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買い物散歩

 毎月、電気料金や、ガス代など公共料金の支払いの請求書が来る。

 その度に、使っているから支払いが必要と思っているけれど、それでも、なんだか憂うつになるのは、特に電気代などは、さりげなく値上がりをしたりしているせいもある。

 そして、その料金を支払うと、サイフの中にあったり、今月の使うお金として封筒に入れてある家計分から紙幣が減って、また金融機関から引き出さなくてはいけなくなる。

 生きて、生活していくのは、現代ではお金を使うことだとわかっていても、なんだか気持ちが重くなる。そのたびに、低い収入と、これから先に仕事が増える可能性の低さと、年齢を重ねていくことなど、他にもいろいろとネガティブな気持ちに襲われて、暗くなる。

 それは、自分でも嫌になったり、あきれたりするようなことだと思う。


 それでも、単4電池が必要な状況になったので、家の乾電池入れにはなくて、できたら「百均」で買いたいと思ったのだけど、かつては近くに2軒あった店がなくなり、隣町に行かないと「百均」はないので、久しぶりに出かけることにした。

 そして、自転車で一人で素早く、とは思ったのだけど、天気もいいし、散歩も兼ねて妻と行きたいとも考え、そのことを伝えたら、妻はちょうど健康診断の結果も聞きに病院に行きたかったし、薬ももらいたいから、という理由もあったので、一緒に行くことになった。

 だから、まずは隣町の病院に行こうと支度をして、それにも微妙に時間がかかってしまったのだけど、何しろ暖かいうちに出かけたいから、まだやることもあったのだけど、何しろ早く、と焦りつつも午後2時半頃に家を出た。

 荷物は重くなりそうだし、帰りに妻が疲れた場合に乗ってもらおうと考え、自転車も連れていくことにした。

 最初に近所のコンビニで、公共料金の支払いをする。

 妻は歩いて、私も自転車には乗らずに、ただ引っ張って歩いているのだけど、天気も良くて、だけど風が冷たくて、ご近所の庭の梅の木を見て、妻がふと言った。

「梅は終わっちゃったね------」。

 それを聞いて、少し歩いた公園に梅が咲いている、という話を聞いていて、できたら見に行きたかったことを思い出した。

「え、いつまでだっけ?」

「梅はね、早いよ。
 2月の中旬くらいで、もう終わっていたんじゃないかな」。

 知らなかった。

 梅は寒い中で咲き始めて、それから長いこと咲いているのだと勝手に思っていたが、3月も中旬くらいになっていたから、本当に遅くなっていたのを知る。

散歩

 まだ寒いのだけど、それでも空は青いし、自転車と一緒だけど、妻と二人で散歩をしているような気持ちになる。

 それほど急いで歩いていないと、周囲のことも目に入る。

 小さめのマンションの前に、小さく囲われた花壇のような場所があり、そこに一本だけ樹木があるけれど、今は葉っぱも花もなく、枯れ木になっているが、枝は、ややしだれているようにも見える。

「この木の名前知ってる?」

「それが、知らないの」。

 意外だった。草花や樹木については、ほぼなんでも知っていると思っていたからだ。

「この木の名前は、この近所の人に聞いたことがあったけれど、その人も知らない、って言ってた」。

 すでにそこまで「調査」をしていて、その上で「知らない」という返事だったから、単純に知らない、とは違うのだと思った。

 だけど、そうした作業をマメにしていることに、改めて感心もする。

樹木

 隣町に行くまで、ゆっくり歩くと15分くらいはかかるけれど、どの道を通っていくかは、かなり多くの選択肢がある。

 その過程で、妻は、ほぼ下を向いて歩いていて、それは、小さな名前もない草花が生えているのを見つけると、そのあり方がかわいいと、しばらく眺めたり、カメラで撮影したりしているためだ。

 さらに、その途中で、どんな樹木があるのかを、ある程度は把握もしているようで、小さな曲がり角を曲がる前から、妻は「ここにミツマタがある」と言いながら、少し歩く速度が上がったようだけど、確かに、そこには小さな樹木がある。

 少し花が咲いているようで、やや赤いものがその先っぽに見えるのだけど、それを「咲き始めて、かわいい」と言いながら、コンパクトデジカメを、そのミツマタにかなり近づけて、写真を撮っている。

 そのかわいさについては、私は、まだそれほどの理解に至っていないのを、知る。

 さらに歩く、その先に、広く空き地になっているような場所があって、カラスがその土の上をくちばしでつついているけれど、ここは「貸し農地」になっているようだ。ただ、今は土があるだけで、他は何もない広い場所に見える。それ以外の場所にはビニールハウスが並んでいる。

