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「スロウカーヴは語れない」であの頃の下北沢を思い出した話

throwcurve(スロウカーヴ)の20周年&サブスク解禁記念トークイベント『スロウカーヴは語れない(that made me nasty)』に参加しました。

バンド名は知っていたものの、曲を知ったのはUNISON SQUARE GARDENのオマージュ曲「スロウカーヴは打てない(that made me crazy)」がきっかけでした。Vo&Gtのナカムラさんのことは「一時期POLYSICSに所属していた人」という認識です。カヨちゃんが在籍していた時代のPOLYSICSはよく見に行っていたけど、ナカムラさん時代は見ていない。「ハヤシくんと音楽や特撮の趣味が合いそうな人」と勝手に思っていました。

スロウカーヴのライブを見る機会はなかったけれど、当時下北沢界隈に色々なバンドを見に行っていたので、懐かしいバンド名や当時のシーンの話を聞いてノスタルジーな気持ちになったり、自分の知らない話を聞いてとても楽しかったので、その気持ちを記しておこうと思います。

登壇者はスロウカーヴのナカムラリョウさん、スロウカーヴの追っかけをしていた田淵智也、そしてアルバム「リコール」をよく聞いていた佐々木亮介の3人。


🔹スロウカーヴについて

まずはスロウカーヴの年表に沿って当時のシーンを振り返り。多数の有名バンドを輩出する早稲田大学「Modern Music Troop」出身、でもメンバー全員が早稲田生ではないとのこと。
初期はUKロック色が強かったけど、オールナイト・クラブイベントもやっていた時期があったことが意外でした。田淵は、サカナクションが出て来たのを見て「スロウカーヴはこれがやりたかったのか」と思ったそう。ナカムラさんも「あんなに上手にやられちゃうとねぇ」と。スロウカーヴ、時代を先取りし過ぎていた説。

私はサブスクが解禁されてからスロウカーヴを聞き始めたのですが、スパルタローカルズみたいなシンプルなアンサンブルや、オルタナティブでちょっとヘンテコな音作りが好みだと感じました。特にギターの鳴りが好き。
なので、メンバー間で「同時に弦を6本以上鳴らさないルール(音数を減らして、いざと言う時に迫力を出したい)」があったと聞いて納得。スパルタもシンプルに鳴らすので。

「マスターテープに起因するノイズ」がお気に入りなのですが、この曲はスパルタの「DANCE QUEEN」と似ている。意図的なのかはわかりません。ナカムラさんは幅広く音楽を知っている方だと感じますが、スパルタローカルズが「一番好きで、一番影響を受けたと言わざるを得ない特別なバンド」と語る過去のツイートを見つけた時は、「わかる!」と思いました。私もスパルタが好きでライブをよく見たし、解散ライブも行ったし復活ライブも行っているので、スロウカーヴの随所にスパルタオマージュを感じるのです。

🔹当時のスロウカーヴとユニゾン

田淵の大学時代、コピバンで「連れてって」をやるのが新歓の定番だったそう。今まで田淵だけがスロウカーヴを好きなのだと思っていましたが、宏介も好きだったことを初めて知りました。
他にACIDMAN、真空メロウ、the band apart、アナログフィッシュなどをコピー。この話は過去に何度も聞いたことがあります。

ユニゾンのインディーズ時代、3人がそれぞれ好きなミュージシャンやバンドを招く自主企画「箱庭フェスティバル」にて、田淵企画でナカムラさんにソロで出てもらったそうです。本当はバンドで出て欲しかったけど、別件があったためソロで。別件イベントに対して嫉妬心むき出しの田淵が面白かった。スロウカーヴ好き度がよくわかる。

ナカムラさんがユニゾンの「さよなら第九惑星」を弾き語りしてくれたそうですが、間違えて「第四惑星」と発言、と言うのもウルトラマンの有名エピソード「第四惑星の悪夢」とごっちゃになったから(さすが特撮好き)、貴雄が「良かったっす、第四惑星(にやにや)」っていじったらしい。貴雄の大物っぷりというかキャラクターがわかるエピソードです。

このイベントですね。私はユニゾンファンになったのが2015年頃なのですが、後追いでこのような自主企画をやっていたことを知りました。宏介企画には、私が当時から好きだった堂島孝平くんや渡辺シュンスケさんの名前を見つけて嬉しかったな。

佐々木から2人に「良い大学を出ているが就職は考えなかったのか」という質問が出ました。田淵が、プロになる気はなかったけれど「この人にならだまされてもいいや」と思える大人に在学中に出会えたお陰で普通に就職する機会はなかった、と。これはファンの間でも有名な初代マネージャー冨永さんのことですね。

田淵は自分がラッキーだったと話していました。ASIAN KUNG-FU GENERATIONや[Alexandros]のように社会人やりながら頑張ってたバンドもたくさんいるしね。
今の人達はまずMVが跳ねてからライブをするので、ライブハウスに客が数人しかいない状況を経験しない、初めてのライブが紅白みたいな子もいる、合理的だ、と話していました。確かにライブハウスに客が数人しかいない、ノルマが大変、なんて非常に効率が悪いと今では思います。でもあの時代の、時にガラガラだったライブハウスも好きだったな。

🔹あの頃の下北沢

アンケート・取り置き文化

ライブ終了後に紙のアンケートを配布し、感想を書いてもらう文化がありました。今では考えられませんが、住所・電話番号・名前を書く欄があり、個人情報ダダ洩れ。これは音楽のライブに限らず演劇やお笑いライブなど全般的にそうでしたね。
ナカムラさんはデザイナー気質でジャケ写やグッズも手掛けており(現在のお仕事もデザイナー)、毎回アンケートも手書きで挿絵を描いていたそうです。

