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『僕らは奇跡でできている』5話 主語が自分か、他人か、それが重要だ

#僕キセ 面白くなってきたー!
ミゾミゾする~

今までバラバラに動いていたパーツが繋がっていく感じ。
伏線回収系のドラマが好きな人にはたまらないドラマだ。
5話は今まで散らばっていた伏線がいくつか回収されてスッキリ、そしてじわーっと心に沁みる回だったなあ。
セリフがとても良かったので、今回はセリフの書き起こし多めで。
ネタバレするので、読みたくない人はスルーしてね。

***

「いつ叶うかわからない願いの過程も楽しみましょう」という提案

歯科医の育実と一輝が雨宿りの為に山小屋で交わした会話のシーンが一番のクライマックスだったでしょう。

育実:「新庄さんから聞きました。相河さん(一輝)は、自分がこんにゃく屋だったら継がないって言ったそうですね」

一輝:「はい、言いました。主語が新庄さんではありませんでした。こんにゃく屋を継ぐ理由の主語です。先生がこんにゃくをすごいと言ったから。親が喜ぶと思ったからって言ってました」

学生の新庄は、実家のこんにゃく屋を継ぐかどうか悩んでいるが、正直、家業をダサくて面倒くさいと思っている。
そんな折、先生である一輝にこんにゃくの素晴らしさをキラキラした目で力説されて、家業を肯定されたことに一瞬気持ちが上がる。

そこで、家業を継ぐ理由といて
✔ 先生がこんにゃくをすごいと言ったから。
✔ 親が喜ぶと思ったから。
を挙げたところ、一輝に「自分なら継がない」と一刀両断されて落ち込み、悪態をつく。

これ、ただの承認欲求が少し満たされたから継いでも良いかな、って思っただけで、少し他人に否定されるとすぐに気持ちが萎んじゃう現象だよなあ…
気持ちはわかる。すごーくわかる。

(私も過去に「親が喜ぶと思ったから」という理由で色々なことを頑張ったことあるから…でもそれが「本当の自分の願い」じゃないなら苦しいだけだよ)

人は少なからず承認欲求を満たされると嬉しいものだし、他人から自分を肯定されると認められたような気持になって頑張ろうというエネルギーも沸きやすい。
でもその「上がった気持ち」を保ち続けるのはすごく難しい。

そこを見抜いていたから一輝は「自分なら継がない」と言った。
こんにゃく屋を継ぐ理由の主語」は「自分」じゃないと、自分の意志で継ぐと決断していないなら、継がない方が良いよ、という意見。
「自分軸」で決断した方が良いよ、というはなし。
「他人軸」で生きている新庄にはまだ真意が伝わっていないようだったけど、今後理解できるシーンが来ることを期待。

***

続いて、育実のターン。

育実:「いけませんか?それだってちゃんとした理由だと思いますけど」

一輝:「はい」

育実:「引き継ぐものがない人にはわからないんですよ。親が積み上げてきたものを引き継いで、より一層、歯科医として多くの人たちに貢献することが、私の願いですから」

一輝:「それ本当の願いですか?」

育実:「どういう意味ですか?」

一輝:「楽しそうじゃありません」

育実:「それは今はまだまだ足りないことがたくさんあって、もっと成長しなきゃいけなくて、楽しいのはその願いが叶った時です」

一輝:「それ、いつ叶うんですか?」

育実:「それは私の努力次第なので、わかりません…」

一輝のすごいところは、自分は自分が楽しいと思ったこと、面白いと思ったことしかやらないし、興味がない。とはっきり明言し、その指針に基づいて行動しているが、その考えを他人に強要しないことだ。
他人の意見を否定しないことだ。

育実の「いけませんか?それだってちゃんとした理由だと思いますけど」という反論にも「はい」としか答えていなくて、「でも…」とか「こうしたほうが絶対いいよ!」みたいな押しつけが全くない。

育実の「言動」と「本当の願い」が乖離しているだろうことだけは敏感に察知していて、「楽しそうじゃないけど大丈夫ですか?」というニュアンスの言葉で育実の気づきを促している。
すごい。
計算しているわけではなさそうだけど、自然とそういうことが出来る頭の良さと素直さを兼ね備えていて、「もっと楽しめる方法を考えよう。もっと楽しんだ方が良いよ」と。

いつ叶うかわからない願いの過程を苦行にするより、その過程も楽しみましょう。という一輝の提案。

***

育実は少し前の自分をみているようで身につまされる。
彼女に共感している視聴者(特に女性)は多いと思う。

親の仕事を引き継がないといけないプレッシャーや、癖のあるスタッフをマネジメントしていかないといけない大変さ。
親の作った歯科医院を守っていくために銀座の審美歯科でも兼業している。
患者を増やすための日々の努力。

