ソフトクリームの幸せは、自分にはまだ分からない。
暑くなってきて、どこかへ出かけて、家に戻る前に家に電話をして、何かを買って帰ろうという話になったとき、ソフトクリームが浮かんで、提案をすると、妻がのってくれることが多い。
最近は、セブンイレブンの金のソフトクリームを買うことが多い。それは、いろいろと試してみて、近所で購入できるものの中で、妻が最も気に入っているものだったからだ。
確かに、クリームは柔らかく、さらには、ソフトを支えるのはサクサクしたコーンで、それも妻の好みにあっているようだった。
直島のソフトクリーム
外出した先、もしくはいわゆる観光地などに行くと、ソフトクリームを販売しているところが少なくなくて、そういうとき、なるべく一緒に味わうようにしているのは、他のアイスクリームなどと比べて、ソフトクリームを食べるときのほうが妻が明らかにうれしそうで、おいしそうだからだ。
だから、私もなるべくソフトクリームがおいしそうな場所をテレビなどで放送していると覚えるようにして、実際に行くときにも、購入して食べるようにしている。
瀬戸内海に浮かぶ直島は、アートの島として有名で20年以上前から行きたいと思っていたのだけど、費用も時間もかかるし、そのうちに仕事を辞めて介護に専念することになって、もっと遠い場所になっていたのだけど、妻と一緒に介護をしていた義母(妻のお母さん)が100歳になったとき、さまざまなお祝いをされて、そのときに、介護をしていた自分たちにも、特に主介護者である妻に何かしたいと思って、かなり思い切って、直島に行くことにした。
義母をショートステイに預けて、飛行機に乗ったりフェリーで海を渡ったりもして、到着した直島は、高まっていた期待もがっかりさせない場所だった。そこから豊島などにも行って、期間も限られているから全部を回ることはとてもできなかったけれど、それでも、現地にいる時も、ここに来られたことが信じられないような時間だった。
そのときも、ソフトクリームを食べた。
普段だったら、少しためらってしまうような値段だったけれど、その場所のソフトクリームはそれしかなかったし、観光地価格と自分に言い聞かせる部分もあった。
二人でソフトクリームを食べた。
それは、その時の楽しさもあって、いつもよりもおいしかったような気がした。
ソフトクリームへの気持ち
私は、日常的にチョコを食べていることもあって、ソフトクリームもチョコ味があると、チョコとバニラのミックスにしたりするけれど、妻はほとんどの場合バニラを選択する。
アイスクリームというスイーツは、スイーツの歴史の中では革命的な存在だとも思っていて、一般家庭に冷凍庫のある冷蔵庫が普及する前は、限られた場所、もしくは購入して自宅で食べるとしても、すぐに食べないといけないような限られた時間でしか味わうことができないものだった。
そして、以前は、ソフトクリームは、あのグルグルに巻く機械があるところに行かなくてはいけなかったし、さらにはだいたいが暑い季節になるから、ソフトクリームは特に溶けるのが早く、気持ちのどこかで常に焦りがあり、さらには、同行している人が子どもだったり、高齢者だったりすると、その人たちが食べていて、最悪の場合はソフトクリームの落下もあり得るから、そこに注意が行ってしまい、味わうことの優先順位が下がってしまうことも少なくなかった。
自分の母親の介護もしていたのだけど、妻と一緒に水族館のイルカショーを見ているとき、母もソフトクリームを食べたいと希望したので、購入し、自分で食べてもらうしかないのだけど、イルカに気を取られ、気遣いのレベルが以前よりも下がっているから、溶けて垂れそうになっていることに、それほど気持ちが回っていないのがわかるから、こちらが露骨でないように、楽しさや美味しさを損なわないように気をつけるしかなかった。
だから、しばらくはのびのびとソフトクリームを楽しむことがなかったせいで、それほどの思いが積み上がっていなかったのかもしれない。
ソフトクリームへのあこがれ
一番近くのコンビニがセブンイレブンになって、だから、「金のソフトクリーム」と、私はちょっと迷って、なじみのジャイアントコーンを買った。妻がソフトクリームだと、なんとなく形状も似ているものを手に取ってしまうような気がする。
今は、ジャイアントコーンの種類も増えて、そして、その二つを購入してからは店内のレジへ持って行き支払って、そこから家に戻るまでは数分に過ぎないのだけど、そして実際はコンビニの店内は冷房が効いているのだし、とは思っていても、溶けるのではないか、という怖さがあるのは、ソフトクリームはより溶けやすいという気持ちが抜けないせいだろう。
家に戻って、ソフト買ってきたよ、と言うとさっきも伝えたはずなのに、妻はもう一度喜んでくれる。
そして、さっそくインスタントコーヒーをカップに入れて、一緒にアイスを食べる。これまで、この金のソフトクリームも、家の経済状況もあるから、数多くというわけにはいかないけれど、それでも、もう何十回も食べてきたはずなのに、妻はおいしそうに、うれしそうに食べる。
いつも、私も一口もらって、確かにおいしいとは思うけれど、妻ほどの幸福感を感じていないのは、たぶん、間違いない。
だから、愚問に近いのだけど、改めて、どうしてそんなにソフトクリームが好きなのかを聞いてみた。
「あ、言ってなかったっけ」。
みたいな話から、かなり丁寧に答えてくれたのは、こうした内容だった。
------昔は、ソフトクリームは、そういう機械がある場所にしかなかった。だから、そこにいかないと食べられなかった。遠くは観光地とか、あとはショッピングモールみたいなところにもあった。そこで、あの機械で絞り出すようにソフトを作ってくれた。
アイスクリームはもちろん売っているお店はあったけれど、あのケースの中に入っているアイスキャンディーは固くてもいいんだけど、昔のそういうところで売っているソフトクリームは、やっぱり固めだった。
だから、あれはソフトだけど、ソフトじゃなくて、やっぱりどこかへいかないと食べられないものだった。そうすると、やっぱりあこがれだった。
ただ、今はコンビニのソフトクリームは、今日食べたのもそうだけど、ちゃんとソフトクリームだから、おいしい、って思うのだけど、今もあこがれの気持ちは残っていて、だからおいしいだけじゃなくて、好きなんだと思う-----。
ソフトクリームの幸せ
これまで、どこかへ出かけて、昔から変わらないような大きいソフトクリームの「置物」を探して、それを見つけ、妻に教えると、最初に見つけた私よりも強い反応を見せるのは、あこがれがあったのかと、思った。
だから、妻がソフトクリームを食べるとき、すごく幸せそうな顔をするのは少し理解できた気がしたが、自分にはまだその幸せはそこまで分からないし、もしかしたら、これからも分からないかもしれないとは思った。
ただ、その幸せそうなソフトクリームの時間を共有できるのは、私まで伝わってきてこちらもうれしくなるので、おいしいソフトクリームの情報はこれからも気にするだろうし、どこかへ出かけたときも、ソフトクリームがあれば、一緒に食べたいとも思っている。
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