今はもうアンケートないんじゃない?と話していましたが、QRをコードを読み込むアンケートはたまにありますね。個人情報は居住地、性別、年代、書いてもメアドぐらいの。Googleのアンケートフォームを使用した形式が多い気がします。合理的。

あと、当時は公式サイトでチケット取り置きシステムがありました。メールで予約して、当日窓口で名前を言えば前売り価格で入場できたのです。非常に便利でしたが、ソールドアウトしないようなゆるい環境だったからこそ実現していたシステム。バンドメンバーが直接メールを受け、返答しているケースもありました。まだ売れてないインディーズバンドにとって、取り置き枚数が多いと励みになっていたそうです。このシステム、今もあるのだろうか。ないか。

ハイラインとタワレコ

「ハイラインレコーズ」というショップ・インディーズレーベルが下北沢にありました。懐かしいー。BUMP OF CHICKENを輩出したことで有名です。スペシャで「ハイラインカウントダウン」という番組もやっていました。

宏介が記憶に残るライブとして、ハイライン主催のライブの話をよくしています。ユニゾンがOAで出て、シークレットでBUMPが出たライブ。

このライブ、行こうかどうか迷っていました。FULLARMOR(ストレイテナーのホリエくんとひなっちの別バンド)が出るというので。結局行かなかったのだけど、BUMPが出たと聞いて後悔したので印象に残っています。行っていればユニゾンとの出会いが早まっていたんだなぁ。

ハイラインは持ち込みOKだったけど、タワーレコードは持ち込んでも良いけど置いてもらえなかったと田淵が話していました。当時のタワレコはとてもパワーがありましたよね。店員さんがやり手バイヤーであり、当時のシーンを作っていた時代。

田淵はタワレコで「こういうのを"ポップセンスがある"と言うのだ!」と書かれたスロウカーヴのPOPを見て衝撃を受け、影響も受けたそう。確かに「自分はこうなのだ」と言い切る感じ、田淵が作るキャッチコピーに通じるものがあるかも。

私は、用もないのに渋谷や新宿のタワレコをうろつくのが好きでした。店員さんのPOPを見たり、知らないインディーズバンドを視聴したり、たまに好きなバンドメンバーによる「おすすめ音楽コーナー」があったりして、まだ見知らぬ音楽に偶発的に出会うことが喜びだったのです。
今でも、あなたにカスタマイズされたオススメ機能はほとんど利用しないし、ラジオが好きです。おススメなんてノーサンキュー、好きな音楽は自分で探しますので!というロック魂が自分の中にあるのです(面倒くさい)。

ナカムラさんが、昔は「CD何千枚持っている」というのがマウントになったと話していました。確かに。当時は足を使って情報収集するのが楽しい文化でした。今の時代も便利でありがたくて気に入っているけれど。とりわけ、当時「Shazam」があったらどんなに便利だっただろうかと思います。テレビやラジオ、DJイベントで流れる音楽を即時に知ることができるだなんて、魔法みたいじゃない?

渋谷タワレコの地下や新宿タワレコの屋上ライブにもよく参加していました。CD買うと参加券がもらえたり抽選に参加できるシステム。これは今でもありますね。売れる前のELLEGARDENのタワレコライブに何度か参加できたことも良き思い出です。
YouTubeやサブスク全盛期となり、ロックよりもK-POPやアイドルのCDが売れる時代となった今、タワレコのロックコーナーはどんどん隅に追いやられ、私の好きだったタワレコは今や見る影もなくなってしまって寂しい。一つの時代が終わったのだと実感します。

ハイラインには「Quip magazine」という主にインディーズバンドを扱った雑誌を買いに行っていました。一般の本屋さんには置いてなかったはず。今ほどネットが発達していなかったので、情報源として貴重だったし、作り手の遊び心や愛を感じる雑誌でした。
バンドがコーナーを持っており、BUMP升くんの「オレ、ひでお」っていう連載が有名。ユニゾンもメンバー同士でリレー小説を書いていたんですよね。私はこの頃まだユニゾンのファンではなかったので、ファンになってから手元の「Quip magazine」を見返したら、謎の創作小説を書いているのを見つけて衝撃を受けました。当時は読み飛ばしていた(笑)
時代の流れで仕方ありませんが休刊しちゃって残念に思います。佐々木が「Quip magazine」の名前を出してくれて嬉しかったなー。

アバンストラッシュ!この頃はまさかXIIXの「アカシ」が爆誕するとは本人も思ってなかったことでしょう。

イベンター文化

個人で活動する名物イベンターや野良イベンター、一般の女の子が好きなバンドを集めてやるイベントが多かった話をしていました。確かにあったわ。「自分はこういうバンドが好きだ、皆に知って欲しい」というロマンや熱意を持った人が多かったのだろう。ライブ終わりに、よく出口でフライヤーを配ったりしてましたよね。「こんな企画あるんで来て下さい」と、客層が被りそうなライブを狙って。当時は全盛だったオフィシャルサイトのBBSで告知したりも。「告知失礼します」「不適切だったら削除願います」のやつね。わかる人だけわかって。

中でも当時のシーンを語るのにマストなのが遠藤冬真さん主催で下北を中心にイベントをやったりコンピレーションアルバムを発売していた「wild gun crazy」。先ほどの冨永さんインタビューにも冬真さんの話が出てきます。「新世界ノート」は冬真さんにお金を借りて制作したそう。このエピソードはそこそこ有名かもしれません。彼はユニゾンのことをすごく褒めてくれたので、とても励みになったそうです。

