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京のできごと

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#文化

#25 1971年と、観光と、哲学と。

#25 1971年と、観光と、哲学と。

「批評なんてしているヒマがあったら自分で動いて実践しろ」「考える前に飛べ」「 文系なんて就職先もないし未来がない。ムダな教科である」「思想や哲学とかいう人ってなんかめんど臭いし胡散臭いよね」

というのが昨今のメディアのみならず、社会全体の趨勢だと思います。そして平成の30年間というのは、そのようにして論理とか思想とか批評とか哲学をどんどん社会から排除していった歴史でもあったとも思うわけです。

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#24 AIと羽生さんと奥田民生

たとえば将棋だとAIは悪手含めあらゆる局面で、つねにすべての選択肢を瞬時にはじき出し、そこから最適解を選び出す。いっぽうで羽生さんみたいな名人は経験から悪手は排除して最適解に近いものだけを即座に選べるようになる。だから「経験積めば積むほど選択肢は減る」という言い方を彼はしている。これがいわゆる職人技と呼ばれるもののこと。

だけど最適解だけでやってると進化はない。たまに悪手を打ってみることが大事で

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#23 アルスシムラの卒業制作展に行ってきた。

良いことが重なった日は、朝のできごとがなんだかずっと昔のことみたいに感じたりする。今日が、まさにそんな日でした。
まず、朝。次男坊の保育園最後の生活発表会へ。柄になく緊張するなんて言ってたわりに「エルマーとりゅう」の主役であるエルマーをニッコニコで演じたり、歌の途中であくびをしたり、ずいぶんな余裕と貫禄を見せつけてくれたのでした。
発表会の待ち時間に読む暇つぶしのための本として新約聖書を選んだりす

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#22 都市は有機体である。

都市は有機体である。そう仮定する。そうすると、そこに住む人たちは血液であり、大小複雑に張り巡らされた道を東へ西へと行き来しながら、街に栄養や酸素をせっせと運んでいることになる。では都市にとっての建物はなんだろう?
そんなことを考えさせられたのが、京都市文化財保護課で進めている「京都を彩る建物や庭園」という事業のパンフレット作成に伴う取材と原稿執筆のお仕事でした。「京都を彩る建物や庭園」に認定された

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