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このチャーミングな囚人を見よ!|『網走番外地』(1)

 映画である!

 過去の傑作に学ぶのである!!


 今回ご紹介するのは……54年前の邦画「網走番外地」である!!

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 以下は、公開時の予告映像です(YouTubeによる公式動画です)。

 雰囲気が掴めると思うので、よろしければどうぞ★


<補足>

 この映像を見ると、「高倉健が積極的に脱走を図るアクション風の映画」に感じられるかもしれませんが……実際はちょっとニュアンスが異なります(アクションシーンを期待すると肩透かしを食うのでご注意!)。

 詳しくは以下でご説明します。



研究開始★






ざっくりストーリーのご紹介












三葉「……という3部構成です」

嘉村「なるほどなるほど。……ちなみに一番面白いのはどのパートです?」

三葉「いやぁ、いずれも面白いんですよ!あとは好みの問題だと思いますが……例えば、橘と権田が雪山を逃げる『2度目の脱走』パート。これは要するに、『対立する2人が、手錠で繋がれているため不本意ながらも協力しながら逃げる』という筋立てでして、映画に詳しい方なら『<手錠のままの脱獄>のパターンだね』とピンとくると思うのですが……」


三葉「筋立てを聞いただけで、面白そうでしょ?」

嘉村「ふーむ……最初は嫌い合っていた2人が次第に認め合い、最後には名コンビになるのかなとか、『クソッ!お前と協力するくらいなら死んだ方がましだ!』『じゃあ死ね!いますぐ死ね!』『……うるせぇ!手を貸せ!』みたいなやりとりがあるのかなとか……なるほど。想像するとワクワクしてきますね」

三葉「そうそう!」

嘉村「ふむ」

三葉「ただ、私の好みを申し上げますと……」

嘉村「ええ」

三葉前半の『橘の人となりの紹介』パートが好きですね。最高!

嘉村「ほぉ」

三葉囚人たちのやりとりが楽しいんですよ。だから、橘と権田以外の囚人が登場しなくなる『2度目の脱走』パートは、ちょっと残念だったかなぁ……いや、面白いんですけどね」

嘉村「なるほど」

三葉「いっそ、囚人たちが延々おしゃべりするだけの日常系作品にしてもよかったんじゃないかと思ったり」

嘉村「ははぁ……(『誰得』ってヤツだな)」


チャーミングな囚人たち


三葉本作は、とにかく囚人たちが魅力的なんですよ

嘉村「ふむ」

三葉彼らは、そろって凶悪犯罪者です。顔からして迫力満点……なんですが、どこかしらチャーミングなところがあってね。それがよいんですよ!『怖いけど……ちょっとかわいい♥』みたいな。『キモカワ』的なアレですね

嘉村「ほぉ」

三葉「主人公の橘については次回詳しくご説明するとして……」

嘉村「そうですね」

三葉ここでは、田中邦衛さん演じる大槻というキャラをご紹介させてください

嘉村「承知しました」

三葉「この大槻というのが本当によくてねぇ!」

嘉村「ふむ」

三葉「大槻は、映画の冒頭で橘と共に網走刑務所にやってきます」

嘉村「なるほど」

三葉「刑務所に到着して、彼らは雑居房(10人程度の囚人が共同生活する部屋)に入る。そして先輩囚人を交え、車座になって自己紹介が始まる」

嘉村「ふむふむ」

三葉一同、犯した罪やら、食らった刑期やらを述べていく。そんな中、古株の依田(安部徹)が、新人たちを睨みつけてこう言うんですよ……



三葉「なにしろ周りにいるのは、『強盗、強姦、殺人未遂、前科5犯、懲役7年4ヶ月』(権田)とか、『放火、殺人、懲役15年』(依田)なんて連中ですからね。彼らからすれば、『窃盗?詐欺?置き引き?ひき逃げ?買春に無銭飲食?で、懲役2年6か月?……はぁ?そんなダサイことしてんじゃねぇよ!てめぇ、それでも男かよ!』というわけです」

嘉村「なるほど」

三葉得意げな顔で長口上をぶつ。……が!直後、依田にツッコまれてがっくり肩を落とす……これですよ、これ!最高!

嘉村「あー、なるほど。それが、あなたの言う『チャーミング』ってヤツですね」

三葉「そうそう!この情けなさがじつに愛らしくてね!」

嘉村「ふむ」

三葉他のキャラにしても同様です。例えば、権田が自慢気に強姦した時の話をするんですね。すると……男だけのむさくるしい刑務所に何年も収監されている連中ですからね。一同羨ましそうな、そして寂しそうな顔をするんですよ。凶悪犯罪者たちが、『1人だけ早々とファーストキスを済ませた同級生の話を聞く男子中学生』のようなアホ面をする……最高でしょ?」

嘉村「なるほど」

三葉「あるいは、別の囚人(潮健児)は『おめぇは何をしたんだよ?』と問われ、不意に泣き出してしまう。聞けば、心中を図ったものの、相手の女性だけが死に、自分は生き残ったという。かわいそうなことをしてしまったと号泣する囚人。それを見て一同笑う……なんてね」



続きはこちら★


ご注意

 本記事で引用したセリフは、三葉が実際に視聴しながら書き起こしたものです。脚本とは異なっている可能性がありますのでご注意ください。

 特に句読点や、長音符の有無・位置は少なからず異なっていると思います。


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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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