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美しさの価値とダイバーシティ:イヴ・サンローラン展

切なく繊細で尖った先に立っているような、儚い美しさを感じたのでした。そういえばマネキンの多くはピンヒールを履いていたな。なんだかきゅんとした。

【イヴ・サンローラン展 時を超えるスタイル】

ここ最近は有名ブランドの大々的な回顧展が続いていて、それぞれの比較もしながら世界観に浸る。圧倒的に美しい1点1点の服。背景にあるストーリーや社会性よりも芸術性や美しさが強く印象に残ったイヴ・サンローラン展。

そのドレスの後ろに場が透けて見えるというよりは、技巧はもちろん、繊細に美を追求する結果として凝縮された結晶として服が存在するように感じました。

わかりやすい説明やそこから紐解くもの
 例えばシャネルのような敗者復活的な生い立ち、
 Diorのような圧巻の王道、
 マリークワントのような社会的ムーブメントとビジネス性、
ではなくそこにあるのは美しさを丁寧に繊細に追求してきちんとこの世に現存させた功績。

ブランドの、ではなく彼(デザイナー)の回顧展だから、という展示コンセプトもあるのかもしれません。Dior展にはデザイナー別の変遷なども展示があったけど、今回はエディ・スリマン氏が手がけた作品とかはなくイヴ・サンローラン氏の作品展でした。

何かしらその裏の裏をもっと知りたくなるような。
でもただの表だったりして、というような。
その場だけで釈然としない(いい意味で)余韻が残っています。

その裏というのは、ただ美しいだけなのかその背景には何かストーリーがあるのかと勘ぐりたくなるということ

美しい服、というだけでこれだけの評価があるなら、それはもはや芸術と言えるのではないか。個人の好みやリテラシーに大きく評価される客観的な基準のない「美しさ」において、絵画や建築のような高単価ではない服で「美しさ」だけで商売が成り立つのならばそれはものすごいことである。

服が芸術ではなくFASHIONであるのは、日常の衣食住でもあるから。あの美しい服は、誰が着るのか?着る人の体型や着ていく場所、、、上流階級の顧客に支えられ体型はオートクチュールでその人にある程度合わせるとしても、十分に着こなせる人はどれほどいるのだろう。リブゴーシュとして既製服で一般化したとしても、大衆は美しさだけでブランドを支えるに足る購買意欲を持つのだろうか。服装における機能や着ていく場面、そこに込められた社会的な動きがなく「美しさ」だけで十分な支持を得られるのならそれはものすごいことである。

女性の社会解放としての意義でシャネルやマリークワントは語られることがあるし、作り手が女性であることでの共感もある。動きやすい、というのも機能として(素材やデザインや、だから社会進出、というような)一致感もある。

そんなはかりごとが感じられず「美しさ」だけが印象強かった展示会だから。その裏も何かあるのでは?でも、ただ「美しい」だけで何が悪いの?というようなただの表だけの素晴らしさもあるという気になって

イヴ・サンローラン氏が幼少期に描いた漫画や、デザインのインスピレーション源を地域(文字通り、アフリカやモロッコやアジアやロシアや、、)と時代(中世や古代など時代別の服装)、影響を受けたアーティスト別に紹介されているという展示内容でした。

影響を受けたアーティスト の展示コーナー
モンドリアンルックも言わずと知れた絵画からの着想

美しさが印象深い一方で、男性で上流階級というマジョリティに生まれたイヴ・サンローラン氏が女性の服で大成することの難しさもここにあると感じた。性的嗜好という点では社会の中ではマイノリティではあったかもしれないし、女性が感じる繊細な美しさに繋がっているのかもしれないけれども。なんとなく男性育休とか、男性が女性(的な)の価値観を持って・両立して社会的に認められることの難しさがあるなと。

物や商品を売るのではなく、売り手の想いやストーリーを売る、とは昨今のマーケティング手法で言われていること。それらを感じさせず「美しい」服というだけでこれだけの功績を築いたのなら。男性が社会で成功する定義はこれくらいの圧倒がないといけないと言う、物語が紡ぎ辛く共感を得るのが難しい困難さ、弱音の吐けなさ、つらさがあるのではないか。

圧倒的に(既存の男性的な価値観で)社会的な成功として認められない限りは、ストーリーや背景など共感マーケィングをするしかない。その武器がないからには圧倒するしかない、という切なさを感じたのです。

男性が作る女性の服だからか、自分がよければいい!というような自己完結するものでもないし、必ず自分以外の人が着る想定ででき上がる他者目線が含まれた美しい服たち。FASHIONは着る人の自信になる、というイヴ・サンローラン氏の言葉も会場には飾られていたけど、シャネルが言う言葉のような力強さやエンパワメントではなく、切なく繊細で尖った先に立っているような、儚い美しさを感じたのでした。

そういえばマネキンの多くはピンヒールを履いていたな。なんだかきゅんとした。

入場待ちになる程の来場者数ですが、集まる皆様の服装もどのようにデザイナーを解釈して表現したのか傾向もあり興味深いです。

私はイヴ・サンローランリヴ・ゴーシュのジャケットを襟を内側にしてパンツにINして、伺いました。本当は大きめの襟がついてるジャケットです。内側に折り畳んで襟なしとして着ました



お散歩日和の乃木坂は日の暮れるのも早かったー 冬が始まるこの時期が似合うと思う。

美しい、と言うことの価値についてを考えさせられた展示会でした。
素敵になりたい。美しくなりたい。綺麗になりたい。その方法としてどのようにあなたは服を味方にしますか?
▼一緒に考えていきましょう☺️




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