ちなみにユニゾンが参加していた「wild gun crazy vol.2」の参加メンツを見ると、知っているバンド名が少ない上に、さらに生き残っているバンドがいかに少ないことか。続いているバンドは本当にすごい。
この頃はやたらと若手バンドを集めたコンピが発売されていた印象です。CD全盛期。

田淵が、こういったイベントの誘いを受けたいと語っていました。当時のこの文化を夏フェスに奪われてしまった、と。なるほど。
先日、ユニゾンとcinema staffがゲスト参加のONIGAWARA主催のイベントが発表になりましたが、こういう意義のある対バンをやりたいのだろう。

田淵にとってユニゾンが大きくなり過ぎて、小さな活動がやりにくいのを窮屈に思っていることはわかるし、対バンの意義があるイベントに参加するのはとても素敵だなと思います。
しかし客からすると「新宿LOFTだと?マジかよチケット取れねぇ」という弊害が。こればかりは仕方ないのですけれどね。

主催の好みによりメンツが決まるので寄せ集め感があり、終わったら打ち上げをするのが文化だったが、特に仲良くもないバンド相手には機材とラーメンの話が無難だったとナカムラさんが話していました。会社の飲み会と似たようなものかしらね。

田淵は当時の打ち上げが大嫌いだった、何故なら音楽や異性の話、下ネタになるから。この話も、よく嫌そうな顔しながら話しているイメージ。とは言え、よく知らないもの同士がその場だけ盛り上がるのに適当な話題です。宏介は「下ネタは必要だよ、俺はうんこって言うよ!」と頼もしかったそうです。場内爆笑。さすがデキる子だよ、私も宏介派だよ!

懐かしくなって自分の昔のブログデータを見返していたのですが、当時他の人からお題をもらってブログを書く文化があり、「貴方はイベントの主催者です。好きなアーティストを5組まであげて、イベント名やチケ代、会場や出演順など細かいことを考えてください。」というお題に対して、「イベントタイトル:鍵盤狂騒祭 出演:風味堂/Bacon/テルスター/フジファブリック 価格:¥2,500 場所:下北Que 理由:なんとなく楽しそうで」と、なんとも雑な自分の回答を見つけて笑いました。でもこれ見たいわ(笑)こんな質問が出回るほど、一般人もイベントに対する熱意が高かったのかもしれないな。

洋楽ハラスメント

当時の下北バンド界隈では「洋楽を聞かないやつはダメ」というハラスメントがあったそうです。邦楽でもNUMBER GIRLとくるりはOKとされていたと田淵が言い、ナカムラさんはスーパーカーの名前も上げていました。ナンバガもくるりも洋楽の影響が色濃いからでしょうね。
中年になった今の自分からすれば、なんだその偉そうな基準は、だから売れねぇんだよぐらいに思ってしまいます。事実、「売れないやつの負け惜しみだ」と田淵に言ってくれた先輩もいるそうです。でも、当時はそれが良しとされていたのも理解できる。初々しく希望に溢れていたユニゾンくん達がハラスメントに傷ついていたことを想像すると胸が痛いな。

スーパーカーと言うと映画「ピンポン」のイメージが強いです。サントラには石野卓球やBOOM BOOM SATELLITESも参加していてかっこ良かった。この辺りは洋楽ハラスメント勢も認めていたのでは。知らんけど。いしわたりさんは今やプロデューサー界の重鎮みたいな風格で、たまに「関ジャム」でトークしているのを見ると時の流れを感じます。

洋楽を聞かない上に、自分が得意なキャッチーなメロディーは下北では売れ線狙いだとバカにされたので、田淵は当時のシーンがものすごく嫌だったそう。もちろんアニソンが好きなことなど言える空気ではない。
ナカムラさんも「洋楽を聞いていない」などと言えず、田淵が言っているのを聞いて「言っていいんだ!」という衝撃があったそう。ナカムラさんの好きなGRAPEVINEの田中さんが紹介する音楽は、自分の全然知らない音楽ばかりで焦った、背伸びをしないといけない、と思ったそうです。若手が田中さん(知識が膨大)を目標とするのはハードル高いだろうな。

そんな界隈でも、自分たちの武器は宏介の声と貴雄の手数と田淵のキャッチーなメロだと思ってやってきた、冬真さんのような味方もいたし、尊敬する先輩に「ユニゾンはスピッツと同じで総合力だ」と言ってもらえたことが大きかったそうです。

佐々木は、出会った頃は田淵がアニソンを好きなことを知らず、たまたまDJイベントで素のままにアニソンを流し解き放たれた姿を見て驚いて、でもそれがかっこいいと思ったと話していました。好きなものを表現している時が、最も魅力的に映るものですよね。

リスナー側にも「洋楽聞かないの?(マウント)」みたいな空気はあったと思います。「日本のロックに興味ないんで」と上から目線の人、今もいるし。私も洋楽を多くは知りませんが、当時よく「Getting Better」や「アルコホリデイ」という下北界隈で開催されていたDJイベントに遊びに行くのが好きで、そこでバンドマンやDJが流していて好きになった洋楽がたくさんあります。中でもエルレの細美さん、ストレイテナーのホリエくんは私の洋楽の師匠なのです。好きなバンドが影響を受けた音楽をディグるのが楽しみのひとつでした。
田淵が当時のDJイベントについて、好きしかない空間だと言っていましたが、本当にそう。好きな音楽とお酒のある最高の空間がお気に入りでした。たまにライブもあったりね。オールがきつくて年取ってから行かなくなったけど。

