録音家・西沢拓朗|Ultra-Light Recording

“機械” を減らし “機会” を増やすを信条に「Ultra-Light Recording」を提唱、バックパックやキャリーケースで、コンサートホールから山岳地帯まで録音に赴きます。お仕事のご相談は→ https://486recordings.com/contact/

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“機械” を減らし “機会” を増やすを信条に「Ultra-Light Recording」を提唱、バックパックやキャリーケースで、コンサートホールから山岳地帯まで録音に赴きます。お仕事のご相談は→ https://486recordings.com/contact/

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    CD 『74分間の信越トレイル』 ができるまで

    2022年の7月に信越トレイルを歩くにあたって、「YouTube のネタにできたらいいな」くらいな気持ちで録音機材を持っていきました。で、歩き終えてみたら7時間を超える音を録っていて……これ、1日あたり1時間ほど、ボーッと突っ立っていたことになりますね(笑) 雨続きのスルーハイクで大変でしたが、いろんな方の親切に触れたりもして「ああ、いいトレイル(旅)だったな」と思えて、「信越トレイルがこれからも続くといいな」という気持ちが芽生えたんです。 そこで、「録った音をCDにして

      • 音のzine 『熊野古道の静けさ』 発売

        音の zine をこさえました。 信越トレイルはCDですが、こちらは SDカードを冊子に封入しています。詳しくはストアにてご確認ください。 初回10部発行、2023年5月8日発売です。 ↓ あわせてご覧ください

        • Diffusion of Nature 2023 浅草

          雲ノ平山荘「アーティスト・イン・レジデンスプログラム」の展示会を、散歩がてら見てきた。入場料は500円。立派な冊子をいただく。 やはりいちばん興味があったのは、アナイス・カレニンさんと村上達郎さんのユニット。雲ノ平でフィールド・レコーディングした音を素材として、制作を行ったとのこと。 その制作過程を上映していた。 どこにでもあるようなハンディ・レコーダーで録っていて、録音に関しての専門性は高くないように見える。けれども、彼らの制作風景を見ていて、技術より大切なのは「視点

          • 「機能」と「祈り」 〜 レコ芸の休刊

            「冒険研究所書店」に初訪問、店主・萩田泰永さんの『書店と冒険』などを買い求めた。ここに出てくる「機能」と「祈り」というキーワードから、最近話題になった「レコ芸」の休刊について思ったことがある。 「レコ芸」とは、1952年創刊の『レコード芸術』という月刊誌。そこに批評が載り特選盤に選ばれることは、音楽家やレコード会社にとってステータスとなっていた。そんなご意見番的存在の休刊であるから、読者というより業界関係者が一斉に動揺した。 とはいえ、休刊への前奏曲はずいぶん前に終演して

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            ボイスサンプルにおける音楽の音量について

            Twitterで、ナレーター・公文のぞみさんのボイスサンプルを聞いて、「もう少し音楽を聞きたい(音楽のボリューム、小さくない?)」と感じたのでそれを伝えたら、「これでもまだ大きいというディレクターさんもいる」と知り、私は驚いてしまったのです。 さて、どう感じられましたか? まだ大きいですか? 小さいですか? 当たり前ですが、音楽が控えめだと声がよく聞こえます。ボイスサンプルとしては、ある意味正解なのかも知れません。ただ、CM とする場合には、音楽をもう少し聞かせることにな

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            なかへち清姫太鼓 とある日の練習風景

            熊野古道の旅で泊まった宿「あんちゃん」のご主人から 「太鼓を聞いてみませんか?」と突然のお誘い。 この辺で活動する「なかへち清姫太鼓」の練習が、 今夜あるという。 たまたま録音機材を持っていたこともあり、 メンバーの方の車に揺られ、いざ練習場所へ…… 外灯のない山道を10分ほど走ると、 むかし集落だった地域の公民館に到着した。 まわりに誰も住んでいないから、 思う存分音がだせるという。 今回集まったメンバーは3人。 本来はもっと大人数で演奏するのだが、 『日向』という曲を録らせてもらった。 観光名所めぐりでは、ぜったいに出会えない。 これぞ旅の醍醐味! 録音では、太鼓の迫力は伝わらない。 中辺路を訪れることがあったら、 ぜひ現地で「なかへち清姫太鼓」を体感してほしい。 収録:2023年2月22日(ワンポイント・ステレオ録音) ▶なかへち清姫太鼓 https://www.facebook.com/kiyohimedaiko/ ▶民宿・古道の社 あんちゃん https://www.kodounomori-anchan.com/ ▶熊野古道・中辺路140kmを「テント」と「宿」で歩く【モデルプラン】 https://note.com/486/n/n08f17673a875

            熊野古道・中辺路140kmを「テント」と「宿」で歩く【モデルプラン】

            熊野古道に呼ばれた気がして、2023年2月に中辺路を歩いてきました。思い通りに運ばないのが旅の面白さとはいえ、ある程度は計画しておきたいですよね。ところが、「1日にどこまで歩けるのか」「どこでテントを張れるのか」といった情報が少なく難儀したので、「モデルプラン」は言い過ぎかも知れませんが、ここに旅の記録をまとめておきたいと思います。 大まかなコースとしては、紀伊田辺駅から出発し、本宮大社、那智大社、速玉大社と巡り、新宮駅から帰路につきます。私のペースは、山と高原地図のコース

