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#クラシック音楽

オーケストラの録り方

オーケストラの録り方

壮大な表題をつけてしまいました。あくまで一例ということで、「クレド交響楽団」さんを引き合いに、「オーケストラの録り方」をざっくりお話しします。

こういうことは「社外秘」であったり「お家芸」であったりするので公表する人も少ないと思うのですが、音楽はもちろん録音もまた趣味として楽しいものなので、趣味を深めていただくキッカケになればという思いもあって、(YouTube等でも)ノウハウをたびたび公開して

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「ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート 録音現場潜入レポート」を、別の視点から紐解いてみる

「ウィーン・フィル ニューイヤー・コンサート 録音現場潜入レポート」を、別の視点から紐解いてみる

『季刊・オーディオ アクセサリー』2020 SPRING(176号)に載っているので、是非!

と、記事を書いた渋谷ゆう子さんから(ツイッターでのやりとりの中で)勧められ、買ってしまった(そういえば、発売当初に読んだ気もする)。記事を引用しすぎるのも気がひけるので、記事を読んでいる前提で、私なりの視点をあれこれ示してみたい。

大切なのは「マイクロフォンが邪魔をしない」こと渋谷さん曰く「マイク位置

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ステージマネージャーさんとの関係

ステージマネージャーさんとの関係

NewsPicks への投稿を転載します。

仕事であちこちのホールに出かけると、ステージマネージャー(以下、ステマネ)さんも十人十色。どのホール、どのオーケストラにもある程度通ずる “ルール” があるが、ステマネさんそれぞれに “独自ルール” が存在する。

私も仕事だから、ステージ上にマイクロフォン(スタンド)を置かなくてはならないしマイクケーブルも這わせる。しかし、このケーブルが指揮者の動線

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マイクロフォン6本で、オーケストラを録る

マイクロフォン6本で、オーケストラを録る

メインのマイクロフォンが2本、

Vn, Va, Vc(ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ)のあたりに2本、

木管楽器群のあたりに2本。

すべて無指向性。

計6本でオーケストラを録ったときに感じたことのメモ。●ワンポイント(メインのマイクロフォンだけ)でも破綻はしない。

●木管楽器群のマイクロフォンに、金管が時に過剰に飛び込んでくる。音楽バランスが崩れないよう、曲に合わせたフェーダー操作が忙し

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2020 → 2021

2020 → 2021

写真は、コロナ禍の外出自粛時、自転車で出かけた隅田川沿いで撮ったもの……2020年は、私が振り返るまでもなく大転換期だったと思います。私も、会社員からフリーランスに戻る決断をしました。

「“東京” に戻ってきたなら手伝ってよ」

「“東京” に戻ってきたなら録ってくださいよ」

(……数年前に “長野” で起業したのは、過ちだったのかも知れません。でも、当時はそれが最善の選択と思っていたのだから

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録音note寺子屋、はじめます。

録音note寺子屋、はじめます。

2021年1月から、このnote上で録音のための寺子屋を始めることにしました。コロナ禍で、特に音楽家の方々が配信を始められたわけですが、機材選びにしても何から何まで手探りだったことと思います。

検索すれば、「もう専門学校など要らないのではないか」と思える量の情報が転がっていますし、ソフトウェアやアプリなどの使い方などは大体のことが学べますよね。これは、2020年から新たに映像制作を学び始めた私が

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ライブ録音のシステムを組むときに大切なこと

ライブ録音のシステムを組むときに大切なこと

結論から言うと、「シンプル」かつ「直感的に操作できる」ことを大切にしています。

もし複雑な部分があれば、まとめて簡素化しておく。しかしこれとてトラブルがおきれば複雑な部分を紐解くことになるので、複雑さは極力排除したいところです。

……その目的は、

「頭で考えずに身体が反応できる」こと。

例えば、録っている最中にマウスでフェーダーを動かすのは最悪。

だって、マウスでピアノを弾くピアニストは

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“撮る”立場からみたマイクロフォン

2020年から師について(オーケストラを撮れる人は本当に少ないと思います)撮影も始めて、「録る」に加え「撮る」視点を得たのですが、とにかく

マイクロフォンが邪魔

です(笑)。

“録る” 立場からすると、そこにマイクロフォンを置きたいのはわかります……でも、指揮者の顔に被るんじゃーい! とか、固定カメラの前にいつのまにやらマイクスタンドがドーン! とか。