ちなみに私が「アルコホリデイ」に行ってたの2007年頃までなんだけど、その後に田淵も出てたことを知りました。知らない方のブログですが、田淵のDJっぷりを想像すると楽しいです。

DJイベントについて、「プロのDJは繋ぎがうまくてすごい!」「バンドマンは好きな音楽を流すだけでいい!」という主張を3人がしていたのが面白かったな。当時、バンドマンは流してるだけの人がほとんどでした。エルレの細美さんはそのタイプ。かける曲もだいたい同じ。十八番はJimmy Eat Worldの超名曲、Sweetness。この曲を聞くと、今でもあの頃の下北を思い出します。
テナーのホリエくんは、うまいこと繋いでフロアを沸かせることもあったし、マニアックな選曲が多かったです。the pillowsのさわおさんがホリエくんのDJはつまらない、とキレたエピソードが好きです(笑)
そんなオシャンな選曲でお馴染みのホリエくんが、小道具でライトセーバーを持ち込み、光GENJIの「剣の舞」を流した時は死ぬほど笑いました。

小野ちゃん(100s/tae/Fishbasket)は大のアニソン好きで通っており、レギュラーイベントではアニソンタイムが名物と化していた。超盛り上がっていたので、下北でも場所によってはアニソン好きを公言できる空気だったのかもしれない。

POLYSICSのハヤシくんは特撮好きなので、「デンジマン」や「サンバルカン」を流して私世代が盛り上がって面白かったな、もちろんポカーンとしている人達もいたけど。「MUSICA」の鹿野さん(当時はロッキンオンジャパン)もたまにDJやってたのですが、彼の十八番はディズニーランドの「エレクトリカルパレード」で、これまたお約束で盛り上がっていた。ハヤシくん(PENPALS/REVERSLOW)が泥酔しながらblurをかけて踊り狂って最後に寝ちゃうのも定番で好きだったなぁ。

思い返すと、みんなジャンルレスで好き勝手にやっていました。ホリエくんは自身が大好きな「水曜どうでしょう」のテーマ曲を流すこともあったな。
「みんなが知ってる盛り上がる曲をかけよう」というタイプと、「フロアの反応はどうでもいいから俺の好きな曲をかけるぜ」というタイプと、その中間を取るタイプに分かれていたかな。それぞれ個性があるから面白かったのよ。知ってる音楽でハイになり、知らない素敵な音楽と出会ってワクワクする。思い出しても本当に楽しかったなー。

ちなみに田淵は、持ち時間が足りずアニソンを2倍速で流していたと聞いて笑いました。ユニゾンの曲も混ぜていたので、「倍速で聞くとユニゾンはアニソンに聞こえる」と思ったそう。私はユニゾンの曲がアニソンと言われるのがしっくり来ないので(アニソンの影響を受けているのはわかるが)、そうなのかなぁと半信半疑あっちこっちだよ。

私は何でも楽しんでいたので、邦楽バンド(主にロキノン系)を流した時だけわかりやすくフロアが盛り上がり、洋楽だと白けるような状況にしばしば遭遇することに対しては否定的でした。下北に夜な夜な集まる客ではなく、夏フェス(ロッキンオン)でのDJや、回すバンドマン目当てで集まる客(音楽を楽しむのではなくバンドマンを棒立ちでガン見している)に多い傾向だった。

洋楽だからというより「自分が知っている曲しか盛り上がることができない」という風潮に対してのクエスチョンでもありますが。自分が雑食のせいか、「なぜ知らない音楽だからと興味を持たないのだろう、知った方が世界が広がって楽しいですよね」という思いがあります。

話が少しそれますが、以前音楽ライターさん達の間で「ライター志望の若い子に『洋楽も聞かないとダメですか?』と聞かれる」という話題がTwitterで盛り上がっていたことがありました。ダメな理由が色々上がっていましたが、端的に言うと「知らないとかっこ悪い」って意見が支持されていたような。そもそも音楽を聞いて文章を書くことを生業にするのであれば、好き嫌いを言っている場合ではない気がします。洋楽ルーツの日本のバンドも多数ですし、知識があればあるほど、仕事の幅が広がるだろうし。

洋楽崇拝の風潮とは言え、みんなメジャーどころを通っていないわけがないよね、という話も出ました。田淵のルーツは槇原敬之やB'zかもしれない、と。私は田淵より上の世代なので、昭和のアイドルが好きです(「ザ・ベストテン」「歌のトップテン」大好きで欠かさず見ていた)。光GENJIのレコードを持っていたし、TM NETWORKのカセットを持っていました。それがかっこ悪いことだとは思わないので、言いづらい環境に置かれたらツライな。

幸いなことに今は時代も国もごっちゃで耳にできる環境になったから、若い子の間では差別的な線引きはなさそう。振り返ると当時の下北は、良くも悪くもかなり閉鎖された世界だったのだなと感じました。

下北バンドとライブハウス

真空メロウ、Bacon、つばき、キャプテンストライダム、Hermann H.&The Pacemakers、アナログフィッシュ、LAST ALLIANCE、APOGEE、ザ・ガールハント、髭、54-71、THE NOVEMBERS、LUNKHEAD、QUATTRO、FREENOTE、ナードマグネット、テレフォンズ、STAn、相対性理論などなどの名前が出ました。私が知らないバンドの名前もたくさんありました(覚えられない)。当時私が知っていたのは、下北沢のほんの一部のシーンだったのだなと実感。