            DPA4006 にノーズコーンをつけた時、ウインドスクリーンが抜け落ちないようにする方法【家庭にあるモノですぐできます】

            使うのは「輪ゴム」です! ものすごくニッチで需要が無さそうな内容なんですけど、他のマイクロフォンでも「ウインドスクリーンがちょっとユルいな」ってときに応用できるので、試してみてください〜! (ま、輪ゴムで指向特性がちょっと暴れるかも知れませんけど、そもそもウインドスクリーンをつけてますしね)

            【準備】熊野古道・中辺路を歩く

            呼ばれた気がしたので、繁忙期突入前の2月下旬に歩くことにしました。中辺路か伊勢路かで迷い、伊勢路をゆくには日数が足りなさそうなので中辺路に決定。紀伊田辺(※)から出発し、本宮大社、湯の峰温泉、那智大社、速玉大社と巡る旅です。 ※紀伊田辺からバスで移動し、滝尻王子から歩く方が多いそうです 情報収集まず買ったのは、山と渓谷社『ちゃんと歩ける熊野古道 中辺路・伊勢路』。 「山と高原地図」のようなコースタイム表記に期待したのだけれど載っておらず……WEB上で情報を探しました。

            【74分間の信越トレイル】 長野県立美術館ミュージアムショップにて販売

            長野と新潟県境の里山を巡る「信越トレイル」を歩きながら録った音風景をまとめたCD、『74分間の信越トレイル』が信州に初上陸。善光寺からほど近い、長野県立美術館にあるミュージアムショップにて販売となりました。 年始に帰省の折なんとなく美術館に入り、ミュージアムショップでなんとなく『小屋番三六五日』を買い求め、「あ、この山関連の棚にCDを置いてもらえたら嬉しいな」と思い、なんの準備もなしに店員さんにご相談…… どこの馬の骨ともわからないオジサンの申し出を聞いていただき、そして

            あまとみトレイルをだらだらと計画する

            2022年に信越トレイルを歩き、2023年はどこにしようかなと思い巡らせている……勢いで買ってしまった「あまとみトレイル」の MAP BOOK があるので、ひとまず計画だけ立てておこう。日程が確保できたとき、すぐに出発できる。 情報を集める公式ホームページ facebook ページ TRAILS 土屋さんによるレポート #03 chant! (非公式ルートマップもある!すごい!必見!) 歩ける期間は?・だいたい11月から冬季閉鎖となる模様。 ・氷沢(夢見平)避難小

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            高さ3mになる、スーツケースで運べるマイクスタンド

            高さ3mのマイクスタンドといえば、通常は車で運ぶもの……これを機内持込サイズに収めました。ただし、マイクロフォンは DPA 4060 等の軽量なものが前提です。 スタンド(ポール)とベースを合わせても1kg未満! 「機械を減らし、機会を増やす」Ultra-Light Recording において核となる、「マイクスタンド」のご紹介です。

            歩く = 点と点とが線になる

            2022年に歩いた「信越トレイル」は、私にとって初めての “ロング・トレイル” だった。アメリカ3大トレイル(PCT、AT、CDT)と比べれば 110km などまったく “ロング” ではないのだけれど、程度の差こそあれ「まとまった距離を歩く」という行為に違いはない。 例えば東京 - 大阪間を新幹線で移動したら、その間は単なる「キョリ」でしかない。車窓からの眺めはあるにせよ、「田園が広がってるな」「ビルが多いな」と、その程度だろう。 ところが、信越トレイルのように山中だけで

            アンチSEO対策

            私はたびたび、google map で店の営業時間を調べたりする。 今日も今日とて、「近所のクリーニング屋さん、この年末にまだ営業してるかな?」と google map を眺めたのだった。 ところが、存在するであろう場所に、そのクリーニング屋さんは載っていなかった。 念のためストリート・ビューで確認すると、たしかに存在している。そうだ、数日前にも通りかかっているのだから廃業のわけがない。 「電話番号もわからないし、直接行ってみるしかない!」と、服を抱えてクリーニング屋

            伊豆山稜線歩道 〜 サンカクスタンド

            テント泊デビューした2021年、道具選びのあれこれを YouTube で勉強しました。私の中での御三家は、 「たかくらや」高倉さん 「バックカントリー穂高」太田さん そして、「サンカクスタンド」もじゃまるさん(山好き移住者の日記) ほんとうにみなさんキャラが濃く、面白く、ためになる! そして、伊豆は修善寺にある「サンカクスタンド詣」を決意。 ……したのですが、せっかく伊豆まで行くのだから、もうちょっと盛り込みたいのが人情。そこで私が選んだのは「伊豆山稜線歩道」でし

            2023年から先をどう生きるか

            2022年7月に信越トレイルを歩いての心境の変化は、急には訪れなかった。 しかし日が経つにつれ、まるでマグマだまりが成長しているかのような変化に気づく。見えないところで沸々と何かが変わっている。 タイトルに「どう生きるか」と書いたとおり、「どんな仕事をしたい」とか「何かを成し遂げたい」とかではなく、心は「いかに生きるか」を求め始めている。正直、長年取り組んできた「録音」ですら脇に追いやられた感がある。まだ自分でもよくわからないけれど、「録音」は、これから大切にしていきたい