 その周囲を囲っている小さい樹木は、生垣の役割を果たしていて、常緑樹のせいなのか、今も緑色だった。

ラーメン屋

 商店街を表すように、道路はレンガ色になった。

 急にさまざまな飲食店などが並び始める。

 少し来ないだけでも、店の入れ替わりがあって、今は準備中のラーメン屋の前を通りかかる。

「ここ、その前もラーメン屋で、それで新しくまたラーメン屋になったら、いつも行列ができるようになったんだ」。

 そんなふうに妻に教えてもらったけれど、私はその前のラーメン屋から記憶になく、今のラーメン屋がそんなに人気があるのも知らなかったけれど、その店の前に出ていた予定表が目に入ると、土日には「整理券割」という言葉もあったから、整理券が出るほどに混雑することを知り、そんなに美味しいのか、と思うと、今度は来てみようという気持ちになった。

 自分のことだけど、とても、げんきんだと思う。

病院

 病院に着いた。

 玄関には、たくさんの靴が並んでいるように見えたから、かなり時間がかかりそうで、ちょっと心配だったけれど、そこでいったんわかれて、私は、自転車に乗って、その近くの「百均」へ向かった。

 平日の午後なのに、意外と店内は混んでいて、商品を選んで、カゴに入れて、少し並んだ。男性二人、女性二人の高校生のグループが前を歩いている。

 それから、病院に戻ったら、玄関の妻のスニーカーがバラバラになって一つは転がっていたから、誰がやったんだ、と思いながら、そのスニーカーを整えてから、待合室に入ったら、妻はちょうど診察も支払いも終わったところだった。

スーパー

 それから、近くのスーパーに向かう。

 そこに、さっきの高校生のグループがいた。元気で、楽しそうだった。

 少し前は、このスーパーの商品がどれも安かったのだけど、2023年の終盤あたりから現在まで、やたらといろいろなものが値上げされたせいか、スーパーによって安いものが違ってきて、だから時々、2軒スーパーに寄ったりもする。

 ただ、そんな細かいことを気にするのは、自分が貧乏なのと、値上がりが続くせいで、そういう状況にいて、そんなことばかりを考えている自分が悲しくなった。

 買い物が終わって、自転車のカゴに入れる。牛乳など飲み物も色々買ったせいもあって、かなり重くなった。サイフの中身も少なくなったから、今週中には、また金融機関に行って、お金を下ろさないといけないと思うと、また憂うつになった。

梅とウグイスとつくし

 隣町から帰るときは、行きとは違う道を通った。

 途中に庭の広いお宅があって、そこに梅が咲いていた。

 青い空をバックにして、きれいだったので、写真を撮ろうと思って、カメラを構えていたら、その視界に小鳥が入ってきた。

「あれ、何?」

「あ、ウグイスかも」。

 そんな会話を妻として、梅にウグイスとは言うものの、そういうことは意外と少ないので、必死で撮影していたら、ちょうど、そのお宅の方が外に出てきたので、「すみません、梅にウグイスがいるみたいなので、撮らせてもらっています」といったことを伝えたが、その人は、それほどの関心はないようだった。

 思わぬところで、今年も梅が見られた。

 そこから、線路際の道路に出た頃は、夕方になり、もう家を出てから、2時間が経っていて、風が冷たくなっていた。

 線路のそばには意外と、いろいろな草花があって、いろいろな花も見ることができる。そんなことを思って、歩いて、見ていたら、つくしが急にばーっと生えているのが見えた。

 そのことを妻に伝えたら、「あ、ほんとだ、といってから、春だね」とちょっと笑っていた。

 なんだか、この10年、いろいろと努力も工夫もしてきたけれど、でも、成果が出なくて、このまま無名の人間が何をやってもダメなのではないか。それは、コネとカネと生まれた環境ばかりが重視されるような事実を知ることが多くなって、余計に憂うつだったのだけど、それでも季節は変わっていくようだった。

洋菓子店

 地元の駅に戻ってきて、確か、去年あたりにできた、このあたりでは珍しい洋菓子店が、今月の末に閉店するのを知った。

 そういえば、今日、出かけた時、後ろにシュークリームが描かれた、この洋菓子店の小さいトラックが走っているのを初めて見た。

 この場所に出店するショップのサイクルは早かったけれど、今回も例外ではなかったようだ。せっかくおいしいお店ができたのに、ちょっと寂しい。





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