スロウカーヴは髭の「ギルティーは罪な奴」を出囃子にしていた時期があったそう(田淵はそれで髭を知った)。スロウカーヴを聞いていて「髭も好きそう」って思っていたので、なるほどと思えました。

アナログフィッシュとキャプテンストライダムは、好きでよくライブを見に行っていました。特にアナログフィッシュはシェルターのイメージが強い。
シェルターが、令和になって「ぼっち・ざ・ろっく!」に登場して聖地になったことには驚きました。私が直近でシェルターへ行ったのは2年前、なんと15年ぶりでした。好きな空気が変わらなくて嬉しかったな。

ユニゾンは「ホームはQueって言いたいけど実はMOSAiC」。この話は田淵がよくしていますね。Queやシェルターはブランドなのだな。
私はユニゾンが下北で活躍していた時期を知らないので、4年前のQueに当たった時はすごく嬉しかったです。いつか下北のライブハウスで見れたらと思っていたので念願が叶いました。

コロナでライブハウスが窮地に追いやられた時は本当に悲しかったです。ささやかながらいくつかの好きなライブハウスに寄付をしました。好きなバンドもライブハウスも続いて欲しいからね。

新宿LOFTも大好きだから寄付しました。初めてアジカン、エルレ、フジファブリックを見たハコで思い出深いのです。オムライスも美味しいよね。
ユニゾンを新宿LOFTで見てみたいぜ。ONIGAWARAの先行はもちろん外れたけどな!

小さいライブハウスが好きですが、自分が追いかけているバンドがどんどん大きくなると、なかなかそういう機会に恵まれなくなってしまうのよね。ストレイテナーが今年結成25周年ということで久しぶりにシェルターでやりますが、FC限定でもチケット当たらなかったよ。

田淵が「ザ・ガールハントのマスザワさんはafocのディレクターをやってる」と話していましたが、テイチクの方なのでTHE KEBABSも担当されていますね。(もしかしてケバブスはボランティアなのかもしれないがw)
私はガルハンやテルスターのライブを見ていたので、「あのマスくんが今や私の好きなバンドのディレクター!」と最初に知った時は感慨深かったです。ガルハンもテルスターも不定期に活動しているみたいなので、そういう活動の仕方も素敵だと思います。解散して復活して、ゆるっとしたペースで活動しているSound Scheduleのドラムの洋二くんも、普段は業界の人でライブの時はドラムを叩いています。

つばきに関しては、闘病の後に亡くなった一色くんのことをやっぱり思い出してしまうな…。

🔹スロウカーブからの影響

影響を受けたユニゾンの楽曲

田淵が以下のネタ明かしをしてくれました。「WINDOW開ける」と「スロウカーヴは打てない」以外にもこんなにあったとは。スロウカーヴの現役時代に集中していますね。

ステレオ/連れてって:デイライ協奏楽団(2009年)
都会の生活:いつかの少年(2009年)
動物:WINDOW開ける(2009年)
エーとビー:メッセンジャーフロム全世界(2010年)
サーモ:夕凪、アンサンブル(2015年)
連れてって/表現は自由/サーモ/ドーナツと魔法と針:スロウカーヴは打てない(2020年)

「ステレオ/連れてって:デイライ協奏楽団」
「ステレオ」の単音イントロ、すごくわかりやすい。サビは無意識に「連れてって」だった、田淵は友達に指摘されてそれに気づいたそう。おお、言われてみれば(笑)

ナカムラさんが「デイライ協奏楽団はVampire Weekendみたい」と言った時に、田淵が「洋楽聞かないから」とちょっと困っていたのが面白かったです。昔ライブを見てArctic Monkeysみたいと指摘されたこともあるそう。
ユニゾンにはしばしばこういう面白い誤解が生まれるのかもしれない。以前、雑誌「cast」の棚橋編集長やPOLYSICSのハヤシくんにも「XTC好きでしょ?」と言われていたことを思い出しました。

ナカムラさんがVampire WeekendやArctic Monkeysって言うのわかります。この世はたくさんの音楽に溢れているので、リスナー側の知識が豊富であるほど、このような好意的な解釈となるのかもしれません。

「都会の生活」「いつかの少年」
全体的にしっとりの雰囲気が共通している。サビ前もわかりやすいかも。でも言われても、そこまで似ているとは感じないかな。

「動物」「WINDOW開ける」
「Patrick Vegee」リリース直後に佐々木が自身のPodcastで指摘しており、「ああ!」と納得したファンは多かったはず。

昔、田淵と佐々木が「摂食ビジランテ」は「WINDOW開ける」に近いと話していた気がするけど、それもわかりますね。
ナカムラさんにも元ネタがあるそうで(知らないバンド名だったから覚えられず)、「孫請けだw」って笑いが起きました。でも孫請け現象はよくある話だと思います。
タイトルに意味はなく、「Monday満ちる」からインスピレーションを受けたそう。全然関係ないじゃんってナカムラさんに言われていたけど、極めて田淵らしい発想な気がします(オタク思考)。

