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「児童の保護」に関して、踏み込んで考える。 ①

子供と性犯罪を取り巻く状況は、もはや魔女狩りのように思う。
「子供を性被害から守る」それ自体は良い事だが、大義名分ばかりが暴走していると感じる。

序章

私がこのnoteを書いたきっかけは、ほんの些細な事だった。
知的に高いASDであり、尚且つ早熟だった私は、インターネットにのめり込んでいた。
当時話題になっていた東京都青少年健全育成条例改正案や、児童ポルノ禁止法に単純所持の処罰規定を加えるかで言論大戦争が起きていた。
2010年代前半の事である。

その時からか、子供だった私は、大人が「見てはいけない」というのが何故か理解出来ず、一方的に保護を押し付けるばかりだと認知していた。

性の事は、寧ろ面白い領域なのに。

はじめに

以上は、私の幼少期の話ですが、何故この有料マガジンを書くに至ったかと言うと、この2020年代はソーシャルメディアとスマートフォンの普及でそれ迄日陰者だった性の領域が浮き彫りになり、主流なマスメディアで取り沙汰される機会が増えました。

私はそれを最初こそ歓迎していたものの、次第に違和感を感じざるを得なくなりました。
人々が性について議論するようになったのは良い事とします。然し、性暴力や避妊、中絶と言った個別性が高いものまでコンテンツ化するのは如何なものと感じます。
例えば、低容量ピルを推進する記事は多いものの、35歳以上の女性には相対禁忌であることや、避妊目的がなく、月経困難症の治療目的でのみ服用するとメリットよりデメリットが多くなる事は書かれていません。

また、性暴力についても然りです。報道や、マスメディアが挙って取り上げる事による精神的苦痛(フラッシュバック)の問題も存在しますし、それらを無視して報じるマスメディアは未成年者の性被害の申告件数は減っているという結果は報じないのです。
全ては日本のフェミニストが悪いのです。

「子供の保護」の話をしますと、世界中で子供の無謬性が強く盲信されているように感じます。ですが、子供はJIS規格に沿った工業製品ではありません。早熟な子供も居ますし、その逆も居ます。

私は子供時代、子供の保護という風潮に傷付けられましたし、納得出来ません。然し今は2023年です。スティーブ・ジョブズが世に解き放ったiPhoneが存在します。それを武器にし、この巨大な怪物と立ち向かうのです。

第1章

「子供は自己決定権がない」という嘘

21世紀の現在、子供に自己決定権がないという言説は支配的である(特に性関連に於いては)。
しかし、その言説は嘗ての優生学や、今話題のトランスジェンダリズムと同様、ある部分(この場合子供の成長と性的同意能力の関連)が未解明である所に漬け込んだ物に過ぎない。

事実、優生学が流行りだった20世紀初頭は、遺伝学が未発達であったのもあり「親の障害は子供にそのまま遺伝する」と考えられていたし、トランスジェンダリズムも、「性ホルモンは心理に何かしらの影響を与える」という「何かしら」がはっきりとは解明されておらず、かつ「性同一性障害の確定診断の手法」が未だに開発されていない事に端を発するのだろう。

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7172783/

上は医学的な治療法の意思決定に基づく論文であるが、14歳は大人と変わりがなく、9歳では恒久的な影響を齎す医療的な決定を下す能力は成人と比べて低いようであるが、治療に関しての選好を示すことは高齢者と変化はないという。

こういったことがあるので、ジェンダー肯定医療であるような「思春期前期の子供に思春期ブロッカー(リュープリン)を注射する」行為を正当化する事は難しい。だが、性的な好みを示したり、同意する事は別では無いかと私は思う。


更に、子供の身体が未発達な状態で性行為をする事は禍根を残すのだという説もあるが、これも怪しい部分がある。

2004年から2005年に掛けてアイルランドでなされた調査であるが、成人と関係を結んだ未成年者は、その後の適応度が低いと言うことはなく、そうでない者に比べて適応の差は殆どが小さい上、寧ろ適応は良好であった事が示されている。

また、専門知識ではあるが出産などを想定せず、身体機能のみに着目するとなると平均的な体格の女性の腟に陰茎を挿入し射精する行為が出来る年齢は6歳8ヶ月とされている。

それ以外にも現代の風潮と相反する調査はあるのだが、それらは暫く紹介を控える。

これらを見ても分かるように、「子供に自己決定権がない」という推定は、子供の発達段階を十把一絡げにしているし、全く建設的ではないとすら思う。

もし、noteを見ている方には親御さん達も居るだろうから、親達がそういった考えをしている事は理解出来るし、唯私が言いたいのは、それらはコメニウスやルソーの影響を受けた自然主義や(教育者やPTAがエログロ排除に走るのはこれ)、メタ倫理学で言う所の強固な実在論(これはAI児童ポルノ規制論や、他称「表現の自由戦士」の一部にもみられる)に過ぎないし、それを押し付けないでもらいたいのだ。その考えから自らを解き放って貰いたいのだ。

一般的な見解とその批判

子供の保護に対する見解は人により異なるが、一般論から見て行きたいと思う。

Spencer.A.Rathus先生他共著の『Human Sexuality in a World of Diversity (paper) (9th Edition) 』の児童性的虐待の記述ではこうある。一部を和訳する。

多くの人は、ジェリー・サンダスキー(少年に対する性的虐待で有罪判決を受けた大学ラグビーの元コーチ)が犯したような子供への性的暴行を、最も凶悪な犯罪と見なしている。性的虐待を受けた子供たちは、社会的・感情的な問題を抱えることが多く、それが大人になるまで続くことで、自己肯定感や人間関係に影響を及ぼす。

研究者のデビッド・フィンケラー(2012年)は、その数を約20万人から30万人と推定している(フィンケラー(2012)は、性的嫌がらせを経験する子供の数を100万人から200万人と推定している)。性的虐待を受けた子供たちの多くは女児であるが、サンダスキーの被害者を含め、4分の1から3分の1は男児である(Edwards et al., 2003)。22ヶ国の65の研究を分析した結果、男児の7~8%、女児の19~20%が性的虐待を受けていると結論づけられた(Pereda et al., 2009)記憶の誤り、羞恥心、当惑などのために事件を報告しない人が多いため、実際の割合はもっと高いかもしれない。

子供への性的虐待は、性器の露出、キス、性的なタッチから、オーラルセックス(フェラチオ、クンニリングスなど)、肛門性交、そして女児の場合は腟性交まで広範囲にわたる。着替え中や入浴中に子どもの性器に触れる、子どもと一緒に寝る、子どもの前でヌードになる事は解釈の余地があり、多くの場合無害である。

子どもは法律上、同意することができないため、大人と子どもの性的接触は、たとえ子どもが望んでいたとしても虐待となる。同意年齢は州によって異なるが、同意年齢未満の成人と児童の性的関係は、どの州でも犯罪である。

Spencer.A.Rathus Human Sexuality in a World of Diversity (paper) (9th Edition) (Pearson, 2013), p.550をDeepl先生の手助けを得て和訳

この本は米国の本なので、当然ながらアメリカの事情に沿って書かれている。2013年とほぼ10年前の本だが(執筆時点では2023年)、この風潮自体は大きく変わっておらず、寧ろインターネットの普及で正義感を振り翳す口実になっているとすら思う。

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