マイクスタンドが邪魔だからといって

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どこで演奏するか 〜 想定された、場の響き

どこで演奏するか 〜 想定された、場の響き

「教会で聞いた賛美歌の響きが忘れられない」という人は多いようで……異国での体験であることに加え「教会の “場の響き” 」もまた異世界であり、そこに神や神聖な存在を感じずにはいられなくなるのだろうか――

さて、場の響き、空間の響きを考慮せずに演奏される機会は、結構な割合で存在する。つまり、「教会でうたわれる想定で書かれた曲を、日本の多目的ホールに持って来ても、本来の響きは得られない」という至極当た

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マスクに“正装”はあるのか?

マスクに“正装”はあるのか?

コンサートホールで裏方をやっている知人が、関係者からこう言われたらしい。

「舞台上では、白いマスクでお願いします」

知人は黒いマスクを着用していたのだが、よく見ると周りは白いマスクだらけ。

……そりゃ仕方ないなと思ったが、はて、それはいつのまに出来たルールなんだろう。

ネクタイの色は統一してしないのに、マスクは統一?

そういえば、冠婚葬祭の席ではどうしたら良いの?

コロナ禍以前、マスク

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クラシック音楽に特化した「IDAGIO」

クラシック音楽に特化した「IDAGIO」

Spotify などで目的の曲にたどり着けなかったりすることが度々あります。日本語以外で検索したりと色々工夫が必要なわけですが、この「検索カテゴリの構造」に切り込んだのが「IDAGIO」です。

ほとんどのサービスは、曲名、アーティスト名、アルバム名で分類しています。対する IDAGIO は、作曲家、指揮者、オーケストラ、ソリストなどといった分類からも検索することができるので目的の曲を探しやすく、

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わたしの “お品書き”

わたしの “お品書き”

ホームページには通り一遍のことが載ってますが、note にはもう少し掘り下げて「何ができるの?」「どんなことが好きなの?」を自己紹介がてら記しておきますね。

1.主軸は「オーケストラや室内楽の録音」キャリアをスタートしたのはスタジオだったのですが、とあるCDの録音に衝撃を受けて、そのレコーディング・エンジニア(バランス・エンジニア)に弟子入りしたんです。サイトウ・キネン・フェスティバル(現:セイ

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オーケストラ における フィジカル・ディスタンシング

オーケストラ における フィジカル・ディスタンシング

物理的距離の意で「フィジカル・ディスタンシング」としましたが、いわゆる「ソーシャル・ディスタンス(ディスタンシング)」が、オーケストラ公演でも意識されています。飛沫距離云々は他の記事に譲るとして、フィジカル・ディスタンシングの【効能・効用】【メリット】を意識したことはありますか?

オーケストラの “配置” は、その歴史とともに型が決まってきて、奏者間を1.5m 空けるなどやはり異常なことなのです

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手作り台湾旅行 準備篇

手作り台湾旅行 準備篇

ここ数年、いろんな都合でまとまった休みがとれなかったので海外ひとり旅は久々――リハビリも兼ねて、近場の台湾を目指します。今回の目的はベタですが「九份観光」と、「台湾のコンサートホールでオーケストラを聞く」こと。あとは計画せず思いつくまま――出発までの準備についてまとめました。

1.『地球の歩き方』を購入

全体像を俯瞰したいので『地球の歩き方』をメルカリで探し、2018-19版を定価の6割ほどで

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