私は「WINDOW開ける」があまり好きではありませんでした。「なぜユニゾンがこのようならしくない曲調を?」と、唐突さや違和感が先に来たので。でも、好きなバンドの引用だと聞くと納得します。
ちなみに私が大好きな「箱庭ロック・ショー(2009年)」も、当時よくこんな難しそうな曲を作ったなと不思議に思っていたのですが、田淵が「Ninth Peel」映像特典オーディオコメンタリーで、「下北時代は周りの流行りのバンドを取り入れていた、箱庭はバンアパだと思う」と話していたからめちゃめちゃ腑に落ちたのでした。「ライトフライト(2006年)」も好きですが、良い意味でユニゾンっぽくない、当時の下北バンドっぽい。下北界隈の先輩に認められたくて書いた曲もあるかもと話していたけど、この頃はあれこれ模索中だったのかなと推測できて面白いです。

「エーとビー」「メッセンジャーフロム全世界」
これもわかりやすい、イントロがビンゴ。でもこういうイントロって珍しくはない感じ、王道のロックというか。noteでもナカムラさんが「ビバリーヒルズ白書」のテーマをイメージと書いていますが、古い、いなたいロックの定番な感じ。

「サーモ」「夕凪、アンサンブル」
似た雰囲気があります。音数が少ないところ。歌詞の「くちびるにねじをまかなくちゃ」が気に入って、「背中にネジ穴が空いてる」にしたそうです。「スロウカーヴは打てない」にも、「ネジはおやつに入りますか」という歌詞があり、ネジって唐突だなと引っかかっていたのですが、これもインスパイアだろうか。

「スロウカーヴは打てない」「連れてって/表現は自由/サーモ/ドーナツと魔法と針」
「スロウカーヴは打てない」リリース当初、元ネタを聞きたくてもサブスクにないしCDも廃盤だったので、YouTubeで誰かが上げてくれた「連れてって」を聞いて「おお!まんまや!(笑)」と喜んだことを覚えています。「表現は自由」はニコ動で見たかな。
この曲に関してはさんざんこすられているし、一聴すればどこが引用されているか明白ですが、「サーモ」もだとナカムラさんが指摘。間奏ギター、これは宏介が作ったので田淵は気づかず。あとナカムラさんが「ドーナツと魔法と針」も上げていたと思うけど、どこを指摘していたか失念。曲を聞いてもあまりピンと来ません。

THE KEBABSの「ゴールデン・キウイ」の間奏、テンポが落ちてからタイトに戻るところも「連れてって」の間奏に通じるものを感じます。よくある手法と言えば手法かもしれないけれど。

「僕が影響を受けたのはスロウカーヴとSyrup 16g」と言っていました。私はシロップを通っていないのでピンと来ませんが(「生活」は好きでよく聞いていたし、ライブを見たことはありますが)、曲に反映されていたりするのかしら。スロウカーヴは「生涯影響を受けた音楽の3番目くらい」とのことで、その上はザ・ブルーハーツやTHE HIGH-LOWSやThe pillowsやシロップなのでしょうかね。好きでも影響を受けていない場合もありますが。ピロウズに関しては、さわおさんに「好きなくせに俺の影響を受けていない」と言われているほどですが、歌詞からさわおイムズのようなものを感じることがあります。

オマージュに関して、当時は怖いもの知らずでやっていたかも、と田淵が言っていました。ナカムラさんが「でもそんなにわからない、ただのユニゾンの良い曲だ」と言ってくれていたけど、私もそう思います。友達に「パクり方が上手い」と言われた話は何度か聞いていますが、そうなのだろう。

田淵的には、わかるようにパクるのはセンスがないと思っているようです。私は、元ネタに気づきやすいように引用しているのが当たり前の文化に馴染みがあるので、その考え方が新鮮だったな。私の好きなバンド、例えばくるりやドロスや、少し前だと100s(中村一義)、Air(車谷浩司)にその傾向がよく見られます。引用を見つけると、にやりとしちゃう喜びがあります。わからないようにやりたいのは、田淵らしいのかもしれない。

影響を受けた音楽を話したくなかった

田淵は、以前は影響を受けた音楽を公で話したくなかったそう。メディアはやたらとルーツを聞きたがるし、語りたがるバンドマンには「お前の魔法が解けるぞ?」と負け惜しみで思っていた、自分が音楽に詳しくないからコンプレックスだったと。

田淵がしばしば「僕は音楽に詳しくない」と言うのを不思議に思っていました。リスナー側からしたら詳しくないわけないと感じるため。でも下北界隈で辛酸を嘗めたからだったのか、と知ってやっと腹落ちしました。
バンドマンは、自分のルーツや好きな音楽を喜んでシェアしてくれるものだと思っていたので、田淵の秘密主義は風変りだなと思っていたけれど、そんな状況下だと当然かもしれない。振り返ると何を斜に構えていたんだ?とも思うそうですが、自分の心を守るための行動だったのだろう。
心理学的に、コンプレックスに対して「洋楽聞かない俺はダメだ」と思うのは服従モードで、「洋楽聞かなくて何が悪いんだ、好きな音楽なんて絶対に教えない!」と思うのは反抗モードなのですが、この時の田淵は反抗モードで防御していたのだろう。自分が好きなものを言えない場は不健全です。

それでも好きなものを諦めなかった結果、「オリオンをなぞる」をきっかけに唯一無二の立場を確立して今があるから、本当に良かったなぁと思います。私が好きになったバンドの中でもユニゾンは非常に変わった音楽性だと感じているのですが、それはやっぱり田淵のルーツにアニソンがあることが大きいように思います。他のバンドにはないオリジナリティであり武器。

今はキャリアも重ねたし、好きなものをおすそ分けをしていきたいという心境に変わったとのこと。余裕が出ると人に分け与えたい気持ちが出てくるのは当然の流れだろう。ファンとしても嬉しい、好きなバンドマンが影響を受けたものを知りたい派なので。それにより自分の知らなかった世界が広がるので。
私はアニソンに興味がありませんでしたが、田淵の影響で興味を持つようになったし、スロウカーヴに出会えたのも田淵のお陰です。

