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新世界秩序:BRICS拡大が引き起こす米ドル崩壊 VIII

#ASEAN 諸国では、 #タイ に続き #マレーシア #BRICS への加盟意向を表明しました。私は #イスラム金融 の専門書も執筆しているので、マレーシアがBRICSに加盟することは完全に予測範囲内です。

イスラム金融の概略とマレーシアの現状

 イスラム金融は、 #シャリーア (イスラムの教義、或いは、イスラム法のこと)に基づいて構築された独自の金融システムです。このシステムは、倫理的な原則に従って資金の取引を行うことを目的としています。以下に、イスラム金融の主要な特徴と原則を簡単に説明します。

イスラム金融の主要な特徴

リバー(利子)の禁止
 イスラム金融では、利子の受け取りや支払いが禁止されています。代わりに、金融取引は利益共有の形で行われます。例えば、投資家と事業者が共同で事業を行い、その利益を分配する方式が一般的です。

ガラール(不確実な取引)やマイシール(投機的な取引)の禁止
 不確実性やギャンブル性のある取引は禁止されています。これにより、すべての取引は明確で透明である必要があります。

ハラム(禁止されているもの)への投資の禁止
 イスラム教の教えに反する商品やサービス(アルコール、豚肉、賭博、ポルノなど)に関連する投資は避けられます。

資産担保取引
 取引は実際の資産やサービスに基づいて行われる必要があります。これは、金融取引が実体経済に根ざしていることを保証します。

利益共有と損失共有
 イスラム金融では、利益と損失は公正に共有されます。投資家と事業者がリスクとリターンを分かち合うことにより、経済的な公平性が確保されます。

マレーシアのイスラム金融の現状

 マレーシアは、イスラム金融の発展において世界をリードする国の一つです。政府の強力な支援と進んだ規制環境により、イスラム金融は急速に成長を遂げています。

政府の支援と規制環境

 マレーシア政府は、 #イスラム 金融の発展を国家戦略として積極的に支援しています。イスラム金融サービス法( #IFSA )などの法整備により、透明性と安定性のある規制環境が整備されています。これにより、国内外の投資家にとって信頼性の高い金融市場が形成されています。

多様な金融機関

 マレーシアには多くの #イスラム銀行 #タカフル #イスラム保険 )会社が存在します。主要なイスラム銀行としては、マレーシア・イスラム銀行(Bank Islam Malaysia Berhad)やメイバンク・イスラム(Maybank Islamic)があり、幅広い金融サービスを提供しています。

国際的な金融中心地

#クアラルンプール #KL )は、イスラム金融の国際的な中心地として認識されています。ここでは多くの国際会議やセミナーが開催され、世界中から専門家や関係者が集まります。これにより、マレーシアはイスラム金融のグローバル・ハブとしての地位を確立しています。

イスラム債(スクーク)市場の発展

 マレーシアは #スクーク #イスラム債 券)市場でも重要な役割を果たしています。政府や企業はスクークを発行し、インフラプロジェクトや事業資金の調達に活用しています。これにより、国内外の投資家にとって魅力的な投資機会が提供されています。

教育と研究

 マレーシアには、イスラム金融に関する教育プログラムや研究機関が数多く存在します。多くの大学や専門機関がイスラム金融の学位プログラムや研修を提供しており、次世代の専門家の育成に力を入れています。

イノベーションとフィンテック

 マレーシアのイスラム金融市場では、金融技術( #フィンテック :Finance + Technology = #Fintech )を活用した新しいサービスや商品の開発が進んでいます。 #デジタルバンキング #ブロックチェーン 技術の導入が進み、革新的な金融サービスが提供されています。

リーマンショックで信用度を上げたイスラム金融

 イスラム金融は、倫理的で透明性の高い金融取引を実現するための重要な手段として、世界中で注目されています。特に #リーマンショック 後に欧米や日本の金融・証券が大打撃を受けたのに対し、イスラム金融はリーマンショックのダメージが軽微だったこともイスラム金融の安全性を裏付けました。マレーシアは、その先進的な取り組みにより、イスラム金融のグローバルリーダーとしての地位を確立しています。政府の支援、強力な規制環境、多様な金融機関、国際的な金融中心地としての役割など、多くの要素が相まって、マレーシアのイスラム金融市場は今後も成長を続けるはずです。しかも、 #湾岸諸国 が競ってBRICSに加盟している現状を考慮すると、イスラム金融はBRICSの拡大とともに、更に拡大することが予定されます。

マレーシアのBRICS加盟の背景と意義

 現在、BRICSには#ブラジル、 #ロシア #インド #中国 #南アフリカ に加え、 #サウジアラビア #UAE (アラブ首長国連邦)、 #イラン #エジプト #エチオピア も加盟しています。さらに、 #アルジェリア など多くの国が参加意向を表明しています。

世界経済への影響

貿易と投資の拡大:マレーシアの加盟により、BRICS内での貿易と投資が活発化することが期待されます。特にマレーシアは電子製品や天然資源の輸出国として知られており、BRICS諸国との経済協力が一層強化されるでしょう。これにより、BRICS全体の経済活動が活性化し、新たなビジネス機会が生まれる可能性があります。

多極化の推進:マレーシアの加盟は、世界経済の多極化をさらに推進することとなります。BRICSの拡大により、西側諸国の影響力に対する対抗勢力が強化され、国際的な経済秩序が一層多様化することが期待されます。これにより、より公正でバランスの取れた #グローバル経済 が形成されるでしょう。

地域的な影響力の強化:東南アジア地域におけるマレーシアの影響力が増すことも予想されます。BRICSへの加盟により、地域内での経済連携や共同プロジェクトが増加し、ASEAN全体の経済発展にも寄与する可能性があります。また、タイなど他のASEAN諸国もBRICS参加を希望しているため、地域全体での協力体制が強化されるでしょう。

新興市場の成長促進:BRICSの一員となることで、マレーシアは他の新興市場との連携を強化し、技術移転や資本流入の機会を拡大することができます。これにより、国内産業の発展や雇用創出にも寄与するでしょう。特に、新興市場の成長が加速することで、世界経済全体にも好影響を与えることが期待されます。

結論

 マレーシアのBRICS加盟は、 #世界経済 #多極化 を促進し、新興市場間の経済連携を強化する重要な一歩となるでしょう。これにより、マレーシアだけでなく、BRICS全体の経済成長と安定にも寄与することが期待されます。さらにBRICSには世界最大のイスラム教徒の人口を誇る #インドネシア が参加する予定です。このように、BRICSの拡大が続く中で、マレーシアの戦略的位置と経済力が、グローバル経済のダイナミズムをさらに高めることとなるでしょう。分かり易くまとめると米ドルは #基軸通貨 としての地位が危うくなるということです。

つづく…

武智倫太郎

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