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【詩】カッコウへ (キミに伝えたいこと)


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暁の、まだ仄暗い時分
目覚めるにはまだ早く、夢の中にいる頃
キミの鳴き声が、辺りに響き渡る
高く澄んだ、ちょっと誇らしげな声に
私は少しづつ覚醒しながら
(あぁ、そろそろ夏に近づいてる)

と、季節が初夏に移行したのを
ぼんやりとした微睡みの中で思った

「カッコウ、カッコウ」
静寂の中に、再度響き渡る
と同時に亡き母を思い出す
遠い昔、キミの鳴き声を母と共に聞いて
笑いあってたからね
でも、その母は魂の国へと旅立って行ったんだ

だから、本当はね
キミの鳴き声、聞きたくなかった
母に会いたくて寂しくなるからね

けれど
逆にキミの声に癒やされてたのかもしれない
キミの鳴き声は静寂の中にこだまして
メロディーを奏でているようだったよ
とても心地良くて
私は再度、微睡みに落ちていったよ

まもなくキミは
また旅に出るよね
キミの鳴き声が聞こえなくなると
それはそれで寂しくなる
悪者扱いしていたのに
キミに罪はないのに
勝手なことを言ってごめんね

カッコウよ
また来年、帰っておいで
長い旅だけど
元気でいるんだよ


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