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目目、耳耳

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2019年10月の記事一覧

あなたへ。もしくは、生まれ来る人たちへ。(おめでとう/川上弘美)

僕は、「察して」が大嫌い。

僕は頭がよくないから、いってくれないとわからない。何をするのは良くて、何をするのは悪いのか。「そんなの、簡単だよ」って、いえる人も、いるのかな。でも、僕にとっては良いことでも、あなたにとって悪いことって、あると思うから。

「いわれなくても、わかるでしょ」も、大嫌い。(まあ、同じ意味だよね。)だって、いわれないとわからないから、訊いているんだよ。だって、自分のことだっ

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夜はやさし。そして、朝もまた(Morning Sun/清竜人)

例えば。
それは、たった1コのリンゴで変えられるのかもしれない。



リンゴが、1コしかない。

ああ……。また、焼きリンゴのトーストを作ろうと思っていたのに。……んん。でも、この前も1コしか使わなかったんだっけ? じゃあ、大丈夫だよね。今度は、乱切りじゃなくて、いちょう切りにしてみよう。そっちの方が、火の通りがいいからね。……パートナー、喜んでくれるかな。

朝をとびっきりにするために必要な

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終わりが終われば、始まるんだよ。(I Care Because You Do/西島大介)

椎名もたくんと初めてコンタクトを取ったのは2012年のことでした。拙著『I Care Because You Do』に「これは僕の物語だ!!」と強く反応してくれたことがきっかけでした。
――「椎名もたくんのこと」土曜日の実験室+ 詩と批評とあと何か より

この作品の舞台は、’95年。椎名もたは、当時17歳。僕よりも年下。けれど、すでに絶版になっていたそれをAmazonで注文し(中古だけど、なんと

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それからは、旅に出ることばかり考えて暮らした。(場所はいつも旅先だった/松浦弥太郎)

突然だけど、スタバにいます。

傍らには、キャラメルマキアートのショートサイズ。コーヒーは苦手だけど、甘いのなら飲めるから。(甘すぎても、だめなんだけどね。)外はだいぶ冷え込んでいたので、温かいのにした。

「外、寒いですか?」

店員のお姉さんに、そんなことを訊かれた。

「あ、はい」
「じゃあ、これで温まって下さいね」

お気遣い、どうもありがとう。

僕にとってスタバに行くことは、ちょっとし

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それだけで、よかったんだ(音楽のある風景/haruka nakamura)

あのね。
あなたに、言いたかったことがあるんだ。
ずっとずっと、言えなかったんだけど。
聴いて、くれる?
どうか、笑わないでね。



僕はね。
あなたがいてくれて、よかったと思っている。
あなたがいなければ、こんなことをしていなかっただろうから。

あ、
「こんなこと」っていうのは、こうして僕が喋っていることね。

いつもはだんまりしている僕だけど、
ここではちょっとだけお喋りになるんだ。

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