詩の一句かと思ったけど、著者の造語だとか。 
仕事の大緯線から引退したら

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「ゲームチェンジ日本」を読んで

「ゲームチェンジ日本」を読んで

 少し前に、真壁昭夫著「ゲームチェンジ日本」(発行所:エムディエヌコーポレーション)を読んだ。

 むかし、村上龍がジャパン・メール・メディア(JMM:現在は休刊)を発行していた時の常連筆者の一人。当時は信州大学の先生をやっていたと思うのだけど、鋭い切り口で、なるほど、と思う事ばかり。でも、長文だったので、メールをプリントアウトして熟読してた。

ゲームチェンジ

 ビジネスの世界で使われるゲーム

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「オールドルーキー」を見た

「オールドルーキー」を見た

 年末年始になると、「今年の〇〇」「新年はじめての〇〇」的なTV番組が増える。多くは録画番組で、TV関係者も休む人が増えるので、こういう対応になるのだろう。
 録画番組期間の時期をつくれるなら、その期間を5倍くらい増やして、みんなが交代でゆっくり休めるようにしたらいいのに、とも思う。視聴率が気になると刹那的になってしまうけど、休んで気力充実した仲間で番組作りしたら、それはそれで面白そうだけど。

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「一日一生」を読んで

「一日一生」を読んで

 酒井雄哉著「一日一生」(発行所:朝日新聞出版)を読んだ。
 書店にあった本書の帯で『大阿闍梨』と紹介されており、確か「千日回峰行」のアレだよなぁ、と思って読んでみた。

 著者の酒井雄哉は、現在は比叡山飯室谷不動堂長寿院の住職さん。
 語り口は優しいし、親しみやすいエピソードを添えてるけど、結構、厳しそうな人。そんな感じがする。
 だけど、時には、そんな厳しい人の話もイイ。

千日回峰行
 

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