🔹ミニライブ

◆佐々木亮介

ファンには見慣れた、ホールがハート型になっているアコギを持って登場。
弾き語りの「シーガル」好きだわ。途中から田淵が勝手にハモり出したので笑いました。最初、姿が見えず声だけ聞こえて来てギョッとしたのです。ステージ端っこでしゃがんでハモるいたずらっ子仕様。君はafocが大好きなんだねぇ、わかったよと言いたくなるような。

afocでトリビュートしたユニゾンの「フルカラープログラム」は、佐々木が「2番からハモリが聞こえてくるかも?」と田淵を誘導しハモらせるナイスアイデア。いいなぁアコースティックはハモりが一段と際立つな。私も一緒に歌いたくなっちゃったよ。下北でツライ思いしてたバンドが、今や完全無欠のロックンロールやってるの感動じゃない?

「フルカラー」のハモリはまだ想像がつくんだけど、「シーガル」がなかなかレアでインパクトがあったのでまた聞きたいなと思いました。
一緒にやってるバンドの「ともだちのうた」には乱入せず。さんざんやっているからかな。佐々木がいつも通りアドリブを。「大人達は昼間から円山町で抱き合っています〜」と(笑)会場がホテル街の円山町だったので。

ハイライトはスロウカーヴの「動物」です。舞台袖から2人の動画を撮っていたナカムラさんを、急きょ呼び込み2番を歌ってもらいました。うわお!本家だ!と言う感激。でも佐々木と田淵のボーカルも良かった、やたらと似合っていた。ケバブスでカバーしてくれないかな?と思うほどに。
サビでユニゾンするとど迫力です。爆発力がたまらない曲だなと改めて思います。この3人だからこその化学反応が起こったのではないか、と感じる激アツなステージでした。

シーガル(afoc) w/勝手にハモり出す田淵
ともだちのうた(THE KEBABS)
フルカラープログラム(USG) w/誘われて2番からハモる田淵
動物(throwcurve) w/歌ってハモって間奏アコギ弾く田淵、誘われて2番からナカムラさんボーカル

◆ナカムラリョウ

人前で歌うことにだいぶブランクがあるとのことで、少々緊張の色を見せていたナカムラさんですが、弾き語り良かったなぁ。歌声好き。綺麗にさらっと歌うとこも、熱込めて汚く歌うとこも。
そう言えば、イベント冒頭でナカムラさんが1人登場してお客さんに説明をしていた時、既に酔っ払った田淵がドア横から「緊張してんのかーw」って野次を飛ばしていた。ナカムラさんを和ませるためだったと思いますが、うっとおしいと優しいの中間ぐらいのテンションで面白かったです。

「連れてって」には田淵も参加。交互にメインを取って田淵がハモって。田淵はやっぱりハモリが上手いなぁ。切らずにナカムラさんがユニゾンの「スロウカーヴは打てない」に突入したのがめちゃくちゃかっこ良かったです。DJイベントでセンスのある繋ぎに沸く、みたいな感覚でした。打ち合わせになかったようで、田淵も「えっ!!!」ってびっくりしていて面白かったわ。予想外の展開と、予想外の2人の相性の良さにテンション上がりっぱなし。

酔っ払った田淵は、大好きなスロウカーヴを歌えてとても幸せそう。自由自在に歌って踊って、スタンドマイクの使い方もなんだかサマになっている。バンドの時は目をまん丸に見開くことも多いけれど、お酒のせいか終始細目気味。
私はこの田淵に既視感がありました。古株のファンの方に、田淵が大昔にDJイベントで踊る様子をガラケーで録画した映像を見せてもらったことがあるのですが(録画OKのゆるい時代)、その映像の田淵だった。この人全然変わらないなと思って愉快な気持ちになりました。色々頑張ってきたからこそ、今またこういうゆるいイベントで楽しく遊びたいんだろうなぁ。

ナカムラさん、最後はレイテンシーを埋めるのではなく、表現は自由と締め、そこから「表現は自由」へ突入したので再び天才かなと思いました。かっけー!
ナカムラさんが、演奏すると全然スロウカーヴとユニゾンは違うって言ってました。わかる、そこが田淵のチャームポイントですね。

せかいのまど
1981
連れてって w/田淵
スロウカーヴは打てない(USG)  w/田淵
表現は自由  w/田淵

田淵はお気に入りのネヴァービリーヴロックフェスティヴァルTシャツを着用していたから、歌いながらTシャツの英字を差すというナイスなアクションが実現。
田淵が頻繁にこのTシャツを着用しているので、ナカムラさんは「嬉しいけど、この子他に洋服持ってるのかしら、とお母さん目線に…」と言っていて笑いました。ファンも皆同じこと思ってる。田淵的にはルーティーンがあって、たまたま写真撮影がある時に着用率が高いだけだそうです。
翌々日の「アニソン派!」の配信を見て、田淵が違うTシャツを着用していたのを確認して、母さん勝手に安心したわw

このTシャツ可愛いよね。バンドグッズは本当に気に入ったものしか買わない私ですが、ピンクを買いました。ナカムラさんのデザインセンス好きです。ジャケ写もどれもかっこいい。

