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CHEESE🧀「子どもとの関わり方」研究会

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ただ今開催中の研究会(講座、勉強会)に関連した内容をアップします。ただ今第二期がスタートしました!ご参加頂いた方には、テーマと関連する重要事項もお伝えしています。それは有料エリア…
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#愛着障害

「個性」と「発達」、そして「可能性」(第二期:第4回④)

「個性」と「発達」、そして「可能性」(第二期:第4回④)

 社会変革の展望を描く際には、ダイバーシティやバリアフリー、ノーマリゼーション等の言葉も重要に思われますが、発達障害においてよく挙げられる「個性」という言葉の意味を掘り下げることがまず必要であると考えられます。

 では「個性」とは、また「個性を大切にする」とはどういうことでしょうか。

1.「個性」とは  「個性」とは、個人の独自な性質を言いますが、独自性は共通性があるからこそ生まれます。クレヨ

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「育てにくさ」と「育ちにくさ」(第二期:第4回③)

「育てにくさ」と「育ちにくさ」(第二期:第4回③)

 発達障害は遺伝の関与も指摘されていますが、コミュニケーションに問題を抱えやすいため、対人関係に失敗体験を蓄積していけば、思春期以降の交際から結婚に関わる時期に有利になるとは考えづらくなります。その面からもある意味で、結果的に、選定は行われているといえます。モテないという選定です。
 遺伝が関与するということは、親も同様の傾向を抱えている可能性が高いということで、当然、家庭の機能もその影響を受けま

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「生まれつき」という言葉
(第二期:第4回②)

「生まれつき」という言葉 (第二期:第4回②)

 発達障害や愛着障害にどのようにアプローチするか以前の問題として、発達障害に関連する「生まれつき」というキーワードについて考えていきます。生命観あるいは人間観というテーマに行き着く答えの出ないデリケートな内容かもしれませんが、人(特に子ども)に関わる以上、向き合うべきテーマです。

1.「命が生まれる」のはいつか? 「命が生まれる」のはいつでしょうか?
 誕生日と考えるのが一般的かもしれませんが、

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「愛着障害」と「愛着存在」(第二期:第3回④)

「愛着障害」と「愛着存在」(第二期:第3回④)

 「愛着障害」と言った場合、診断基準である「DSM-5」に記載のある反応性愛着障害と脱抑制型対人交流障害を指します。愛着障害に限らず精神疾患には診断基準があり、診断を行うのは医師ですが、医師でなくとも知ることは重要です。前後して様々な問題や葛藤があるからです。診断はこのプロセスの1つです。

1.「反応性」と「脱抑制」2つの愛着障害「無差別警戒状態」の「反応性愛着(アタッチメント)障害」
 反応性

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「発達障害」について(第二期:第4回①)

「発達障害」について(第二期:第4回①)

1.「発達障害」とは 関連する本によく書かれているように、発達障害という名称は「総称」です。この言葉が示す範囲は、文脈により様々ですが、的確に捉えようとするならば、診断基準として使われる「DSM-5」の「神経発達症群/神経発達障害群」という章に記載されているものとすることが現在の最も広範囲での理解と言えます。

 もう少し狭い範囲で用いられるのが、最も多いように思われます。よく名前があがるASDと

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愛着の発達や機能~虐待や家族関係との関連~
(第二期:第3回③)

愛着の発達や機能~虐待や家族関係との関連~ (第二期:第3回③)

1.虐待と関連して(②への補足) 被虐待児特有の症状を被虐待児症候群と呼びますが、これは異常な環境における正常な反応で、セリグマンの実験で犬が示した学習性無力感やハーロウの実験でサルが示した反応と同様です。
 また、虐待は連鎖すると言われますが、実験環境で育ったサルも親になり育児をすることに困難を示したそうです。

2.愛着の体験から発揮へ 愛着対象を安全基地とすると、子どもは徐々に探索の範囲を広

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「愛着障害」理解の
前提となる関連事項(第二期:第3回②)

「愛着障害」理解の 前提となる関連事項(第二期:第3回②)

1.いくつかの用語、実験・調査研究 ヒトの新生児は非常に無力で、生後すぐに立ち上がる多くの哺乳類の新生児と同様の段階になるのは、1歳頃と考えられています。この早く生まれる現象を生理的早産、その後の約1年を子宮外胎児期と呼びます。どちらもポルトマンによる用語で、この時期の子どもがいかにデリケートな存在かが分かります。

 子ザルを針金製で哺乳瓶の付いている模型と布で覆った模型のある檻に入れて育てると

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「愛着」とその「障害」(第二期:第3回①)

「愛着」とその「障害」(第二期:第3回①)

1.はじめに第3回は「愛着障害」を扱います。
未だに世間を賑わす「発達障害」に比べてまだまだ知名度は低いように思われますが、虐待やマルトリートメントの結果として現れる状態・傾向、さらに発達障害と同様に大人にとっての「育てにくさ」や当事者にとっての「生きにくさ」の原因として、知る必要があります。

愛着障害を理解するには、関連事項として、心理学的な意味としての「愛着」をはじめとする用語と、研究や実験

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「CHEESE」という名称②(本研究会開催の意図③)

「CHEESE」という名称②(本研究会開催の意図③)

前々回と前回の記述で、
「発達障害」が溢れていることについて

①本当に溢れているなら、「発達障害」ではなくて
 「社会」を直す(治す)べきだ
②「発達障害」といわれている多くのケースが
 「生育」という視点が抜けており、実はほとんどが
 「愛着障害」である(と考えた方がいい)。
そんな主張をしました。

そして二つ目においては、
その人の「人生」をしたいという想いを
この研究会の名称に込めて

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「CHEESE」という名称①(本研究会開催の意図②CHEESE#01-1b)

「CHEESE」という名称①(本研究会開催の意図②CHEESE#01-1b)

溢れかえる「発達障害」について…
もう少しつっこんでみたいと思います。

「発達障害」を理解するためのツールとして、
ウィングという学者さんの
「三つ組の障害」という概念があります。

アスペルガー症候群(現在は用いません)を含む
自閉症スペクトラム、いわゆる「発達障害」を、
「社会性」、「コミュニケーション」、「想像力」の障害とした
モデルです。

そしてこの3つからなる三角形の内部を
「発達障

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まだまだ溢れる「発達障害」(本研究会開催の意図①CHEESE#01-1a)

まだまだ溢れる「発達障害」(本研究会開催の意図①CHEESE#01-1a)

ちまたに溢れる「発達障害」。
まだまだ「発達障害バブル」が残存しているように思います。

「あの人、発達障害じゃないの?」
「あの子、発達の問題を抱えてるよね…」
「私、もしかしたら、発達障害なのかな…」

猫も杓子も「発達障害」こんなに「発達障害」は多いわけがありません。
「グレーゾーン」という言葉があります。
「発達の遅れ」、「発達の問題」などなど…。
「発達障害」については色々なことが書かれ

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