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エッセイ

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今までの日々や、ささやかな僕の奮闘を書いていければと思います。
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#サッカー

「漫才みたいな」

「漫才みたいな」

夜中に通った事のない道を一人で散歩をしていると、角を曲がった所で少し広めの公園が現れた。樹木に覆われた公園のフェンスに沿って歩くと、公園内からサッカーボールでドリブルをする音が聞こえてきた。

小気味いいドリブル音からは、中々のテクニシャン振りがうかがえる。
昔は自分もこうして夜中に一人公園でドリブルの練習をしていたものだと、懐かしい気持ちで入り口から公園を覗いてみた。
しかし公園にはドリ

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「おじさん達のフットサル①」

「おじさん達のフットサル①」

おじさんが久しぶりにフットサルをしようと思うと、始まる前から思いも寄らぬ労力を使うことになる。

まず当日に着ていくサッカーウェアが見当たらない。ここか〜ここやろ、と高を括っていた引き出しの中には、昔ライブの幕間に使った映像のDVDが入っていた。僕はそれ以外の場所に見当が付かず、部屋中をひっくり返しての大捜索が脳裏をよぎるのだが、とあえずそのDVDを再生して大捜索からの現実逃避をしたりしてしま

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「キャプテン」

「キャプテン」

小学三年生になると、僕は学童を辞めてサッカー部に入ることになる。
キャプテン翼の影響でサッカーに興味を持ち、入部が許される小学三年生になって、ようやくちゃんとサッカーの指導を受けられることに、僕はワクワクしていた。それまでは団地の下で、一人壁に向かってボールを蹴るか、三〜四人の友達と狭い路地で、ただ飛んできたボールを蹴って奪い合うだけの、サッカーと呼ぶには余りにもお粗末な遊びの経験しかなかった。

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エッセイ「ハンカチ落とし」

エッセイ「ハンカチ落とし」

この世にハンカチ落としほど面白いゲームなどないと思っていた。

ハンカチ落としのルールを一応説明すると、クラスみんなが円になって座り、鬼は円の外側を周りながらそっと誰かの後ろにハンカチ落とす。
気付かれずに一周してハンカチを置いた相手にタッチ出来れば鬼は交代で、ハンカチを置いた相手に気付かれて、一周するまでに鬼がタッチされると鬼は変わらずに続行される。

保育園に通う初期の頃は、ただ簡単に

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