彼女ほど優秀な人だから、それまでの努力も並大抵ではなかったと想像できるし、実際彼女はそれを乗り越えてきた。

それなりの自信もあって、これまでの努力の報いを得られて当然。
もっと認められてもいいはず。
みんなからの祝福を受けてもいいはず。
恋人とも上手くいって然るべきだし、子供たちからも尊敬を得られるべき。
なのになんで上手くいかないの?
努力をわかってくれないの?私こんなに頑張っているのに…

彼女のそんな心の声がダダ漏れだった気がする。

心の奥の方がきゅーーんとする。
「正しいことにこだわる」育実の話には見向きもしない子供たちが、「正しいかどうかはわからないけど面白い」一輝の話には興味津々。
尊敬のまなざしを一身に受ける一輝。
それを傍らで眺める育実。

一輝は鮫島教授曰く「面白がる天才」だから、頑張ることでしか自分を成長させられない、肯定できない育実タイプとは正反対。
大学事務長の熊野さんや学生の新庄も「育実タイプ」だよなあ。
生徒たちや子供たちが「正しいこと」より「面白いこと」になびく様に呆然とする。

自分が絶対的に正しいと思って守ってきた生き方と対極にある一輝の提示する価値観に触れて、育実や熊野さんや新庄がどう変わっていくのか、今後が楽しみ。

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お金を稼ぐことは「苦行」じゃないと一輝が示してくれている

新庄が一輝のことを「楽しいこと、好きなことだけやって稼げていいよなあ」という趣旨の発言をしながら羨み、やっかんでいた。
おそらく家業のこんにゃく屋は彼にとって「楽しいこと、好きなこと」じゃないから、ということを受けての発言だと思う。

実際、世の中で働いている人で「仕事=苦行」と捉えている人は多いと思われ、お金を稼ぐということは「自分の意に沿わない大変なことに耐えた対価」と認識されている。
きっと新庄もそういう働き方を将来受け入れざるを得ないと漠然と思っていて、育実はそういう働き方を現在進行形で実践している。

鮫島教授:「目の前のことを夢中になってやっているうちに、願いが叶っちゃうんじゃないかな。だからいちいち考えないんだよ」

そんな育実たちの前に一輝が現れ、「自分の好きなことや面白いと思ったことを夢中でやっていたら、いつの間にか仕事になっていました」という姿を示す。
これ、noteで活躍しているクリエイターさんたちに共通する姿だ。

もちろん、「好きで面白い仕事」の裏側にも、大変なことや理不尽なことはたくさんある。
でも、その仕事を選んだ理由の主語が「自分」だったら、それらも背負ってやっていけるだろう。

***

歯を抜いて空いた穴は、歯で埋めたいです。
他のものでは埋めたくありません。

これ。
一輝が抜歯をした経緯がここで回収されるのか~!と興奮した。

育実が恋人と上手くいかなくなって、恋愛で空いた心の穴を仕事で埋めようとしていた時に投げかけられる一輝のセリフ。

一輝:「歯を抜いて空いた穴は、歯で埋めたいです。他のものでは埋めたくありません」
あかり:「彼氏さんのこと仕事で埋めようとしていますよね?」
一輝:「それ本当の願いですか?」
育実:「私は…愛されたい!」

やっぱり、恋愛の穴は恋愛で埋めた方が良いし、仕事の穴は仕事で埋めた方が良いんだよなあ。
歯科衛生士のあかりも同じように育実の仕事で誤魔化そうとしている姿を心配している。

結果、育実の中から絞り出された「本当の願い」は「愛されたい」だった。

一方、一輝の「心の中の光」(面白いもの、楽しいものを素直に楽しむ気持ち。夢中になること)が大きくなってきていて、その「光の中」に、今まで授業に白けていた学生や、自分中心だった同僚や、苦しんでいる育実を入れても良いかな、と一輝の気持ちにも変化がみられる。
ひとりで楽しんでいた「心の中の光」に他人を入れることを考え始めている。
他人と一緒に楽しんでみたいと思い始めている。

楽しんでいる人と一緒にいるのは楽しいよね。
誰と一緒に過ごすかで人生の豊かさは変わるから。

***

最後に。
一輝には、おじいちゃん、家政婦の山田さん、鮫島教授がいる。
彼を理解し温かく見守ってくれる人たちがいる。
虹一くんは実の母親にも理解されず、色々なことを諦め始めていることが気がかり。
一輝が虹一くんの理解者として「鮫島教授」的なポジションになるといいなあという期待を込めて。

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オープニング曲「ピュアなソルジャー」
元気が出ます。

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