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【書評】最高の人生讃歌!!! 世界一泣けるビジネス書!!!ハンス、オーラ・、アンナ・ロスリング著『FACTFULNESS』2019年 日経BPマーケティング #FACTFULNESS

【エピソードがおもしろい!!!】

【「事実に基づいた」希望を与えてくれる!!!】

【『FACTFULNESS 』出版までの過程が泣ける!!!!】

『FACTFULNESS 』、この素晴らしい本の素晴らしさを挙げるとこんな感じ。

【エピソードが面白い!!】

本書は、われわれ人間が陥りやすい「世界を勘違いして見てしまう錯覚」を暴き出している。その数、10。

「分断本能」
「ネガティブ本能」
「直線本能」
「恐怖本能」
「過大視本能」
「パターン化本能」
「宿命本能」
「単純化本能」
「犯人捜し本能」
「焦り本能」

これら10つは、われわれが「間違った判断を下してしまう原因」として紹介されている。解説を読むと素晴らしく納得する。なぜなら、「勘違いする原因」を全て言語化してくれるから。この本に書いてある「錯覚」イリュージョンを生む本能を頭の片隅においておけば、少なくとも、大きな失敗をすることはないでしょう!!ああ素晴らしい!!人生のバイブルといっても過言ではない!!!

以上に挙げた「本能」を章立てでひとつづつ解説していくのが、本書の特徴。

それぞれの章のつかみに、筆者が「◯◯本能」に陥ってしまった、もしくは他人が陥ってしまった例を配置している。

「具体例」→「解説」とはいるので、非常に読みやすい。

イントロダクションから、いきなり「筆者が剣飲み芸人を目指し、実現させた話」と、「剣飲みをしているときのレントゲン写真」が提示されるので、すっっっっっっっごくつかみが良い!!本の始まりからドーーン!!!と面白い具体例を配置しているわけです!!

面白いエピソードはそれだけに飽きたらず、トッポのごとく最後までチョコたっぷり、ちくわの端から端までチータラがたっぷり、入ってるわけですよ。

コンゴ共和国で現地の人に出されたごちそう「超巨大イモムシ」を、とっさのウソで筆者が回避した話、環境問題について話し合う会議の場でインド人エリートの放った素晴らしい演説、救急搬送されてきたパイロットを見て、勝手に「大惨事世界対戦がはじまった!!」と焦る筆者が、とんでもない失敗をしでかした話、筆者が幼少期のころ、どぶに頭から突っ込んで祖母から救出された話 etc.....

全部筆者の実体験。すごい。彼の過ごしてきた人生のハッピーセットがこの一冊に凝縮されている。

しかも、その「エピソード」を「本論」にうまくつなげ、「結論」部分でもその話をうまーく抽象化して、「お話の統一感」をもたせています。

この「具体例」→「解説」→「抽象化」のプロセスは、文章書きにとっても、大学生のレポート書くときにとっても、大事なものの考え方だとおもいます!!!

【事実に基づいた希望を与えてくれる!!!】

著者は「データ」が大好き。というか、この本の八割はデータとその解説なんじゃないかといってもいいくらい。

でも、データ特有の「無機質」さはない。本書にあるのは、データから見えてくる、世界の実情。

データ=揺るがぬ証拠に基づいて、10つの「勘違い」に惑わされず、「批判的思考」をもって世界を正しく見る。

まさにこのことが「ファクトフルネス」というわけです。

「データ」、例えばなくなる赤ちゃんの割合を、年ごとにみていくと、だいたいの国では赤ちゃんの死亡率は下がっています。

そのデータから、著者のハンスさんは「医療の進歩」「母親への教育の浸透」「社会環境の整備が進んでいる」という明るい「事実」=「ファクト」を「ファクトフルネス」に導き出している!!!!!

「悪いニュースは目立ちやすい。逆に、小さな進歩は目立ちにくい。」

「目立ちにくい小さな進歩」に注目することで、「事実に基づいた世界の見方」に近づける。そんなメッセージをうけとりました。

単に「楽天的」になるのではなく、「データ」という証拠をもって「希望を持つ」。この考え方はなんて論理的で、ラクで、明るいんだろう!!!! 希望は捨てちゃいけない!!! 無駄なことで絶望するより、希望をもって生きたほうが断然有益!!! ああ素晴らしき哉、なんという人生讃歌だ!!

・・・とまでいえるかはわかりませんが、かなりポジティブなメッセージを「データ」という「動かぬ証拠」から、とことん、しつこいまでに示してくれるので、神です。

【『FACTFULNESS 』出版までの過程が泣ける!!!】

本書は、今まで読んできたビジネス書のなかで、イチバン泣ける本です。

というのも

著者のハンス・ロスリングが、死の間際まで、人生をかけて書き続けた本だから。

それも、彼一人が書いたのではなく

彼の愛する妻と息子、ハンナ・ロスリングとオーラ・ロスリングの協力があってこそできた本

です。

妻と息子の集めたデータ・写真がこの本の八割を占めているし、ハンスの死後に『FACTFULNESS 』を完成させたのも、彼の愛する家族の努力があってこそ。

彼らが努力したのは、ハンスのライフワークだった『人々の世界に対するとんでもない勘違いを正す』というピュアな目標のため。

それも、『世界を愛する心と、心配する心』をもって。

本書でいちばん泣けるのが、ハンスの病気→執筆にいたる過程→父の死後と、本書の出版へいたる過程 を描いた、『あとがき』と『謝辞』。

しかも

『謝辞』は、ハンス本人の遺書ともとれ、彼の『ありがとう』という言葉で幕を閉じる。それと同時に、本書もそれで締められる。

目頭があつくなりました。これほど泣けるビジネス書がかつてあっただろうか?????

『熱い想い』があれば、世界のことも変えられるし、人の心も動かすことができる。ああ、やはりこの本は最高の『人生讃歌』だ'!!!!!

もちろん、本書では『世界の問題』に目を向けることの重要性を解いています。ただたんにいい面ばかり見るだけではだめ。それもまた「ファクトフルネス」です。

「よくない世界」を作る世界共通のリスクとして、ハンス氏は 地球温暖化、貧困などを挙げています。

そうした「人類の幸せ」を損なう問題に対しては、「ファクトフルネス」に、淡々と、地味な作業をしなくてはならない。と氏は説いています。地味で大変な努力が、結果として大きな進歩になる。これを聞いて、私はとても安心しました。

人生は地味でもいい。地味でも、進歩してることが確実なら、それは素晴らしい進歩だ。ああ、やはりこの本は素晴らしい「人生讃歌」だ。

【結論】

『FACTFULNESS 』は、「事実に基づいた世界の見方」を通して、うまい生き方を教えてくれる本だ。目を背けたくなる現実にこそしっかりと目を向け、「ファクトフルネス」に努力を続けていけば、おのずと道は開ける。われわれは根拠のない希望をもってはいけないが、根拠のある希望はとことん持っていい。もし、希望を持てないものがあるのなら、それを「ファクトフルネス」に直視し、謙虚に対策をしていけばいい。いちばん大事なのは、「10つの本能」に惑わされず、「事実に基づいて」世界を見つめることなのだから。

美川

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