そうそう、「スロウカーヴは打てない」のデモを会場だけで流すサービスもありました。田淵の仮歌フェチとしては大喜び。Q-MHzの畑さんが、田淵の仮歌の声のトーンで「昼に録音したね」(夜だと声が小さい)と判別するというエピソードが大好きなのですが、スロウカーヴは恐らく昼だ。田淵の仮歌を聞くと、宏介がいかにハイトーンであるか実感しますね。

あと「fiesta in chaos」ツアーのせいで、「つまりレイテンシーを埋めています」が「埋め・て・ い ・ます」と独特の譜割となり「放課後マリアージュ」へ突入する流れが好き過ぎて、脳内で勝手に「埋め・て・ い ・ます」に変換してしまうという重めの後遺症があります、どうしたら治るか誰か教えて。

◆throwcurve

イントロの途中から、シークレットでバンドメンバー3人が登場して演奏に加わるというビッグサプライズが。外野なのになんかすみませんという気持ちもありつつ、貴重な場面に立ち合えてとても光栄でした。
ユニゾンの斎藤くんも大好きな「3番線」は、ナカムラさんが♪フゥフゥフゥフフーと指導してくれて、お客さんもハミング。名曲と言われる理由がわかる、たゆたうように流れ行くとても気持ちの良い演奏でした。

「アルファ」は関山さんのスライドギターの音色が印象的でした。音にちょっとバインっぽさも感じたり。あと関山さんを見て、バンアパの原さんを思い出しました。原さんはベースですが、がっちりとした体格や演奏している時のにこやかな表情、楽器の位置(高め)、佇まいなど。そしてやはり私はスロウカーヴのギターの音色が好きだなとライブを見て思いました。

🔹あとがき

イベントが押しており、別件のため最後の抽選会は諦めて退出しました。スロウカーヴの再始動が発表されたみたいで、ファンの人達はさぞかし嬉しかったことだろう。

私がどこに向かったかと言うと、1度解散して、時を経て再結成をしたSound Scheduleの年に1度行われるワンマンライブです。活動凍結中のスロウカーヴのメンバーがサプライズで登場してファンの歓喜を目の当たりにした後だから、余計に気持ちが高揚しました。

ELLEGARDENを筆頭に、好きなバンドが解散や休止を経て再結成する場面をいくつか見て来たけれど、再び好きなバンドの始動に立ち会えるのはファンにとって最高の出来事です。好きな音楽をまた浴びることができることに加え、メンバーの関係値が以前よりほんわかしている様子がまた嬉しかったりもします。最近だと、解散はしていませんがメンバーチェンジの激しいくるりが、初期メンバーのもっくんを迎えてレコーディングしたことがとても嬉しかったよ。
田淵も、こんなことがあるなんて、生きてて良かったと熱く語っていたけれど、全くの同意です。生きてきたご褒美なのかなと思います。

Sound Scheduleは知らない人も多いかと思いますが、ギタボはアニソン歌手として有名なオーイシマサヨシ(大石昌良)です。解散してしばらくして、アニソン歌手として彗星のごとく現れた時は心底びっくりしました。アニソン好きだなんて知らなかった。当時、大石くんの実力で売れないわけがないと思っていたので、日の目を見て本当に嬉しい。バンドとしても、また3人が集まって程よい距離感でライブをしている姿を見ることができるなんてね。

そんなわけですごく懐かしい記憶が呼び覚まされたのと、私が知らなかった当時の界隈の事情を垣間見れて面白かったのと、バンドが再び集まる幸福な場面に立ち会うことができて非常に光栄でした。興味津々のイベントで絶対に参加したかったので、チケットが取れて本当に良かったです。

最初にユニゾンファンに告知された時点では出遅れて確保できず、スロウカーヴ公式やナカムラさんのX情報をマメにチェックして最終発売の日時を知り、予定をキャンセルして(キャンセル料5,000円かかった)スタンバって頑張って手にしたチケットでした。番号はケツだったけど、何気に前の方の端っこが最後まで空いているという自由席あるあるの法則で、ステージ近くに陣取れて数々の貴重なシーンを間近で目撃できて最高でした。

田淵は、オーガナイザーとしての役割を担う「アニソン派!」でトークする時とは違って、良い意味で責任感がなく、ただのファンと化して解き放たれていた。スロウカーヴが心底好きだと全身で表現していた。良い具合に酔っぱらっていたこともあるでしょう。シラフだったら宏介のことを「あいつ」呼びはしないだろうけれど、お酒が入ったからこそ大好きな斎藤くんへの愛情と親密度アピールで「あいつ」となったのだと感じました。

初めて見るナカムラさんは、穏やかで聡明な方だなと。喋り方や話す内容も好きでした。顔は星野源系統だとアー写を見て思っていたけれど、やっぱりそうだった。顔、好き(笑)

佐々木は「今日の出演メンバーの中で『お前誰だよ』って感じだけど」って言っちゃうほどに控えめな立場で参加していたけれど、そんなことないからみんな佐々木のこと大好きだから。音楽の知識も豊富でお喋りが上手な佐々木の視点が好きです。今日この場で3人のトークが聞けてラッキーだったと思います。

私はアニソンに詳しくないけれど、「アニソン派!」でプロの音楽トークを聞くのは楽しいと知りました。馴染みのあるバンドマンの音楽トークは、さらに楽しかった。満足感と幸福感で満たされました。こういうイベントがまたあれば行きたいなぁ。

紅茶のシフォンケーキ、ふわふわだし生クリームも絶妙に好みの甘さだった
会場のLOFT9は初めてでしたが、ユーロスペースと同じビルだった

ナカムラさんのセルフライナーノーツも面白いですよ。文章も素敵です。

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